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東方夢創伝  作者: 寝起きのねこ
やっぱり騒がしい平和な地底
50/56

うーん、やっぱり強すぎるって。

「《霊符――」

「させるかッ!」

さっきから戦況はずっとこんな感じだ。

霊夢が夢想封印を撃とうとするたびに俺が剣で攻撃を仕掛けて妨害する。

「さっきから妨害ばっかりね!」

「ルールにはまる必要なはいって言ったのは何処のどいつだ?」

「魔理沙よ!」

霊夢がお札をばら撒く。

それをグレイズしながら接近を試みる。

「やっと隙が出来たわね! 《夢符「二重結界」》!」

霊夢の周りに2つの結界が張り巡らされる。

「喰らいなさい!」

結界の中で弾幕が変質する。

なるほど、一重目で外に撃った弾幕が二重目で中心に向かっているのか。

んで、その外だと一重目と同じになると。

俺のいる場所は一番外だが2番目の結界が接近を邪魔している。

つまり完全耐久だな。

霊夢が次のスペルを詠唱するまで待つことになるが結界系の弾幕だから接近は基本的に不可能だ。

さて、どうしたものか…

ベルゼブブを使ってもいいけどお札を喰い破れるのかどうかは不明だ。

紙切れじゃなくて腐っても巫女のものだからなぁ…

物は試しだ。

ベルゼブブに化けるとハエをばら撒く。

案の定、紙に喰いついたハエたちは燃え上がった。

やっぱりだめか。

人間の姿に戻ると弾幕を避けながら考える。

「いや、簡単な話だったか。」

片腕を剣に変えているのならその質量も同様に変えることができる。

剣を竜の鱗に変化させる。

さて、これで後ろからくる弾幕さえ気を付ければ突破可能だ。

飛んでくるお札を斬りながら接近する。

触れれば燃え上がるが特に熱くも感じないし痛みもない。

やれるだけやってみますか。

二重目に突入すると弾幕はだいぶ変わった。

後ろからくるのを何とか察知しながら前に進まないといけない。

これが立体だとめちゃくちゃ難しい。

ほとんどを第六感で避けて、それでも被弾しそうなら肌を鱗に変えて防御する。

そんな感じで何とか二重目は突破した。

「ッ!?」

一重目は弾幕の速度が異常なまでに速かった。

そりゃあボスに近い方が弾幕が速いのは言わずもがなだ。

でもここが攻撃のチャンスであることもまた事実だ。

度重なる被弾を強引に押しのけながら霊夢に斬りかかる。

「《霊符「夢想封印 散」》!」

お札と中弾、それに陰陽玉が爆発するように放たれた。

「なッ!?」

弾幕に合わせて慌てて後退する。

また距離を取ることになった。

「猫辰! 苦戦してそうだな!」

攻めあぐねていると正邪と背中がぶつかった。

「正直かなり不味い状況だ!」

「だろうな!」

「能力で助けてくれないか?」

「了解!」

霊夢の弾幕が再び飛んでくる。

「能力発動、ひっくり返す程度の能力侮るなかれ。」

ニヤリと笑って正邪が能力を発動させる。

弾幕は霊夢のもとに逆走していった。

「ちょっと!?」

霊夢が慌てたように回避行動をとる。

その隙をついて俺は霊夢に接近する。

隙間も使って距離も縮める。

目の前に迫ると、拳を叩きこむ。

「ッ!?」

「…博麗の巫女だからって格闘が出来ないわけじゃないだろ?」

「…舐めんじゃないわよ。」

霊夢はニヤリと笑うと大幣を振るう。

顔のすれすれを通った大幣を躱すと蹴りを叩きこむべく後ろに回り込む。

「甘いわね。」

バチンと俺の攻撃がはじき返される。

「秘儀『二重結界』。スペルカードだけだなんて思っていないでしょうね?」

「…あらら、やられちまった。」

魔理沙と同じ轍を踏んだことで自然と笑みが零れてしまった。

本当に、懲りろよ。

「観念なさい!《霊符「夢想封印」》!!」

霊夢さんの怒りがすべてため込まれた弾幕が俺の身体を叩く。

鱗を出して耐えているがそれもあっという間に剥がされて生身で弾幕を味わう。

「…大人しく焼かれるとしますか。」

弾幕が晴れたとき、俺はぼろ雑巾になって空中に浮かんでいた。

「――! まだ耐えるの?」

「いや、もう限界だ。」

俺の身体は浮遊能力を失って地面に墜落した。

頭が下を向く。

いや、それはマズいな。

腕を地面に向けて緩衝材にする。

パキッと軽い音がして地面に転がると仰向けで止まった。

青い空に赤い点が見える。

「うーん、やっぱり強すぎるって。博麗の巫女さん。」

俺はそういって笑うしかなかった。

結構ズルい手とか使ったけどそれでも勝てないんだからもう負けを認めるしかない。

勿論本気は出してないけど。

それでも強すぎるって。

正邪の方を見ると丁度マスタースパークにこんがりと焼かれて俺の隣に落ちてきた。

「あーあー、負けちまったよ。」

何処かすっきりした様な様子で正邪が俺の方に顔を向ける。

「あんまり悔しそうじゃないね。」

「当たり前さ。本気じゃないんだからな。」

「奇遇だな。俺も同じ。」

「…仲がいいな。」

「…ホント。」

何方からともなく手をつなぐと一緒に空を見上げた。

「ねえ、正邪。おかしなこと言ってもいい?」

「んー、なんだ?」

「強すぎでしょ。」

「お互いにな。」

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