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リュボーヴィ クローリク  作者: 西瀬 零真


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第四話 「学園のマドンナとは」

※本作はオリジナル作品です。

※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。

※更新は不定期です。

昨日、うゆくんとの記念すべき“お姉様呼び”や“初ティータイム”を終えた、心地の良い朝。

目覚めは、いつもより格段にいい。

むしろ、良すぎる。


(……夢じゃないわよね?)

念のため頬を軽くつねってみるが、しっかり痛い。

どうやら、ちゃんと現実のようだ。


私は満足げに息を吐き、学校へ行くための準備を始めた。

身なりを整え、髪を整え、最後に軽く鏡の前で確認する。

(よし、完璧)


そのまま朝食を取るため、ダイニングへと向かった。


すると、そこには。

制服姿のうゆくんが、鎮座していたのである。

(……は?かわいいのだけど?)

ゲームの中では見慣れていたはずの制服姿。

けれど、現実で見るそれはどこか新鮮で思わず頬が緩む。

心の中でそっと手を合わせながら、私は席に着いた。


テーブルには、温かいスープと、焼きたてのふわふわのパン。

今日の朝食は洋食メインらしい。

湯気の立つスープを一口含む。

(美味しいわ……)


けれど……それ以上に。

私と同じものを、うゆくんも口にしている。

それだけで、どうしようもなく満たされる。

視線の端で、彼がパンを小さくちぎって食べているのが見えた。

少しぎこちなくて、でも丁寧で。


(尊い)

私は何食わぬ顔で食事を続けながら、内心では何度も崩壊していた。


そして——

今日から、うゆくんは私と同じ学校に通う。

案内役として、一緒に登校することになっている。


……なのだが。


(あれ?)

何か、大事なことを忘れている気がする。

……まあ、いいか。今はそれどころではない。

なんにせよ、推し活に集中したい。

——だって、すぐ隣にはうゆくんがいるのだから。


こうして私は、重大な問題……

あの面倒くさい()()()の存在を、見事に脳内から消し去っていた。


この時の私は、まさか。

あんなことになるなんて、知る由もなかった。


✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼


車で学校の正門付近まで送ってもらい、

そこからは、うゆくんと並んで歩く。

制服姿の彼は、やはりどこか初々しくて。


周囲の景色を、少し不安そうに、それでいて興味深そうに見つめている。

(初登校って感じね)

その様子があまりにも微笑ましくて、

つい少しだけ、歩幅を合わせてしまう。


学校へ向かう道すがら——

周囲の生徒たちの視線が、一斉にこちらへと向けられていた。


ひそひそとした声。

驚き。

ざわめき。


(まあ、そうなるわよね)

私は、彼を見せびらかすように堂々と胸を張って歩く。

何を隠そう、隣にいるのは私の“最推し”なのだから。


すると。

うゆくんが、不意に口を開いた。



鈴乃(すずの)お姉様は、人気者なんですね……!

すごいです……

道ゆく人が、みんな鈴乃お姉様を見ているんだから……」



(……ああ)

なんて、純粋なのだろう。

でも、うゆくん。

それは誤解なの。

みんなが見ているのは——“あなた”よ。


()()()()()()()()()()()()()を。


あまりにもズレた認識に、思わず笑みがこぼれる。

そして、そのまま口が勝手に動いた。



「うゆくんは、謙虚さんなのね……」



……しまった。

言った瞬間、空気が止まる。

うゆくんが、きょとんとした顔でこちらを見ていた。


(やばい。やばいやばいやばい)

心の中でだけ呼んでいたはずの名前を、

そのまま本人に言ってしまった。


人生終了のお知らせが、脳内で鳴り響く。

(どうしよう……変なあだ名つけて気持ち悪いって思われたら私もう……)



「あの……うゆくんって、もしかして僕のこと呼んでくれたんですか?」


「は、はい……」



終わりを覚悟する。

けれど。



「ふーん……

ふふっ」



柔らかく、微笑んだ。



「鈴乃お姉様が、僕のことをそう呼んでくださって……

すっごく嬉しいです……」



(え、セーフなのですか!?

というか、可愛すぎるのですけど!?)



「あだ名なんて、人生で初めて付けられました……

今度、由来教えてくださいね♪」


(!?!?!?!?!?)


「う、うゆくんが嬉しいなら、良かったわ……」



私は、必死に平静を装いながらそう答えた。

けれど、その内側では。

完全に、限界を迎えていた。

(尊い……無理……好き……)


その時だった。

今の私にとって、到底受け入れ難い。

最悪の声が——

私の名を呼んだ。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

よければ評価・ブクマ・♡で応援していただけると励みになります。

感想など頂けましたら泣いて喜びます…!


次はやっと彼の出番です〜☺︎

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