50話 否定
「結彩…なのか…?」
「うん…そう…だよ…れんと」
途切れ途切れながらも結彩と思われる人が憐斗に語りかけ足を引きずりながら歩み寄り手を伸ばして来る。が、憐斗は思わずその手を弾き後ろに下がる。
(流石に憐斗でも動揺してる…憐斗は私を守ってくれると言ってくれた…だったらこんな時ぐらい私も憐斗を守りたい)
渚は薙刀を持ち憐斗の前に立ち薙刀の刃先を向ける。
「渚」
「しっかりして!死人が戻るわけがないって言ったのは憐斗でしょ!」
「どうして…にげる…の?…こいつのせい…なの」
「結彩なにを言って…」
「なら…ころすから…まってて…れんとはわたしだけのもの…まってて…」
そして結彩は自分に突き出される薙刀の刃を掴む。刃が手にくい込み血が流れるが結彩はお構い無しに力を込め刃を砕く。そして渚を首を掴み締め付ける。
「あっ…ぐっ…」
もがく渚に微動だせず結彩は更に力を入れる。
「憐斗!」
蒼嵐は憐斗を見る。しかし憐斗は今ままで見た事無いほど動揺して蒼嵐の言葉など耳に入っていない様子だった。
(全く憐斗らしくないわ!…でも、死んだ事を受け入れたそんな時に結彩が敵として現れたんだ混乱しても無理ないか…ったくどんな最悪アニメ展開よ!)
そう思い蒼嵐は結彩に突撃し拳を突き出す。
「結彩っ!いい加減目を覚ませっ!」
しかし蒼嵐の拳は結彩に受け止められる。そして結彩は蒼嵐の掴んだ拳を振り下ろし蒼嵐を地面に叩き付ける。その拍子に渚の首から手が離れ地面に倒れ苦しそうに咳き込む
「しんで…」
と足に装備された小型の砲塔が蒼嵐に向く。蒼嵐は片足で地面を蹴りその場を離れ渚を抱き抱え憐斗の元に飛ぶ。
「憐斗!しっかりして!あれが本物の結彩なわけが無いでしょ!」
「違う…あの結彩は本物だ…」
「なにを言って…」
「そいつの言う通りです」
信濃は自分にのしかかる瓦礫を押しのけ立ち上がる。
「あの時砲弾に命中する直前先輩が助けていたのですだから生きている…」
「お前達は一体結彩のなにを知っているんだ…!」
「それは…どう意味でしょうか」
「お前達が何の価値もない人間を助けるなんてしない…なら結彩にはなにか命をはられると困る事があるんじゃないか?」
と憐斗は信濃を睨む。
「そうですね…しかしあなたに言う気はありません、先に言っておきますがマチルダに聞いても無駄ですよ」
「そのつもりは無い」
その時背後から向かってくる砲弾に気付き信濃は身を翻してかわす。そしてその先に居た結彩に向かう。しかし結彩は刃を振り下ろし砲弾を地面に叩きつける。
更に信濃、結彩の周りに次々に砲弾が着弾し爆発が起こる。
「ちっ!」
「大丈夫ですか!みんな!」
と梨絵が憐斗達の元に滑り込んでくる。
そして目の前に立つ結彩を見て唖然とする。
「結彩…なのですか?」
「あぁ…」
そして梨絵達と合流した露達が信濃に攻撃を仕掛ける。それを信濃は軽々とかわし人型アルマを召喚する。人型アルマは信濃に命令されるままに露達に襲いかかる。が次の瞬間人型アルマに砲弾に命中し人型アルマが撃破される。
「遅れてごめん!」
と千陽や羽根達が現れ人型アルマを殲滅していく。
「こ…これで形勢逆転です!」
「多勢に無勢ですか…ここは一度撤退します、行きますよ!」
と信濃が闇に消える。それを見て結彩は憐斗達から距離を取る。そして闇の中に消える。
「くそっ!」
結彩を追いかけようとする憐斗を強制的に武装を解除し大和が憐斗の前に立ち受け止める。
「落ち着け憐斗!」
「離せ!」
「嫌だ!絶対に離さない!」
「大和…結彩の事を知っていたのか…?」
「…あぁ…だが確信は無かったからそんな事で憐斗を惑わせたくなかったんだ」
「くそっ!」
「一度呉に戻りましょうか」
「そうですね…憐斗もあんな状態ですから…」
千陽の提案を聞き梨絵は憐斗を見て頷く。
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そして呉に帰投しても憐斗と大和はお互い一切口を聞か無かった。そしてその空気に耐えられなくなった蒼嵐達はいつも訓練をする山に来ていた。
「あー!なにあの空気!居ずらいったらありゃしない!こっちまでいらいらしてくるわ!」
「あ…はは…」
「そんな事があったんだね」
「えぇ…それでどうにかしてあげたいんだけどどうしたらいいのか…」
梨絵の言葉を木にぶら下がりながら聞いていたマチルダは少し考え飛び降りる。
「うん、無理だね」




