小話・白騎士はたぶん泣いてる
わたくしですか?
黒騎士様のおそばにいれるのなら、それで満足です。
そうですね、男女の仲になると失敗しがちですね、愛が重すぎるんでしょうか。
はい、親子兄弟、友人、敵なんでも大丈夫です。
ですが、近しい血縁者になったことは少ないですね。
うっとうしいから距離を置きたいとおっしゃっているそうで。
つれないんですよね。そこがまた素敵なんですが。
さあ? なぜ執着するかと問われましても、魂の底からわき出る衝動としかいいようがなく。
邪神ですか? よいですよ。憑坐になったこともありますしね。全力で挑まれるなんてゾクゾクします。
え、気が変わったと。
その気にさせておきながら、ひどいじゃないですか。
内通者? それならば、喜んで。
ふふふ、より心深くに入り込んで裏切ってみせましょう! わたしの存在を刻みつけてみせます!
※ ※ ※
なぜです!
なぜ、あっさりとあの方は「仕方ないな」で済ませるんですか!
全力で取り入って、全力で裏切ったというのにっ!
野生の勘で、裏切りの気配を察知していたのでしょうか…。
すぐにでもおそばに戻りたいのですが、なにかないですか?
しつこいやつは嫌われる?
好かれなくて結構! わたしはあの方の魂にわたしの存在を刻みつけたいだけです!
無理? 刻んだところで、自己修復機能が強いからすぐ消えると……そうですね。
そこがまた素敵なんですよね……。ふふ。
発掘したものです。
ヤンデレあるいはストーカーってものを一度書いてみたかったのではないかという記憶がうっすらとございます。