エピローグ・親子の再会
そんな状況下で外交デビューを終えたシュベルツはロンドの元を訪れた。集中してリハビリを行うために、彼の息子は一時的に入院していた。俺は彼を案内するために同行していた。その時には作業療法士や言語聴覚士の尽力によって、彼の内面はかなり早い速度で意思表示できるようになっていた。久しぶりに会った父を見て彼は言った。「父さんが無事で良かった。ルルシアの首長になったと聞いたから、多忙になると思うけど仕事頑張ってくれぐれも体調を崩さないでお過ごし下さい。」そう激励した。それを見た彼の父が目を丸くして、口をあんぐりと開けていた。無理もないだろう。今まで言葉を発することがないと思っていた子供が自身を気遣う発言をしたのだ。数秒ほどしてシュベルツが話し出した。「ロンドよ、まずは父さんのことを気遣ってくれてありがとう。やっとお前の言葉が聞けて、とても感無量だ。この20年の間、ずっとお前の内面を知りたかったが、手段が見つからなかった。これまで意見を押し付けたり、お前自身のことを勝手に決めたりすることで負担をかけてすまなかった。」「父さんは悪くないよ。 僕は今、幸せだよ。それよりも統治を頑張ってね」彼は父のことを労う発言をした。「ロンド、一つ聞いてもいいか?お前は国の政策によって殺されかけた。そのことで誰かを恨んだりしないのか?」少し考えると彼は話し始めた。「政変が起こってからのこの5年、父さんたちの周りを観察していたけど、今回の戦争はみんながみんなのことを良かれと思って発生した出来事だったと思う。飢えに苦しんだ挙句、民衆が暴動を起こしたと聞いた時はとても怖いと感じたけれど、彼ら自身にも生活があったとこの国に来て痛感してるんだ。だから、誰も恨んでなんかいないよ。」「そうか、それなら良かった。父さんはてっきり復讐心に燃えているんじゃないかと思っていた。その先にあるのは虚無感だけだと、父さん自身が実感したから、もしそう思っていたのなら止めようと思っていたんだ。そうじゃなくて本当に良かった。」彼はそう素直に安堵した表情を見せた。
今までお読みいただきありがとうございました。これで完結となります。




