第17話 フィリップくんが良いじゃない
「ぷはぁ~。この一杯のために生きてるて感じがするよねぇ」
「まぁな。その一杯のために生きてるかどうかは別として、風呂上りの飲み物は非常に美味く感じるわな」
「ねぇ、ちーちゃん」
「なんだ?」
「ちーちゃんが飲んでるの、ソレなに?」
「あぁ、これか? 私が飲んでいるのはスポーツ飲料だ。今日はサウナにも入ったしな。サウナに入ると大量に汗をかくだろう? 実はその汗と一緒に多くのミネラル分が失われてしまうんだ。だから、水分を補給すると同時にこれらの失ったミネラル分を補給するには、スポーツ飲料が最適と言える訳だな」
「へぇぇ」
「でも、スポーツ飲料って結構糖分が入ってるんでしょ? ダイエットを志す者としては敬遠すべき飲み物だよねぇ」
「まぁな。ミネラル分と言うのはそのままでは体に吸収されにくいらしいからな。体に吸収されやすくするために、多少の糖分を加えているんだろう。ただまぁ紬が言う通り、糖分も確実に含まれている訳だから、ダイエットと言う観点から考えると日常的に飲むモノでは無いな」
「だよねぇ。って事で、私はコレ!」
「ん? かなり自信満々に突き出しているソレは、いったい何を意味しているんだ?」
「もぉ、ちーちゃんったら物知りのクセに分かって無いなぁ。私の飲んでいるのは古くからの定番! コーヒー牛乳だよっ!」
「あぁ。確かに銭湯と言えばフルーツ牛乳かコーヒー牛乳かってぐらい、定番と言えば定番な商品だわな」
「何しろコーヒー牛乳って言うぐらいだから、コーヒーと牛乳しか入って無いんだよ。つまり、こんなに甘くておいしいのに、糖分は含まれてないわけよっ! こんな素晴らしい飲み物を飲まないなんて、ちーちゃんともあろう者が、一体どうした事だい?」
「いやいや。お前の頭の方が一体どうした事だい? と言いたいところだな。コーヒー牛乳にはメチャメチャ糖分が入っているんだぞ、って言うかそれ、ほとんどが糖分だからな」
「えぇぇ。ウソォ! だってコーヒー牛乳だよ? コーヒーと牛乳で出来てるのに、どうして糖分が入っているの? だってどこにも微糖とか、甘さ控えめとかって書いてないよ?」
「そう言う意味だと、無糖とすら書いてないだろ? まぁメーカー側からしたら甘さを控える気なんて微塵も無いだろうから、正直そんな事を書く気にすらならないんだろうけど。ほら見てみろ。ビンの裏側に書いてある原材料名のところ。ここには含まれているモノの多い順に成分が記載されているんだ」
「へぇぇ。知らなかったよ。私はてっきり作っている人たちが嫌がらせで書いてるのかと思ってた」
「なんだよその嫌がらせって」
「ほらほら、よくソシャゲとかって最初に課金する時は親の承諾がどーたら、こーたらって書いてあるでしょ? あんな感じかなぁって」
「どこの世界に銭湯で売ってるコーヒー牛乳で課金しようってヤツがいるんだよ。しかもソシャゲ作ってる人も別に嫌がらせで書いてる訳じゃないからな。って言うか、ほら。一番最初に書いてあるのは砂糖と液糖だろ? 次に乳製品で、やっと三番目に乳、コーヒーなんて四番目だ」
「おろろっ! 本当だ。って事は、コーヒー牛乳の中に入っているモノで一番多いのは糖って事なのっ!?」
「まぁ、そう言う事になるわなぁ」
「マジかー。って事はもうこれ、コーヒー牛乳じゃなくって、糖分乳製品じゃん! コーヒーに牛乳、ドコ行ったんだよっ! 酪農家さんとコーヒー農園で働くフィリップ君に謝れっ!」
「誰だよそのフィリップくんって」




