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ドール  作者: りょく
第一部
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第十六章 過去の話

レキとシンは、シリウスに着くと以前会ったギルとミツキと再会した・・。

ギル達は何故カスガの屋敷にいるかと言うと、ガーディアルでの不穏な動きは一般の市民達にも感じられるようになり、ガーディアルから離れる者達も出てきているそうで・・・。

「っで、お前たちのことを聞きつけてここでうろうろしてたのを私が見つけてね」

カスガは口調や態度こそ違わないが、レキの無事な姿にほっとしている様に見えた。だが今の状況上、ゆっくり感動のご対面をするわけにもいかず会話もほどほどに本題に入る。

「ガーディアルも今では武装して、戦いの準備をしている・・それに政府から来た伝令も追い返す状態・・」

「皆は何がどうなってるのかわからず、不安なんだよ・・・」

「それじゃガーディアルにいる人達が今じゃ全員人質って事?」

「・・そう言う事になるだろうね・・」

重い空気が流れたまま夜が来て、ひとまず状況を把握する事だけをして休む事にした。布団に入っていたシンは、窓辺の椅子に座って空を見上げているレキを見つけたが、何も言えずに固まっていると。

「俺はガーディアルを・・新政府と戦うことになるかもしれない・・」

「・・・」

「それは前から・・本当は決まっていたのかもな・・」

「レキ・・俺は・・」

「・・・・シン、もう寝ろ・・明日からは忙しくなる」

レキはそれ以上シンの方を見ず、窓の外の夜世界を照らす月が雲間に陰り始める空を見つめていた。シンは何も言えず、布団にもぐり直しレキを見つめいつの間にか眠りについていた・・。


「・・・はい、準備は着々と進んでおります」

暗い部屋に一つの画面には、映し出される腕を口の辺りで組んでいる人物が映る。画面の人物は一つの笑みを浮かべ映像は途切れた。


「あ~あ、つまんないよー」

小柄なふわふわの緑の髪の少年は、机の上に座り浮いた足をぶらぶら動かす。

「リンジェ、机の上に座るなんて行儀が悪い」

小柄な少年リンジェは口を膨らませながらも傍らにいた青髪の長身の男の言うことを聞いて机から降りる。

「まぁまぁすぐに楽しくなるさ、なぁコウキ」

金髪をワックスで固め頭にゴーグルを付けた男が、面白そうにナイフをくるくる回しながらそう青い髪の長身のコウキに言う。

「ほんとなの、シト?」

リンじぇたちとは少し離れた席に座っていたのは、以前ガーディアルでも見かけたシトと呼ばれる男。

「あぁ、そろそろお声がかかるころだろう」

「けどさ~準備してるけど・・あのレキと言う者達はどうするんだろうなぁ?」

「僕も早く、あいつらと戦いたーい!」

「我慢も後少しだ・・あの方が目覚めるその時までな・・」


「父さん!?」

大きな音がしてアキトが部屋に入ると、理事の机の上に置いてあった物がすべてひっくりかえされていた。その原因は理事自らがそうしたようだが・・。

「理事!どうしたのですか!!」

他の研究員達も音を聞き、アキトのすぐ後から走ってきた。

「どいつもこいつも・・私を馬鹿にしやがって!・・・フフフッ今に覚えておけ!!」

研究員達が怪訝な表情をするなか、理事は高らかに笑みをもらした・・。


「シン、レキってどう?・・あのさ・・レキって他の人に本心とか打ち明けないだろ?・・君だったらレキの事何か知ってるかなっと思ってさ・・」

「・・・レキの事・・」

「何してんだよ!レキ待ってるぞ」

ギルがそう聞いてきても答えに困っていると、その時ちょうどミツキが俺たちを探しに来て、話は中断したけど・・・俺はレキの何を知ってる・・・・?

