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上陸

味方の艦砲射撃によって沿岸部の固定砲台は破壊し尽くした。上陸の妨げになるものの排除という前段階は全て終わり、これからは陸戦の番だった。船室で装備を整えると輸送艦のウェルドックに移動し、そこでビーチングできる上陸用舟艇に船内で乗り換えた。俺たちのコールサインはウイスキーチームだ。二時間先に出発した海兵隊がすでに橋頭堡を築こうとしていたが、予想よりはるかに多い敵駐屯部隊の絶え間のない激しい攻撃に晒されていた。海兵たちの攻撃は野戦築城の土塁や木の柵に阻まれて、十分な効果を出せずにいた。なかなか進めない海兵は敵の陣地を破壊するべく航空支援を要求した。それによって空母から艦爆が飛び立ったが、風魔法によって速度を増したファイアーボールに阻害された。さらにそれは数機を撃墜に追いやった。このレベルの頑強な抵抗は味方にとって予想外の苛烈な出来事だった。それによって味方はかなりの苦戦を強いられていた。

混線する無線からは対空砲火への苛立ちを募らせるパイロットの罵声と上陸している海兵隊部隊の阿鼻叫喚の声が入り乱れていた。結果的に上陸部隊はビーチに足止めされており、市街地の制圧は程遠かった。もちろん、主要な港にも敵は残っており、そこを奪取し、サイドランプから上陸するのは不可能ではなかった。ただし、すでに上陸している部隊のみだと時間がかかり、その間に味方に死傷者が出るのは明らかだった。俺たちの乗った上陸艇はウェルドックから発進すると、砂浜へと向かっていった。時間が迫るにつれて首都のトレードマークである城がみるみる近づいていった。「着岸まで1分だ。」操船員がそう声を上げた。それに合わせて準備を始めた。電動車椅子のパイロット要員は手持ちのMP7およびM92のマガジンを差し込むと薬室に初弾を送り込んだ。さらに、攻撃機は銃座に据え付けられた機関銃にも後部要員が装填していた。船底が砂をこすり、ビーチングに成功した。乗ってきた船のランプドアが開くと、そこから次々と隊員が飛び出していった。1番員が装備している防楯で敵の攻撃を弾き返しながら進んだ。その後ろに二番員、三番員と続いて沿岸警備についていた敵部隊に対して弾幕を張った。砲撃を地下の中でやり過ごして高台に再布陣していた敵も反撃のために攻撃魔法や弓矢、そしてマスケット銃で応戦していた。しかし、それらは一番員の持つ防楯に阻まれてこちらに被害が及ぶことはなかった。彼らは自分たちの武器を優位に使うために塹壕を掘っていなかった。しかしそれは致命的なミスで、海岸線の海岸段丘に布陣していた敵部隊は機関銃の弾幕に対してなすすべなく倒れていった。味方の士気はそれによって上昇した。ビーチを手に入れた勢いをそのままにして、海兵たちと共に港湾施設への攻勢を開始した。

しかし、そこには土木魔法によるトーチカがいくつも設置してあり、魔導士が攻撃魔法を放っていた。突破するには、海兵の装備しているライフルだけでは対処困難だった。そのため、連隊の対戦車小隊が現地に急行してカールグスタフ無反動砲でHEAT弾を放った。それによって敵の抵抗は弱まっていき3時間ほどかけて制圧に成功した。

確保した港湾に、輸送艦が停泊して追加の物資を荷下ろしした。それらの中身は主に食料だった。その場所の近くには敵の航空拠点が存在していたが、先の戦いで駐屯していた敵部隊は壊滅しており、もぬけの殻になっていた。そこで物資の集積と指揮の拠点として接収することにした。司令部としての前線基地及び、野戦飛行場として再利用するためでもあった。整理が終わると兵士たちへの配給を始めた。戦闘が始まって以来、満足のいく食事にありつけたことは士気の高揚に役立った。もちろんそれは一時的なものであり、実質的な作戦猶予は一週間ほどだった。バルジの戦いではドイツ軍は兵站線が伸び切ったことで敗退しており、それは今の我々と酷似していた。勝利を掴むためには一刻も早く市街地を攻略して城に向かう必要があった。


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なお、新作の投稿を始めました。 以下がURLになります。もしよければ訪ねていってください。

https://ncode.syosetu.com/n6198md/

次回の投稿予定は5月14日です。

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