51話 二人
「どうしてそんな事を…」
「だって私達が無理やり仲直りさせようとしてもあの2人だと逆効果になりかねないからね」
「確かに…」
「まぁ私的にはあのまま別れてくれると助かるから私は何もしないけどね、頑張ってー」
「ちょっと…!」
「なに…あいつ…」
「まぁまぁ」
玖由がそう呟くのを聞き羽根は玖由の頭を撫で宥める。
「全く…何でそんな所で聞き耳を立ててるのさ…」
「気づかれてましたか」
と夕立が歩いて来る。
「あんたの存在に気づいたから蒼嵐達から離れてきたんだからね」
「そうでしたか」
「で…話は聞いていたんでしょ?」
「えぇしっかりと聞かせていただきましたわ」
「なら憐斗と大和を仲直りさせて上げて」
「なぜわたくしが…わたくしはあのまま大和が憐斗様と別れてくれれば憐斗様がわたくしのものになるのでそちらの方がいいのですが…」
「だって私の力も大和に取られたままだし…このままだと戻れないからさ、お願い!」
「分かりましたわ、自由にやらさせて頂きますわ」
と夕立は呆れた様子で闇に消える。それを見送りマチルダは
「さてと…」
空を見上げて呟く。
一度部屋に戻った梨絵と玖由は1人で部屋に座り大和を見てため息をつく。
「いい加減仲直り出来ないの?」
「出来ないから悩んでるんだ…普通の事なら謝れば許してくれるだろうけど私は結彩が人アルマの正体である事を確証が無いからと自分に言い聞かせて憐斗に黙っていたんだ謝っても信じてくれないさ…」
「私達にできる事はありますか?できる事ならなんでもしますよ」
「…すまない…」
大和の震えた声を聞き自分の気持ちを押し殺して冷静を装っていると思った玖由は部屋から飛び出して行こうとする大和を引き留めようとするがこのような時どのような言葉を掛けたら良いのか分からずその間に大和は部屋を出ていく。
その頃蒼嵐は部屋で一枚の紙を眺めていた。
「どこにも憐斗さんはいませんでした」
「やっぱりね…羽根!」
「はい!?」
「憐斗を探しに行くわよ!それで言ってやるんだからいつまでも喧嘩してるんじゃないって、ね」
「はい!それで憐斗さんの居場所分かるのですか?」
「前に憐斗は何かあった時ここに行くって結彩が言っていたからそこに行ってみる」
「ねぇ梨絵…私…なんて言ったらよかったかな…」
「それは分かりませんね…私も玖由と同じであの時大和を引き止めれる様な言葉が見つかりませんでしたから、でもいい事が思いつきましたよ」
「一緒に出掛けないか…と?」
大和を引き留め梨絵が口に出した事を聞き大和は思わず聞き返してしまう。
「えぇ、大和も気分転換は必要ですよ」
「でも…憐斗は…」
「それは大丈夫、多分蒼嵐達がどうにかしてくれる」
「どうにかねぇ…そうだな」
大和は苦笑いを浮かべ梨絵の意見に賛成する。
そして気を紛らせようと梨絵と玖由は買い物やゲームセンターに連れていきそのお陰で大和は不安を忘れることが出来た。
「ふふっ見つけましたわ大和」
「!?」
忘れていた事を思い出させる視線を感じ大和は周囲を見渡す。そして人混みの中に紛れ黒いワンピース着た夕立を見つける。大和に見つけられた夕立はワンピースを靡かせながら人混みに紛れる。
大和は夕立を見失わないようにと追いかける。そんな事大和を見て梨絵と玖由は顔を合わせ大和を追いかける。
「居た!憐斗ー!」
「蒼嵐か…よくここが分かったな」
「結彩が教えてくれていたからね」
「全く…余計な事を…」
「…っ!」
どこか嬉しそうにしかしその中に悲しそうな表情を浮かべ目の前に広がる景色を見る。そんな憐斗を見て蒼嵐はドキッとする。そして視線を逸らすため丘から見える景色を見る。
「綺麗…」
そこからの景色を見て羽根は思わず呟く。
「ここからなら呉を一望できるからな」
「ねぇ…憐斗、結彩を助けたいの?」
「あぁ」
「なら…大和と…」
「分かってる、でも大和にあんな言い方をして許せと言って許して貰えるとは思えなくて」
「ふふっ…あははっ!」
と蒼嵐は笑いそれにつられて羽根も笑う。何故蒼嵐と羽根が笑うのか理解できない憐斗は困惑する。
「なにか面白いこと言ったか?」
「いや…結局二人は同じなんだなって」
「大和も…なのか?」
「梨絵から聞いたんだけど大和は人アルマの正体を憐斗に黙っていて謝っても信じてくれないって言ってたんだって」
「……大和」
「追い詰めたぞ、観念しろ」
大和は地の利を利用し夕立を行き止まりに追い込む。
「観念しろと言われましてもわたくしは観念する気なんて到底ありませんわ」
と上に高く飛び上がり建物の屋根に着地する。そして大和を見下ろし進んでいく。それを見て大和は屋根に飛び乗り夕立を追いかける。そして大和に追いついた梨絵と玖由は屋根を飛び移る大和を見て二人は武装を纏い梨絵は
「玖由は大和を追って!」
「分かった」
玖由にそう指示し梨絵は大和達とは別の方角に進む。そしてスマートフォンを取り出し蒼嵐達に連絡する。
「えっ…!夕立が!?」
「はい、今はまだ何もしていないですけどもしかすると大和と戦闘になると思います」
「大和もそっちにいるのか?」
「はい」
それを聞き憐斗は丘を駆け下りる。突然走り出した憐斗に驚きながらも蒼嵐と羽根は憐斗を追いかけた。