レキの事・・俺だって知らない・・レキは誰にも本心を言わないのかなぁ・・俺がレキのこと知りたいって言ったら迷惑なのかもしれない・・。

「・・シン?どうした?」

「え?ううん何でも・・・」

「そうか・・?・・それでまず・・・」

レキはカスガやギル達に説明と、これからどうすればいいかを話合っていた・・けどシンは何も頭に入らなかった・・。

「どうしたんだい?」

いつの間にか、昼になり皆は昼食の為に席からいなくなっていた。

「レキのことかい・・・どうして分かったって?顔に書いてるよ、それにさっきの話の時だってレキの事をじっと見てるしさ」

カスガはシンを見て笑う。それを見て無意識の行為とは言え見られていたのことに顔が熱くなる。

「カスガさんは、レキのこと・・・知ってますか?」

「レキの事か・・ほんとあの子は器用じゃないからね・・」

カスガは遠くを見るように目を細め、溜息を一つついた。

「私の口からはほんとは言うべきではないのかもしれないが・・レキは元人間だった事は言ったね?」

「・・はい」

カスガはシンに近くにあった椅子に座るように促す。

「私がレキと会ったのは、まだ戦乱の続く日々・・レキが8歳になる時だ・・・・あの子は戦乱で父親を無くし村々を転々と渡り歩いていた・・そしてココへ流れ着いた」


どこの村に行っても、厳しい状態なため・・余所者には冷たい時代。

『・・うるさい!!母さんの事を言うな!!』

『何だと!余所者の癖に!!』

子供同士が取っ組み合いの喧嘩をしている。

『こらこら、何やってるんだい!』

『うわぁ!カスガだ逃げろ!!』

子供達はカスガの姿を見ると、レキを残して蜘蛛の子様に走り去った。

『レキ!!・・・スミマセン!』

嫌がるレキを無理やり引きずって帰り軽い手当てをしていると慌てて入ってきたのは、レキの母親のマーサ。

マーサは余所者と嫌われながらもレキのためにあちっこっち頭を下げて生活をしていた。

『そんなに謝らなくてもいいさ、さっきのはまたあいつらが先にレキに手を出したんだろうしね』

『そーだよ!あいつらが悪いんだ!』

『レキ!・・まったくこの子ったら・・』

『べぇーだ!』

レキはカスガの屋敷を走って出て行く。

『ほんとここはいい所です・・』

『それは私がいるからだよ・・しかしいつどこが戦場になるかはわからないが・・』

『いつまでもここの様な時間が続けばいいのですが・・』

窓ガラスの向こうは曇り、今にも雨が降りそうな空模様だった。マーサは軽く挨拶をすると、カスガの屋敷から帰って行った・・。

『カスガ様・・』

『フェイ・・・・どうして人は戦うのだろうな・・私もその一人だろうが・・平和を祈る思いをいつか間違ってしまっていたのかもしれない・・』

それから数日後、カスガの不安・・いや誰もの不安の通り・・・戦乱の荒波が押し寄せてきた。

『カスガ様!』

フェイが外の音を聞き、カスガの部屋に入って来た時は・・カスガは部屋で目をつぶり座っていた。

『カスガ・・様・・』

『母さん!!』

戦火が町の近くまで来ている、慌てて気づいて母を呼びに行く。

『レキ!来てはダメ!!』

母の悲痛な声が響く、静止の声など聞こえず扉を開ける。

『レキ!早く!早く・・逃げて!!』

『!!母さん!!』

母を撃ったのは機械人形・・後ろでは人間達が命令を下している。

『・・レ・・逃げ・・』

力なく落とした腕を・・体温を失い冷たくなりつつある母の体・・。激しくなる銃撃・・迫ってくる機械人形達の姿・・。

どうして自分には母一人守れない、自分の命さえも・・どうして自分は無力なんだろうと・・・。

カスガがレキ達2人を見つけた時には、マーサはすでに冷たくなっておりレキは虫の息だった。けれどレキはカスガの足を握りしめ絞り出すようにそう叫ぶ。

『・・俺を・・機械に!・・誰にも・・負けない・・力を!!』

これでやつらと戦える。誰かを守れるそう思ったのに・・・意識を失う一瞬母の悲しげな表情を見たような気がした・・。

『気がついたかい?』

『・・・カス・・ガ?・・・』

ぼやける視界の中・・カスガを見た気がする・・・あの時・・ほとんど感覚のない顔に・・冷たい水が一滴落ちて来たように思えた・・。

『絶対死なせたりしない・・』

再び薄れる意識の中・・母さんが銃撃に倒れた瞬間を、脳裏で何度もスローモーションの様に見ていた・・・。

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母さ・・ん・・』


「あの時、レキを助けるためにはそれしかなかったとは言え・・私は・・」

生命維持装置のクダを体中に付けたレキが必死に涙を堪え懇願していた・・・・。

「・・レキを助けてくれたんでしょ?もっと胸張ってください!きっと大丈夫ですよ!俺がついてるんだから!」

涙が零れそうなのを我慢して、無理やり笑顔を作りカスガに言う。お互いそれ以上何も言えなかった・・・。


俺は・・もっとレキの事が知りたい・・。

・・この時代レキは何を思い生きてきたのか・・。

レキは・・・・・何を求めて・・いるのか・・・・。


「シン、カスガ、話始めるぞ」



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