私の能力を知って言ってるのか? だとしたらそれはひどい侮辱だぞ?
段々と最近のお話の文字数が少なくなってきてる…
もう少し構想をしっかり練るようにしないとなぁ。
でもこれ以上更新速度を遅くするのも…
これ無限ループじゃん。(?)
時は来た。
そんなかっこいいこと言っても俺の死へのカウントダウンなんだけどね。
俺はそんなことを考えながらひっそりと苦笑する。
「ん、どうした? 急に笑い出して。」
正邪が心配そうに聞いてくる。
まあ、1人で考えて笑ってるんだ。
傍から見たらただの変態だろう。
「何でもない、少し怖いだけさ。」
当たらずとも遠からずなことを言う。
「怖いのに笑うのか? 変な奴だな。」
「怖いからこそ笑うのさ。行ってしまえば自分を洗脳している感じかな?」
「やっぱり変な奴じゃないか。」
…まあいっか。
どうせ、長くない命なんだから。
なんとなく正邪の連打で命を散らす覚悟は出来た。
あの時の正邪の顔は死ぬ覚悟を決めた時より怖かったからなぁ…
とりあえず俺は目視できる範囲で兵を確認する。
「数はざっと1500くらいか…正邪、厳しそうなら逃げてくれ。ここの里長の娘である『そら』って奴に俺のことを伝えれば助けてくれるから。」
それを聞くと正邪は肘で俺のことを突いてきた。
「ふざけるな。私の前でむざむざ死にに行くような真似はよしてくれよ。」
「善処しよう。」
俺もタダで殺される気は毛頭ないので言葉に嘘はない。
その時遠くに兵士たちとは違う影が見えた。
「おい…嘘だろ…」
俺は目を見開いた。
当たり前だ。
これじゃあ善処の仕様がないじゃねえか。
そこに現れたのは戦車だった。
装甲の程は分からないが今の俺らがどうこうできる相手じゃないのは間違いないだろう。
俺はため息を吐くと考え直すことにした。
しょうがない、今までの作戦は大きく変更することにしよう。
夜遅くまで作り続けてきた罠が水の泡だ。
「正邪、あれはダメだ。あのでっかい奴は見ての通り俺らには対応できない。人里におびき寄せてそこで確実に倒していこう。」
すると正邪はにやりと不敵な笑みを浮かべた。
「私の能力を知って言ってるのか? だとしたらそれはひどい侮辱だぞ?」
その言葉に俺は誰を味方にしているのか思い出した。
流石は天邪鬼、やることが違う。
俺は頷いた。
「あのでかいのは任せた。作戦に変更は無しだ。」
俺は弓を構えると1番近くに来た兵士に向けて放つ。
罪悪感に押しつぶされそうだがこの際仕方ない。
心を鬼にする覚悟で行くしかないだろうな。
ちなみに1番近くといったが300メートルほどの距離がある。
それでも相手には当たったみたいだ。
足を抑えている。
これがホントの足止めなんてね。
しかし、向こうも兵士の様子を見て完全に警戒している。
「おい…」
その時、正邪は俺の服を引っ張りながら呼びかけてきた。
「なんだ?」
「あの兵士、私の見間違いじゃなければ自殺、しようとしてないか?」
「は?」
俺は聞き返す。
それだけ正邪の言っていることは突拍子もないことだった。
しかし次の瞬間、正邪の言っていることは正しいことが分かった。
ズダァン!
銃声が響き渡る。
慌てて身を伏せるが、砦に傷がついた様子はない。
恐る恐る頭だけを出してあたりを確認する。
俺の目に映ったのはとんでもない光景だった。
その兵士は、持っていた銃で自分の頭を吹き飛ばしていた。
その証拠に銃口は頭のあったところに向いておりそこからは煙が上がっている。
「嘘だろ…」
俺の頭が理解を拒否した。
しかし、嫌でも現実が目に訴えかける。
間違いなく、正邪の言った通りその兵士は自殺していた。
他の兵の足手まといにならないために。
俺は確信した。
こいつらは自分たちすらもコマの一端としていとも簡単に捨てることのできる連中だ。
背筋に寒気が走る。
俺も似たようなものなのかもしれない。
でも、こうも集団としてやられると俺も恐怖を抑えるのは難しい。
よく集団美というものがある。
奴らの行動はそれを連想させた。
しかし、そこにあるのは任務遂行ただそれだけだ。
怖い。
純粋にそんな気持ちが沸き上がる。
でも、あの里の連中に言った以上は死体の1つはこしらえないとな。
俺は慎重に隙間から弓矢を構える。
出来れば人は殺したくない。
それはほとんどの人間が思っている事だろう。
しかしそんな半端な気持ちすらも今は命取りだ。
キリキリと引き絞り放つ。
矢が一人の心臓を貫いた。
「ふぅ…」
これで俺も人殺しだ。
こうして俺たちの防衛戦の火ぶたは切って落とされた。




