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眼鏡と神様の平凡な生活  作者: 胃痛小僧
9/17

第9話 それぞれのゲーム事情(人によっては蛇足回)

いつもより格段にクセが強くなってしまいました。特に何かあるわけでもありませんが。

こんにちは、岡本里実です。


さっそくですが本題に入ります。私の趣味はゲーム、玲の趣味もゲーム…と共通しています。主にプレイするジャンルも「音ゲー」とこれも同じです。


しかし、「やり込む」ゲームまでもが同じというわけではございません。


人は千差万別。十人十色。たくさんの人がいれば当然個性もばらけて趣味も深みが増し、さらなる分岐点を経て分かれてゆくのです。


そのことを、私も忘れないでいたいものですね。


さて今回は、私と玲、隼人くんのゲームに対する嗜好、趣味についてかたりたいと思います。


非常にオタクな内容にございますので人を選びます。この回はいわゆる「蛇足回」という扱いで、特に重要なことは書かれていません。

この手のジャンルが苦手な方は、サラッと読み流すか、回れ右をするか、スキップして頂くよう…



「はっ!」 


私はベッドから跳ねるように起き上がった。


「ゆ、夢か…スーツにサングラス…まるで私がタモリさんだったわ」



里実 ゲームセンターにて



今日もガヤガヤゲーセンだ。トイレから戻ると、隼人くんが音ゲーである「maimai」をプレイしていた。曲と画面を見る限りまだ最初の方だ。


タンタカッ タン タン タン タン タタタタタ…


ノーツの効果音が綺麗なリズムを刻んで響く。クラップのような弾ける音の聴き心地がとても良くて、打音フェチには効果抜群だ。


maimaiは筐体の形からよく「洗濯機」と呼ばれている。ボタンが8個、円を作るように囲んでいてその円が画面といった様相だ。


演奏中、音符は画面の中心から拡散するように八方向に飛ぶ。それらをボタンで叩いたり、画面をタッチしてコンボを繋げていく。


上下左右に腕を振られたりたくさんの音符が四方八方に飛んでいって訳わかんなくなるので、コンボを切ったり疲れたりすることも少なくない。そんでさらにスライドがあるんだから、体力テストかな?って思う。


だが、隼人くんは腕や手の動きを最小限に抑えることで体力の消費を防いでおり、それでいて正確なリズム、「perfect」判定を出し続けている。


タタタタドゥル"ル"ル"rrrr…


「すげぇ」


思わずこんな声が出る。


渦巻き状に襲ってきた16分構成の音符、手を円にそるように素早く回して捌いていく様はまるで台風のよう。そして当たり前のように全perfect通過。


「〜♪」


隼人くん、鼻歌混じりでノリノリで楽しそうである。(私は自分がやるゲーム以外は詳しくないけど)この曲難しいはずなんだけどな。


言うのが遅すぎたが、隼人くんも実はゲーム好きだ。私や玲と違って結構色んなハードに手を出して浅く広くプレイするスタイルなのだが、「音ゲー」中心なのは同じだった。何この偶然、類は友を呼ぶってそういうことですか?


彼はmaimaiの他にチュウニズムもやってたりするそう。まああの2機種は収録される曲もなんとなーくだけど似通ってる傾向だもんね。企業的な理由か何かで。


<Full combo!>


「おー!」


曲が終わった。流石に腕が暖まってない1クレ目でall perfectとはいかなかったようだ。ある意味良かったかも。いきなりキメられたら人間じゃないし。いやこの人は風神だけど。


広く浅くと言ったが、一つのゲームに対するやり込み量は常人より上だ。初見には結構強いタイプで、ギミックもある程度対応してみせる臨機応変さを併せ持つので、経験値はかなりある…と玲が言ってたかな。


というかふと思ったけど、この人も玲と同じくなんでもそつなくこなすタイプの文武両道型か?見た目良しゲーム良し…いや、今のところわかってるのは二つだけか。なんでもできると考えるのはまだ早いか。思わぬ弱点が出てくるかもしれないし。



里実 玲の家のリビングにて



ゲーセンで遊び尽くし隼人くんと別れ、いつものように玲の家に遊びに行った。


「里実ー、見てー」

「なあに?え?なにこれ。こっわ」

「やっちゃった」


玲はコントローラーを慣れた手つきで操作し、恍惚そうに道具メニュー画面を開いた。


画面内には、ほとんどの素材や道具が「99個」ずらりと書かれたラインナップ。その中にはレアなモンスターを倒さないと手に入らない物も含まれている。


「これも見てー」

「ええぇぇ…」


全ての武器や防具も99個…モンスターから得た素材を消費して武器作ってまたモンスターから素材を集めるという作業を繰り返した結果だろう。てか生態系壊れてモンスター絶滅不可避でしょ。ちなみに倒したモンスターの数も殆どがそれぞれ999匹。やりすぎです。まじジェノサイダー。


それに主人公の能力値…攻撃も防御もあらゆるステータスが999…カンストしてやがる。これも能力アップの道具を使いまくってこうなった結果だ。ゲームクリア自体はそれぞれ70〜80くらいで良さそうなのに。


「あんた、また発症したな」

「セリフも出来るだけ回収したよ」

「もっと上いってた」

「今回は3日かかりました」

「どう考えても速すぎでやりすぎですね対あり」


この子はゲームに対する情熱が違う。やると決めたゲームは記録のために骨の髄までやり尽くしてしまう「記録収集型廃人病」にかかっている。新しいゲームに手を出してハマったかと思えば、数日後にはイベントはもちろん。素材数や能力値もカンストしている…なんてことも。


