第四話 「学園のマドンナとは」
※本作はオリジナル作品です。
※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。
※更新は不定期です。
昨日、うゆくんとの記念すべき“お姉様呼び”や“初ティータイム”を終えた心地の良い朝。
目覚めはいつもより格段にいい。
私は学校へ行くために準備をしていた。
身なりを整え、朝食を取るため移動する。
すると——
制服姿のうゆくんが鎮座していたのである。
ゲームの中ではいつも通りの服装だが、改めて見るとなんだか新鮮で、思わず頬が緩んだ。
心の中でそっと拝みつつ、朝食の温かいスープやふわふわのパンを口へ運ぶ。
今日の朝食は洋食メインである。
うゆくんの口に運ばれるそれと同じものを、私も味わっていると思うと自然と気分が高揚した。
そして、今日からうゆくんは私と同じ学校に通う。
案内役として一緒に登校することになったのだが——
正直、あの面倒くさい婚約者の存在をすっかり記憶から消し去ってしまっていた。
この時の私はまさか、あんなことになるなんて知るよしもなかった。
初々しく制服を着こなす、慣れない様子のうゆくんと過ごすこの瞬間は、まさに至福の時である。
車で学校の正門付近で送ってもらい、正門からうゆくんと歩く。
学校へ向かう道すがら、周囲の生徒たちは皆、彼に視線を向けていた。
私は彼を見せびらかすかのように自信満々に堂々と彼の隣を歩く。
すると、うゆくんが不意に口を開いた。
「鈴乃お姉様は、人気者なんですね…!
すごいです…
道ゆく人がみんな鈴乃お姉様を見ているんだから…」
なんて謙虚なのだろうか…
でも、うゆくん…それは誤解なの。
みんなは“あなた”を見ているのよ。
この世界で一番可愛いあなたを……
少しおかしなことを言う彼に、思わず笑みが零れ、そのまま口が動いてしまった。
「うゆくんは謙虚さんなのね……」
すると、
うゆくんがきょとんとした顔で、私を見つめていた。
(……やばい。やばいやばいやばい)
私の心の中でのみ、ずっと呼んでいたうゆくん呼びをすっかり忘れて、
そのまま本人に言ってしまった失態に気づく…
(どうしよう……変なあだ名つけて気持ち悪いなんて思われたら私もう…死…)
「あの…うゆくんって、もしかして僕のこと呼んでくれたんですか?」
「はい……」
「ふーん…
ふふっ、鈴乃お姉様が僕のことを名前で呼んでくれてすっごく嬉しいです…」
(え、セーフなのですか!?
というか、すっごく可愛いのですけど!?)
「あだ名なんて人生で初めて付けられました…
今度、由来教えてくださいね♪」
(!?!?!?!?!
初めていただいてよろしいのですか!?)
「う、うゆくんが嬉しいなら良かったわ…」
うゆくんへの萌える気持ちを全力でひた隠しているその最中——
今の私にとって、到底受け入れ難い最悪な声が私を呼んだ。
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次はやっと彼の出番です〜☺︎




