第15話 女性その2の逆召喚 ~邪心まみれは人じゃない?~
あれから1週間経ちました。3回後の逆召喚儀式魔術です。
「カイト。」
姫さんも元気に魔法陣班が板を並べる所を見ています。
「今日は数歩歩いてはくるっと回っているわね。」
「回るタイミングが揃っていると綺麗ですね。」
「今日は直線で板を置くのね。」
「1列毎に板を置くようにした様ですね。」
同じように見えて、少しずつ変更が有るようです。
「詠唱班の人達、前に踏み出す歩幅が広いわ。」
「前に伸ばした手が地面に付きそうですね。」
「地面すれすれで這っているみたいに手が動いているわ。」
「ゆっくりと、しかし揃っていますね。」
「見ているのも楽しいわ。」
詠唱班の皆さん、練習の甲斐が有りましたね。
「そう言えば、以前封印の異能を持っている男性の1人が動けない話をしたのを覚えていますか。」
「魔物が頻繁に襲って来るから断ったのでしたわね。」
封印に行って、その間に村が魔物に襲われて消滅は嫌でしょう。
「そうです。周囲を捜索してみたところ、魔物の出現ポイントが見つかりました。」
「出現ポイントが本当に有ったのね。」
見つけた人も驚いたそうですよ。
「ええ、それでフライパンを振り回したケイトさんがその場へ行って、見事にポイントを封印しました。」
「やっぱりフライパンで封印したの?」
「本人もそれしか方法を知りませんからね。その場にいたものの報告では、フライパンでポイントを引っぱたいたら消えたそうです。」
本当に不思議なフライパンです。ケイトさんが使ったとき限定だそうですが。
「方法はどうでも消えれば良いのよね。」
「その通りです。それで他にも出現ポイントが無いか捜索し、見つかり次第、ケイトさんが封印することになりました。」
魔物出現ポイント捜索隊の封印担当ですね。
「他にも有ると困るものね。彼女はそれで良いって?」
「ええ、むしろ偉い人も居ず、少人数で行って引っぱたいて帰って来るのが気に入った様です。」
仰々しいのは嫌いな様です。
「それなら良いわね。これで二人目の男の人も封印に行けるのね。」
「ザンシさんですね、村への襲撃を阻止してくれた礼に封印に協力するそうです。」
ザンシさんは、律儀な人の様です。
「これで二人の封印の異能持ち、は増えたのかしら?」
「王都周辺の魔物出現ポイントの捜索作業が増えましたからね。」
1人増えて1人減りました。
「ま、まあ気付いたら周り中に魔物がってなるよりは良いわね。」
「それでは逆召喚を行いますか。」
魔方陣も敷き終えた様ですからね。
「今日の逆召喚も女の人?」
「そうです。」
「多いわね。」
「他も同時進行で捜索はしているんですけれどね。」
殆ど召喚場所も特定している女性がまだ残っているので。
「じゃあ始めましょうか。」
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、髪の長い瘦身の女性が佇んでいました。
「私は第2王女エルメラと言います。貴方の名前を教えて下さいませんか?」
「エルメラ様、助けていただいてありがとうございますわ。私の名前はシーラですわ。」
「シーラ様、今国内は魔物に襲われております。お力をお貸し願えませんか?」
「はい、良いですが私ができるのはこれだけですわよ?」
話し終わると同時に、シーラさんは右手を上げ、その手から光を放ちました。
「浄化の光ですわ。人間には何の被害もありませんわよ。」
「被害に遭われている人が居るのですが。」
何人か光を浴びて倒れていますね。
「邪心が強い方達ですわ。気が付いてから、懺悔を聞いて差し上げればすっきりしますわよ。」
「そ、そうですか。」
すっきりって何でしょうね。邪心が強い人は人間扱いして無いんでしょうか。
「それでは、あっ、もしかして浄化の光ってアンデッドに良く効きますか。」
「ええ、皆さんあっという間に塵になって下さいますわ。」
「それはそれは、是非ともアンデット退治に協力してください。」
姫さんがガシッとシーラさんの両手を力強く握りしめました。
「もちろんですわ。私の力が役に立ちそうで良かったですわ。」
シーラさんは嬉しそうに微笑むと、そのまま馬車でお城へと向かいました。
「ふふふ、アンデッド退治。これでアンゼローネが城に戻って来るわね。」
そう簡単にはいかないと思いますよ。
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