40話 過去
風に吹かれながらレンナと神風は海を眺める。未だになれない髪を触りながらレンナは
「どうして急に」
「渚があんな状態になってしまった以上、話しておいた方がいいかと思って、別に!あんたを認めたとかじゃないから!」
「それを言ってしまうと逆の意味に捉えられるぞ」
「うっさい!」
顔を赤くしながら神風は海を見る。
ー5年前ー
孤児院から1人の少女が出てくる。そして神風を見上げ
「は…始めまして神風」
(この子が私の相棒?なんだか頼りないわね)
「渚…」
と神風はしゃがみ渚と目線を合わせる。緊張しているためか渚は神風から視線を逸らす。
これが神風と渚の出会いだった。
「この子…ですか、司令」
「あぁ川品渚、アームズとしての適正が通常の人より高かいその為今からアームズとしての訓練を受けさせるという上の命令だ」
「嫌よ!」
琢斗は神風の言葉を聞き予想通りだと言うような表情を浮かべる。それを見て不満そうに神風は琢斗に問いかける。
「何よ?」
「一応会ってみてくれないか」
(と、言われて会ってみたものの…)
酷く怯えている渚を見て
(怯える事は戦場で一番してはいけない事、私を見ただけで怯えるなんてアルマを戦うなんて無理ね)
と、立ち上がり神風は後ろにいる琢斗に無理な事を伝えようとした次の瞬間、渚が神風の手を握る。
「いきたい…」
「離しなさい」
「……っ!」
神風の手を強く握り離そうとはしなかった。
「もう一度言うわよ…離しなさい!死にたいの!?」
今度は渚に向かって強く言う神風自身でも言い過ぎたと思った程だったが、それでも渚は手を離そうとはしなかった。そして
「はぁ…分かったわ、よろしくね」
それを聞き渚の表情が明るくなる。その時サイレンが響く。
「いきなりだけど渚やれる?」
「うん」
「まて、流石に…」
「司令は早く他の子供たちを!私達は大丈夫だから!」
しかし、次の瞬間建物を破壊するアルマの流れ弾が孤児院に命中し建物が崩れる。それを見て渚は唖然とする。そんな渚を見て神風は呟く。
「なんて事を…」
「どうやってするの?」
「え?」
「奴らを殺す方法…教えて!」
殺気に満ちた声で神風に問いかける。そして神風は何も言わずに武装となり渚に纏う、それが答えと言うように。
「司令官さん私があいつらを全滅させます」
そう言い渚はアルマの群れに突っ込む。
「それからは必死だった、渚は私の扱いに慣れないまま死にものぐるいで戦い全滅させたのは夕方だった…私はこれで渚がアームズになる事を拒絶すると思っていたが渚はこれ以上こんな思いをさせたくないと自らアームズになった、今思えばあの時に止めておけばよかったと思ったわ」
「……」
「どうしたのさ?」
「自分が一番辛い思いをしていたと思っていた自分が馬鹿らしく感じてな」
その時甲板の扉が開き大和が顔を出す。
「あ、居た、何してるんだ2人で」
「大丈夫だ大和が考えている事はして無いから、神風の思い出を聞いていただけだから」
「そうか…ならいいんだが」
「渚は?」
「心配無い…安心したのか今は眠っている」
「すまない大和…」
「構わないさ、お前も少し気を休める時間がいるだろう、その為ならレンナを一晩貸してやるぞ」
「人を物みたいに言うなよ…」
「じゃあ言葉に甘えて借りるわ…こいつと居ると何故か気が休まれる…お前達が一緒に居たくなる理由も分かる」
「お…おい…」
「それじゃレンナ」
と手を振り大和は室内に戻る。
「あそこまで話したんだ最後まで話してもいいか?」
「あぁ…」
最初の悲劇から4年、神風と渚は訓練を積み最強と言われるA-1部隊に配属された。
そして配属されてから初任務として哨戒任務に出る事になった。
「あわわ…」
「緊張しているの?」
「ものすっごく…」
「始めてと言っても一度戦った事があるんだろ?なら心配するな」
「そ…そうね大丈夫よ」
「分かりました、間口さん木岐さん」
「紺さんも頑張りましょうね」
「うん」
そして4人は哨戒任務へと向かった。
「居ませんね…」
「いつもこんなもの」
「だからといって気を抜くのはダメよ!」
「はい!」
木岐はそういい辺りを見渡す。
「でも静かすぎる…」
「どういう事ですか」
「波の音すら聞こえないなんておかしいわ」
「…!?」
渚は何かの気配を感じレーダーを見がレーダーには一切反応がなかった。しかしこのままだといけないと感じ一人で飛び出す。それを見て慌てて間口、木岐、紺は追いかける。
「一人は危ない…!」
(どこ…どこにいるの!早く見つけないと!私が殺さないと!)
「!?、渚危ない!」
いち早く気づいた紺が加速し渚を突き飛ばす。それと同時に紺の腹部に痛みが走る。明らかに人の蹴りと感じ紺は痛みに耐えながら
「こいつ!人!」
と叫ぶ。
「紺さん!」
渚が見えない敵の居場所を予想し砲弾を放つ。そして砲弾が何かを掠める。すると見えなかった敵の姿が露になる。
渚達はそれの姿を見て身構えた。




