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出会いの日 2-A

 家への道中、初めの内僕はユキに話しかけたけど、ユキは何にも答えないから、僕も何にも言えなくなってしまった。結局彼女と会話したのは拘束を解いたあの一瞬だけだ。僕はなんだか気まずい思いで黙って歩いていたけど、ユキは堂々と歩いていて、何だか主人と奴隷が逆みたいだ…… まあ、それは彼女を買った時からずっとそうか。


 家に着いて僕は言った。「えーと、とりあえずお風呂入ってもらっていいかな……?」

 ユキは、その、何て言ったらいいかな、そう、ばっちい感じだった。いや、それは仕方がない。一部の超高級奴隷ならいざ知らず、裏通りの大衆店の奴隷はお風呂に入れる機会なんてない。最低限売り物の体を保つために、体を水で拭くくらい。そもそもこの世界でお風呂に毎日入るのは、基本的にある程度上流階級の人だけだ。だからそう、ユキも久しぶりにお風呂に入りたいんじゃないかなと思って、いやまあ、本音を言うとこの状態で家の中で生活してほしくない……

 ユキはやっぱり黙っている。僕は靴を脱いで家に上がり、「お風呂はこっちだよ」

 良かった、ユキも黙って家に上が…… あれ? 待って、靴は!?

「あ、あれ!? ユキ裸足だったの!?」

 ユキは怪訝そうな顔をした。

「あ、そ、そうだよね、当たり前か…… ごめん、気付かなくて…… 足、痛かった、よね……?」

 お店から家までは歩いて15分ほどだ。その間ユキを裸足で歩かせてしまった。気を利かせたつもりでコートなんか貸して満足してしまい、靴を履いてないことには気付けない…… 僕はいっつもこうだ。本当に人の事を考えて行動することができなくて、これじゃあ迷惑な偽善者と変わりがない。

「ほんとにごめん、あ、怪我とかしてない……?」

「私はこのくらいで怪我などしない」

 ユキは何だか驚いた顔で、答えてくれた。そりゃそうか、15分も一緒に歩いて靴を履いてないことに気付かないなんて、普通の人ならありえないもんね……

「そ、そっか…… 良かった、じゃあえっと、お風呂へ……」

 僕はお風呂へ直行する。着いてきたユキへお風呂の説明。“声”に、僕が元いた世界のお風呂に似せて作ってもらったから、この世界の人にはシャワーの説明とかからしないといけない。

「ああ~ごめん、シャンプー、ああその、髪用の石鹸とか僕のしかないや…… 僕のだけどとりあえず今日はこれでいいよね?」


 説明しながら僕はこれは思ったより大変だと思い始めた。実を言えば、今日即日で奴隷を買うとは思っていなかったのだ、どのお店が良いとかも分からないし、今日はとりあえず偵察を、くらいの気持ちで、お金も、持って行かないのは流石にあからさまだから一応持って行っただけで、何件か回って目星を付け、一旦帰って検討するくらいのつもりだった。だから、家の中に女性用の物は何にも用意していない! お風呂用品も服も僕のしかない。ベッドと部屋は無駄に多いから寝る場所はとりあえず大丈夫…… などと考えながら説明を終えた。

「じゃ、じゃあごゆっくり…… 服もとりあえず僕の用意しとく、ユキが入ってる内に置いとくから…… あ、覗いたりしないから!」

 ユキはにこりともしない。僕はもうどうしようもなくなって、曖昧な笑みを浮かべながらドアを閉めた。ああ~、何であんなこと言ったんだ……

今回文字数少ないので、今日の22時くらいに次回も投稿しちゃいます。

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