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ロイロの日常  作者: 寸劇
第三章 過去に浸る 夜
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深夜と少女 その二

妹と弟の目をかいくぐり、夜一時に家を出る。

もし警察なんかに見つかったら今度こそ終わる。

その警戒心を切らさないようにしながら 姐さんの家へ 自転車で向かった。

日中とは違う、別世界のような路地を走り抜けていく。 踏切を超え、少し進むと、そこにあるのは大きな住宅街だ。


「うわぁ…すげーな…」

姐さんの住む家は、クロエ嬢と同じ住宅街だ。

この住宅街は広い。高級住宅地…と言うのだろうか。有名な起業家がいたり、芸能人も少しいる。

姐さんの家の近くにも、有名俳優が住んでいると聞いた。

住宅数は多くはないが、何にせよ敷地が広いため

お隣さんの家までが地味に遠い。そのせいで広く感じるんだよなぁ…いや、広いんだけどさ。


こんな夜中に出歩くのは俺くらいのようだ。誰とも合わない。

家の明かりが少し漏れている豪邸の前に到着した。

ひとりで走っている夜道も目的地に着き、終わりを告げた。午前一時二十三分。

ここが、姐さんの家だ。1・2・3が続くと前に見たアニメのチンチロリンを思い出す。確か…負けるんだっけか。しかも2倍。


「姐さんはどこだー…」

この夜中に家を尋ねるんだからな、チャイムなんて鳴らせないし。それに、連絡が来ない…。

ていうか、門扉開いてないし。どうやって入れと?

「連絡くらいくれよ…姐さん…」

「しょうがないなぁ 連絡してやるよ。あの、レーゲ・アールと申しますぅー。ショウ君ですかー?」

パーカーのポケットから携帯のバイブの振動が伝わる。姐さんからの着信だ。

「あ、姐さん?俺だよー俺。 来たんだけどさぁ、どうすればいい?」

「んー…そうだなぁ…服装は長袖?懐中電灯、持ってきてる?」

「勿論、姐さんの命令は何でも聞くよ、実行するよ。…出来ることならな。」

「じゃあ、金を出しな。そして、裸になれ。勿論ここで。実行しろよ?家畜」

「言い過ぎだ。渋滞しそうだぞ、何かが。」

いじめられっ子かな、俺。次は何されるのかな?

「分かってるよ、ショウ。ちょっと待ってて」

塀の上から 颯爽と下りてきた女性、揺れてる。

何が?アレが。

「やあ、家畜…じゃなくて、ショウ。」

電話は切れた。通話時間、一分十三秒。

「酷い言い間違えをしたな、姐さん。」

家畜とショウ どう言い間違えるのかを聞きたい。

言い間違えじゃないだろうけども。

「まあまあ、ドジっ娘何だよねぇ 私。」

「ドジっ娘・巨乳・イケメン・ドSですか?やっぱ渋滞するよ。それは」

「いやいやいや、イケメンだけ残しておいて。」

「ほかのキャラは?いらないですか?」

「要らないなぁ。 私はキャラ作りなんていらないのさ。」

「…………はぁ」

呆れるかけている。こんなこと口に出せないけど。

「……ショウ、お前、引いたな?」


街灯に照らされた姐さんの姿は美しい。

口を開いて下ネタさえ言わなければ、最高だ。

それがいいのだろうけど。俺はそう思う。

「それで、どこに行くんだ?もう四十分だよ」

「それはねぇ…お化け屋敷だよ。きゃー」

「お化け屋敷…?どこにあるんだよ」

姐さん曰く、自転車で五分もかからないらしい。

昔の貴族の家とか言ってるが…見た目は蔓が生えている煉瓦造りの家らしい。

「へーぇ、そこになんの幽霊が出んの?」

「何かさ 召使いに裏切られて殺害された領主の亡霊だって。 夜な夜な探してるらしいよ…その召使いを!」

強く風が吹く。 夏の夜なのに、少し肌寒い。

「じゃあ、出発しますか!姐さんは、何で行くの?」

「ん?歩き、足を使おうかと。自転車出したのバレると面倒だし。」

「姐さんの父親は怖くないだろー」

ヴァンフ・アール。 若くして成功した大富豪。

「母さんの方だよ。家の権力者は母親だと思ってるからね。」

大富豪より夫人の方ですか…俺の家と逆だな。

「ほら、行くよ。準備はオッケー?」

「うん、大丈夫。」


ひと夏の 味が濃い思い出が残る。

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