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リュボーヴィ クローリク  作者: 西瀬 零真


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第一話 「推し事計画」

※本作はオリジナル作品です。

※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。

※更新は不定期です。


「は、初めまして......あ、有栖(ありす) 結真(ゆいま)です......」


気恥ずかしそうに、もじもじと視線を泳がせながらの自己紹介。

私の胸の鼓動は早鐘のごとく鳴り響いた。


(やばい、無理、尊い)


そう、大切なことなので改めて言おう。

私の()()()()()()()こと、

いと美しき彼の名は——有栖(ありす) 結真(ゆいま)


見た目だけでも反則級なのに、名前まで可愛いとかどういうこと?

攻撃力が高すぎる。

そのうえ、この控えめで、どこか不安そうな声音。

守ってあげたくなるような仕草。


(無理、好き)


つい頬が緩みそうになるのを、必死に堪える。

落ち着きなさい、私。

ここで変な反応をすれば、すべてが終わる。

ファーストインプレッション。

そう、第一印象はすべてを左右する。

私は一度、小さく息を整えた。



「初めまして。(わたくし)西園寺(さいおんじ) 鈴乃(すずの)よ」



なるべく柔らかく、けれど気品は崩さず。



「これからは家族になるのだから、

私のことは本当の姉だと思って接してくれたら......その、う、嬉しいわ」


(言えたわ……!)


「分からないことは、何でも私に聞いてちょうだい。

よろしくね」


我ながらいいレスポンスだと自負する。

彼がたとえ誰かと結ばれる未来になったとしても……

その人生のそばに、少しでも関わっていたい。

だからこそ、ここでの印象は絶対に落とせない。

ゆえに私は“()き姉”という美味しいポジションに乗っかった。


姉であれば——

勉強を教えることもできるし、

お菓子を与えることもできるし、

欲しいものを与えることだってできる。


そして何より——

彼が困った時、一番最初に頼られる存在になれる。


(最高では?)


不貞の可能性が完全に消えたわけではないが、

この状況を用意してくれた父には、少しだけ感謝してやってもいい。 



「彼は私の古い親友の子供でね。

鈴乃と、ちょうど同い年だから仲良くしてやってくれ。頼んだぞ」


「もちろんですわ」


——言質、確保。

そして父の不貞疑惑も晴れた今、ここからが本番である。

私はうゆくんに、屋敷の案内を申し出た。


……さて。

「うゆくん」とは何か、と思ったそこのあなた。

しかと説明しておこう。


彼は『リュボーヴィ クローリク』

通称“リュヴィクロ”というBLゲームの主人公。

その名の通り、うさぎのように愛らしい存在である。


ゆえに、“うさぎ”+“ゆいま”=うゆくん。


(完璧な命名)

なお、私が腐っている件については一旦置いておく。


ゲーム通りだと、うゆくんは西園寺家にやってきて、

攻略対象たちと様々な障害を乗り越えながら、恋をしていく。

……その障害のひとつが、私——西園寺 鈴乃。


(いや、無理無理)

この私が、うゆくんに害をなすなど。

あり得ない。絶対にあり得ない。

それに、そんな酷いこと、できるはずがない。


ここは無問題(モーマンタイ)である。

——少なくとも、今の私にとっては。


ただし。

ひとつだけ、問題があるとすれば……私の()()()である。

彼は、うゆくんの恋人候補の一人。

ゲームでは、うゆくんに嫌がらせをした私を徹底的に排除しにかかる。


そして彼の性格上。

たとえ私が何もしていなくとも、

邪魔だと判断すれば、容赦なく切り捨てるだろう。

(詰んでない?)

だからこそ、まずは“婚約破棄”。

話はそれからだ。


私は静かに決意する。


そして……

うゆくんの恋路を、この目でしかと刮目する所存である。

それが、最推しを愛する者としての——責務なのだから。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

よければ評価・ブクマ・♡で応援していただけると励みになります。

感想など頂けましたら泣いて喜びます…!


次回は、うゆくんとの記念日になります。

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