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ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


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 始まりの町。


 七千時間の旅の起点。ここから全てが始まった。最初にグランに「おかえり」と言われた日から、トワはずっと歩いてきた。セレスと出会い、ルーナを救い、カレンを大聖堂から出し、新大陸を渡り、エルシオンの心臓を安定させた。


 その全てが──今日、一つの場所に収束する。



 グランの扉。地下。


 いつもの暗い通路。いつものグランが立っている。だが今日は──グランの後ろの壁が、光っていた。三色の光。金。銀。星。太陽と月と星の祝福が、壁の中で脈打っている。


「来たか、旅人」

「ああ。三つの祝福が揃った」

「ははっ……千年ぶりだ。最後に、この門が開いたのは」

「『あの旅人』以来か」

「そうだ──『あの旅人』は一人で降りた。でも、お前は──」

「一人ではない」


 グランが壁に手を当てた。壁が動いた。石がずれて、隠し通路が開く。



【隠し通路「深淵への階」が出現しました】

【入場条件:三つの祝福を所持していること──達成済み】

【警告:深淵内では一部スキルの効果が変動します】

【警告:深度が増すごとにモンスターの強度が上昇します】

【警告:深度200以深では見聞録の精度が低下します】



「グラン。最後に一つ聞く。──最後の鍵は、深淵の中で見つかるのか」

「見つかる。──だが、探して見つかるものではない。お前が歩いた結果として、鍵はお前の手にある。それに気づけるかどうかだ」

「もう持っている、ということか」

「それ以上は──わしには言えぬ。行ってこい、旅人。──よい旅を」

「ああ。──よい旅を、グラン」



 通路を降りていく。螺旋階段。長い。暗い。セレスの月光で足元を確認して、ルーナの影が壁を伝って先行し、安全を確認している。


 深読みで構造をスキャンする。深度五十メートル。百メートル。二百メートル。三百メートル。



【深度:300m──門まで残り50m】



 空気が変わった。重い。冷たい。属性が薄い。虚空のエリアに似た「何もなさ」だが──虚空よりもさらに深い。属性がないのではなく、属性が「吸われている」感覚。


「トワさん。空気が──重いです」タマキが息を荒くしている。

「ただの気のせいではないだろう……やけに闇が濃い。この中ではスキルだけじゃなく、回復薬の効果も落ちる可能性があるな」

「落ちるって、どのくらいですか」

「今スキャンしてみる。──回復薬の効果、地上比で約70%。三割減だ」

「三割……計算し直します! 六十本持ってきたから、実質四十二本分──」

「足りるか」

「足りなかったら、どうしますか」

「足りなくなる前に、地上に戻る。無理をする必要はない」



 階段の終わりに──門があった。

 巨大。高さ二十メートル。黒い石。表面に三つの紋章が刻まれている。太陽。月。星。

 門の前に──パーティ全員が立った。


 トワ。タマキ。セレス。ルーナ。テン。ハル。ゼクス。アストレア。

 五人と二精霊と一匹。


「全員いるか」

「います!」タマキが鞄の紐を締め直した。

「いる」ゼクスが短剣を確認していた。

「聖騎士の矜持にかけて。──深淵でも鎧は脱ぎません」

「深淵に矜持を持ち込むな」

「持ち込みます」

「導師、準備完了です!」ハルが杖を握った。

「夜を──展開する準備はできてる」ルーナが影の中から手を出した。

「セレスもいくよ。トワといっしょ。しんえんのそこまで。ぜったい」

「テン。お前も来るか」

 テンがブーツの上で光った。一回。了解の合図。


 全員が揃った。全員の覚悟が揃った。

 門に手を当てた。三つの紋章が反応した。金色。銀色。星色。三つの光が螺旋を描いて門の表面を走り──



【深淵への門──開放します】

【三つの祝福を認証しました】

【旅人トワ──深淵への踏破権限を付与します】

【深淵の最奥には「虚空の扉」があります。この扉を開くには「最後の鍵」が必要です】

【最後の鍵は──あなたの旅の中で、既に手にしています】

「既に手にしている──?」



 考える暇はなかった。門が──開いた。

 重い音。石がこすれる。空気が流れ込んでくる。冷たい。底のない冷たさ。

 門の向こうは──暗かった。

 だが何も見えないわけではない。遠くに──微かな光がある。深淵の底から、何かが光っている。


「見えるか。あの光」

「見える」ゼクスが目を細めた。「遠い。──だがある」


 トワが一歩を踏み出した。門の敷居を越えた。足が深淵の地面に着いた。

 硬い。冷たい。だが──歩ける。

 星巡りの靴が、深淵の地面に光の足跡を残した。暗闇の中に、一筋の星の道。


「足跡が、光ってます」ハルが後ろから声を出した。

「星巡りの靴の効果だ。──どこを歩いても、足跡が光を残す」

「暗闘の中で──師匠の歩いた道が光の道になるんですね」

「ラシードの靴は、ここのために作られたのかもしれないな」


 全員が続いた。十人の足跡が、門から一列に並んでいる。



【深淵──深度1に到達しました】

【深淵探索を開始します】



 振り返った。門が──遠くに光っている。戻れる。まだ戻れる。

 だが戻る気はない。


「行くぞ」



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