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ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


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【聖騎士の葛藤】


 【封印の楔(北)を除去しました:3/5】



 翌日――ハルからの報告は、思ったより早かった。


 旅人の集い二十人が洞窟の侵蝕を浄化しながら進み、ヴェノムが元盗賊のプレイヤースキルで敵対NPCを処理し、ハルが導師スキル+影の基礎技で光の弓使いの番人と戦った。



 決着は──ハルの【記憶干渉】だった。



 トワ:「記憶干渉を使ったのか」

 ハル:「はい。トワさんが以前に使っていたのを見て、応用できないかと思って。──番人の光の矢のパターンに干渉して、矢の軌道を逸らしました。その隙に、ヴェノムさんが影の短剣で」

 トワ:「見事だな、ハル」

 ハル:「ありがとうございます!! ──あと、ヴェノムさんが『トワに伝えてくれ』って」

 トワ:「ヴェノムは、どう言ってた?」

 ハル:「『扉は開いて、グランが笑っていた。俺が、全部間違っていた』って」



 トワはこくりと頷いて、チャット欄を閉じた。

 またひとり、新たな『旅人』が加わった。もう彼を心配する必要はなさそうだ。


 

    ◇




 残り二本。西と中央。



 西の楔の偵察に向かおうとした時──予想外の人物からメッセージが来た。



 アストレア:「トワさん。お話があります。お時間をいただけますか」

 アストレア。〈聖銀の盾〉のギルドマスター。聖騎士Lv90。聖剣ルミナスの使い手。ギルド王座決定戦の決勝で戦った相手。




 始まりの町の噴水広場で会った。




 アストレアは、いつもと様子が違った。表情に迷いがある。



「単刀直入に言います。──裏世界ソルシアの【封印の楔】。あれを守っている番人が──聖騎士の姿をしていると、フォーラムで見ました」

「ああ。ルミナリアの聖騎士だ」

「ルミナリア。──わたしの使う『聖』スキルのルーツが、その国にあるという噂も」

「噂じゃない、ソルシアのNPCが証言している。ルミナリアの聖なる封印がソルシアを滅ぼした。聖騎士の聖属性は──ルミナリアの系譜だ」



 アストレアが目を伏せた。



「わたしが二年間使ってきた力が──一つの文明を滅ぼした力と、同じ系譜。──それを知った時、私は何のために戦っているのか、分からなくなりました」



 アストレアは、剣を握り締めた。



「わたしは聖騎士として、光の力を誇りにしてきました。仲間を守るための力だと信じて。──でも、その力の源が、旅人の王国を封じるために使われていたなら──わたしは、何を守ってきたんでしょうか」

「お前が守ってきたものは、お前の仲間だろ? それは変わらないんじゃないか」

「でも──」

「力の出所と、力の使い方は別だ。ルミナリアは光を封印に使ったけど、お前は仲間を守るために使った。同じ光でも、それは意味が違うだろ」



 アストレアが顔を上げた。



「……トワさんは、いつもそうですね。私たちが難しく考えてしまうことを、簡単に言ってくれる」

「どうだろうな。俺なりに、前向きに言っているだけだ」

「でも……私は確信しました。そんなあなたに一つ、お願いがあります」

「なんだ?」

「【西の楔】の攻略に、参加させてください。聖騎士の力がルミナリアの系譜なら、わたし自身の手で、その封印を解きたい」



 アストレアの聖属性攻撃は、光の番人に無効化される。属性相性が最悪だ。しかし、アストレアがルミナリアの力を『封印を守る』ではなく「封印を解く」ために使うなら──何かが変わるかもしれない。



「来い。お前の光が、封印にどう作用するか──試してみる価値はある」

「ありがとうございます。──今度は、あなたと同じ側で戦えることが、嬉しいです」



 セレスがトワの肩から、アストレアを見つめていた。



「トワ。このひと──まえ、たたかったひと?」

「ああ、決勝で戦った。強い人だぞ」

「つよいひと、みかた、いいね」



 西の楔。聖騎士アストレアと共に。


 光が封印を解く側に回る。──それは、ルミナリアの歴史への反逆だ。

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