出会いの日 3-Y
風呂から上がると、服がいくつか用意されていた。適当に良さそうなものを着る。下着は履かなかった。どうせすぐ脱がされるのだ……
アルトは、風呂から上がった私を見ると、顔を赤らめてそっぽを向いた。分かりやすすぎる。私を買う時にもっとあられもない姿を見たはずだが……
そもそもこんな調子で今からする行為は大丈夫なのだろうかと、こっちが心配になってくる。だが彼はこれで何度目だろうか、またもや私を困惑させることを言う。
「ユキの服…… あとその他にも必要なもの買いに行かなきゃね。お腹はすいてる? ついでに外で…… あ、でも疲れてるか、そしたら今日は家で……」
一体なんなのだ…… 私の服というのは、こいつの好みのものを着させられるというならまだ分かるが、奴隷に腹がすいているか確認して、まさか一緒に飲食店に入ろうというのか? 普通、飲食店に入る時は奴隷は拘束して外で待たせておくものだろう。
極めつけにまた私の体調を気遣うかのような…… いや、“かのような”ではなく、本当に気遣っていると認めざるを得ない。私を手籠めにしようという気配は全く感じられなかった。
「お前は……」お前は何なのだ、私をどうしたいのだと訊きたかったが、私は無意識の内にその質問に答えが返ってくるのを恐れていたのかもしれない。
私は結局それを訊くのをやめて、先ほどから気になっていたことを訊いた。家の者はどうしたのだ、どこに行ったのだと。
「家族も奴隷もいないよ、ユキ以外には」
その口ぶり…… 「両親とも、死んだということか」
「まあ、死んだというか…… もう会えないのは確かだね」
そうか…… そういうことなのか…… 私の中で予想が再計算され始める。こいつは親を最近亡くした子供で、けれど上流階級だったからその遺産で一人で生活している…… 一人で? 身寄りすらないのか?
「だが親戚に引き取られたりは……? なぜこの家で一人で……」
アルトは目を伏せた。私ははっと我に返る。こんなこと、会って初日の私に話したいことではないだろう。まして子供相手に私は……
「うーんそれはさ…… 別に楽しい話でもないから……」
「そ、そうか、すまない……! 無神経な質問だったな、こんな立ち入った話を……」
私の中でぐるぐると色々な考えが回っていた。私はこの子供をどう捉えるべきか、全く分からなくなった。1つ確かなことは、私は自分の発言に良心の呵責を感じているということだった。相手がどのような人間か、判断しかねていても……




