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10-A

「病院まで連れて行ってやるからな。場所を教えてくれ」

 異様に艶めかしい食事体験を何とか無事に終えた僕たち。片付けを終え鎮痛剤も飲むと、僕はまたユキにお姫様抱っこされてしまった。

「この格好でっ!?」

「そうだ、アルトを歩かせるわけにはいかない」

 こ、これで外に出るのは流石に恥ずかしいよ……!

「で、でも薬飲んだから……」

「あれは鎮痛剤だ。痛みを感じなくなるだけで、体が治っているわけじゃない」

 確かにそうだけど、う、うーん、反論が思いつかない。

 それに実を言えばこの体勢、嫌いじゃない…… ていうか好きだよ…… 微かな畏れと緊張は僕の中にまだ残っているけれど、ひどいことはされないだろうと、今は実感がある。それに家の中じゃなくて外で、しかも日中だから…… いや、ユキを信用してないわけじゃないんだけど。

「重くない……?」

「大丈夫だよ。軽すぎて心配になるくらいだ」


 結局僕はユキに抱かれて病院へ。すれ違う人に時々見られて僕は恥ずかしかったけど、ユキは何とも思っていないようで堂々と歩いてて、格好良いなって思った。病院では治癒をかけてもらった。お医者さんにどうしてこうなったのか聞かれたから、ユキが何か言う前に僕が階段から落ちたって言ったら、ユキはやっぱり辛そうな顔をしていた。どうしたらユキが苦しまないで済むのかな……


 治癒が終わって、僕は完全に通常時の体へ完治した。けれどユキはまた僕を抱き抱えようとする。

「ちょ、ちょ……! もう大丈夫だって! もう痛みもないよ、ほら!」

 僕は手を握ったり開いたり、その場で軽く跳ねたり。

「いやしかし…… 大事を取って今日のところは家へ……」

「ほんとに大丈夫だから! それよりもさ、ユキの服とか買いに行こう、せっかく外に出たんだし」

「私の服なんて何だっていいよ」

「それはダメだよ。うーんほら、僕が嫌なの」

「そ、そうか…… そういうことなら」

 僕はなんとかユキを納得させる。だってユキ、今はまた僕の薄手のコートを羽織ってもらってるけど、この下は昨日から同じ、なんていうか、そう、刺激的な見た目だから……


 僕たちは、僕がいつも服を買うお店(と言っても転生してから数回しか来たことないけどね)へ。ここはまあ、高級衣料品店という部類にはなるのかな。とんでもなく品揃えが多くて、しかも変わった服が多い気がする。地球の洋服に似た服もけっこうある。

「いらっしゃいませ~。あら、アルトさんね」

 店員のお姉さんは、僕のことを覚えてくれているみたいだ。転生して間もないころに結構な量の服をまとめ買いしたし、そもそも僕子供だから、印象に残ってるのかもね。

「こんにちは。今日はこの人の服を買いに来たんですが……」

 僕がユキを示すと、「かしこまりました。なるほどなるほど、これは……」

 店員さんはユキを眺める。なんだか目の奥がきらりと光ったような……

「きっと似合う服をお選びいたします、お客様」


 十数分後、僕は一人でぶらぶらと服を眺めていた。ユキは試着室だ。ユキ自身はほんとに何でもいいと言った感じで、僕もよくわからないので全部店員さんにお任せしたんだけど、現状服が全然ないから諸々5、6種類ずつくらいは買う予定だと言ったら店員さんがもう明らかに張り切っちゃって、ユキは半ば拉致されて行った。

「アルトさん! 来て、来てください! ユキさんの試着が終わりましたよ!」

「はーい」

 店員さんは興奮した声で奥から僕を呼ぶ。僕もちょっと緊張してきた…… ユキどんな服着てるのかな……


 試着室から出てきたユキの姿を見た僕は、思わず声が出てしまった。

「わ…… あ……」

「どうかなアルト…… おかしくはないか?」

 ユキは、美しかった。黒が基調の、ほとんど装飾がなく、ノースリーブのドレス…… 地球で言うところのチャイナドレスに近いのかな? 下は右前と左前にスリットが入っていて、けれど生足が見えるのではなく、中には足首ほどまである白いロングスカートのような…… いや、これ中にもう一枚ドレス着てるのかも…… 髪は後ろで束ねられている。ポニーテールだ!

「ユキ…… すごい、きれい……」

 僕は彼女の神々しいほどの美貌にほとんど思考停止して思ったままを口にしてしまう。あ、あれ? 僕なんかすごい恥ずかしいこと言ってないか?

「ふふっ…… ありがとう」

「っ~~~!!!」

 ユキの微笑みに僕はまたやられてしまった。恥ずかしいやらドキドキするやらで軽くパニック状態だ。たぶん今の僕の顔、赤くなってる……

「ハアハア! どうですかアルトさん! まだまだここからですよ!? お次はカジュアルなお出かけ着! さあユキさん、2着目のセットに着替えてきてください!」

 店員さんは僕よりひどかった。

お洒落とか全く勉強したことがなくて、現実のファッション文化が何もわからないので、ファンタジー世界のファッション文化なんてもっとわかりません。本当はユキにもっと複雑な服を着てほしかったんですが、文章で描写できませんでした。もう何も分かりません。こわれる


こんな調子なのでユキ視点書ける気がしません。そもそも毎回クロスするのはやめて、書きたい時だけユキ視点を入れることにしようかと思っています。それでも出来るだけ入れるつもりですが……

とりあえず次回はおそらく11-Aになります。

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