現状やり込んだゲーム数はそう多くはないし、たまにしか症状は現れないが今後これが現れ続けると彼女はあらゆるゲームを食い尽くしたゲーム神になってしまうだろう。わりと恐ろしい。というか、私が得意なゲームの腕もその気になれば抜かせてしまう余裕を残していそうだ。


この夏休み、時間が有り余る間にいったいどれだけのゲームを狩り尽くすつもりなのだろう…


「大丈夫よ里実、あなたの得意分野は私にはちょっと難しめだから抜かすのはまだ先の話よ。安心なさい」

「できるか」


あなたの言う「まだ」のスパンがわからなくて怖いです。普通に。抜かされないように祈るしかないか。いや神のことを神に祈るとかものすごく変な話だが。



里実 自室にて



風呂から出て暇になった私は、まだ取ってない面白そうなスマホゲームをストアで探していた。


ホラーなテイストを感じたい気分なので「ホラー」と入れて検索してみる。画面をスワイプしてさらっと流し見。


「んー、特にピンとくるのはないなあ」


そう言わないでインストールすれば面白いものもあるのだろうが、私は興味のないものはとことん見向きもしないので大概スルーしてしまうタイプなのだ。…人に勧められたらやらなくもないが。


私は主にフリーゲームを楽しむタイプだ。隼人くんみたいに興味の幅は広くないし、玲みたいにガチになってやり込むほどの集中力と気合はない。動画で有名な実況者さんがやっているのを見る、それかなるべくすぐに終わらせられるようなものを漁るのが日課になっている。


ソシャゲ?あれは…課金しまくって破産しそうだから避けてるよ。キャラガチャがあるやつとか。どんなに人気があるゲームでも「課金ガチャ」という要素があるものには近づかない。これ私の中での鉄則。


「パソコンで探すか。…充電が若干不安だけどゲーム一本やるには持つでしょ」


USB繋ぐの面倒だしね。ノートパソコンを立ち上げて、フリーゲームが多数投稿されているサイトに飛ぶ。


「そうだな…プレイ時間が1時間くらいまでのものがいいか」


カチカチとマウスの左側を押してページを進める。


「お、これはあれか。追いかけてくる系の和風ホラー。探索もいいけど、たまには追いかけられてみようか。プレイ時間も30分くらいだしダウンロードしてみよ」


このゲームは、日本神話にも出てくる有名なイザナギを主人公としている。彼には妻のイザナミがいたが、彼女が黄泉の国(死者の国)に旅立ってしまったため、会いに行こうとする…という日本神話でも有名な話をゲームでは取り扱っている。


イザナギはイザナミの声を聞くことは成功したが、イザナミはこの世に戻れないので自分の姿を「見るなよ?!絶対見るなよ?!」とダチョウ倶楽部よろしくのノリで釘を刺す。


でもイザナギは見ちゃった。それに怒ったイザナミは「見るなっつったろうが!!」と追いかける。イザナギは逃げる。それが追いかけっこ要素になるんだろう。


ゲームを立ちあげ、ストーリーを進めていく。イザナギって未練たらたらのくせになんかあったらへっぴり腰になる情けない男だと思うのは私だけ?いや死者の国に行く時点で普通に度胸はあるのか。とりあえず神だから?


イザナミ『こうなったらお前を捕まえて黄泉の者にしてやらあ!覚悟しろ。私の体に張り付いた8種の雷神よ、イザナギを追いかけるのだ!』

イザナギ『に、逃げなきゃ。もう手に負えない!』

「というわけで逃げよう」


にしても8種の雷神て多いな。玲はあんなにいないし。てかウジムシみたいに這って追いかけてくるの気持ち悪。ゲーム用グラフィックのレベルでよかったわ。


この間玲と日本神話の話してたけど、あれはあくまでも神話。玲はあんなキモい真似も鬼ごっこもしてないってさ。うん、それで良かったわ。精神衛生上、玲がウジムシとかだった日には普通に関われなくなっちゃうからね。CERO:A引っかかっちゃう。


「あ。(やべ木に引っかかって…)」

「ホアアアアアアアアアアアアア!!!」

「あああああうるぜえええええ!!!」


女の叫び声が耳に直接ダメージを与えてきた。びっくりしすぎてつけていたイヤホンを勢いよく外してしまった。


画面には血文字でデカデカと「GAME OVER」。あ、あぁ、これ捕まったんや。


「はぁ…は、音小さくしよ」


荒くなった息を整えて気を取り直して再スタート。今度は気に引っかからないしあの絶叫も二度と聞かない。




筐体とにらめっこして、コントローラー握って画面とにらめっこして、パソコンとにらめっこして…いったい何が楽しいのやらとお思いの方もいらっしゃることでしょう。


ですが彼らにとって、いえ、私たちにとってはこれこそが喜びなのです。時間を忘れ没頭できる趣味が人生を豊かにする。それは何もゲームに限った話ではありません。


今度はそれを共有する他者がいれば、さらに楽しくなるかもしれませんね。ライバルがいれば尚のこと…


今回はこれで失礼します。またこのテンションの私と会うことが、あるかもしれませんね…

趣味で小説書く人あるある

自分ワールドが暴走しがち


ここまで読んでくれた方…本当にありがとうございます…圧倒的感謝です

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