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ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


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地下墓所


 大聖堂の地下。さらにその下。

 カレンの旅人の扉があった場所から、さらに階段を三層降りた先に──封印された扉があった。白い光の紋章。千年間、誰も触れていない扉。


 カレンが扉に手を当てた。紋章が反応する。金色の光が血脈を認識し、封印が──解けた。



【聖光の地下墓所──解放されました】

【推奨レベル:Lv90以上】

【注意:このダンジョンは一部エリアで見聞録の精度が低下します】



「推奨Lv90か……まあ、俺はLv1だけどな」

「いつものことだろ」ゼクスが先に階段を降り始めた。

「いつものことで済ませないでください」タマキが笑った。


 地下墓所の構造は単純だった。一本道。広い回廊が、螺旋状に下へ下へと続いている。壁には聖都の歴史が描かれたレリーフが。ルミナリアの建国。歴代の聖王。そして──空白。千年前から先の壁は、何も刻まれていない。



「千年間、誰も来なかったから──レリーフも止まっているのか」

「歴史が止まった場所、か」カレンが壁に手を触れた。「いや……私が止めた場所だ」


 モンスターは少ないが、一体が強い。光属性の亡霊兵。Lv93。聖都を守った古の兵士が、死してなお墓所を守っているようだ。




【聖光の亡霊兵 Lv93 HP:95,000 属性:光】




「光属性の亡霊。ゼクス、影は使えるか」

「光が強いし、影が薄い。──だが、ゼロではない。亡霊の足元に、僅かだが影がある」

「足元の影に潜れ。俺が正面から引きつける」


 トワが亡霊の正面に立った。亡霊が光の槍を振り下ろす。紙一重で避けて、見聞録で弱点をスキャン。胸の中心に光の核がある。


「核は胸だ――ゼクス!」


 ゼクスが足元の影から飛び出し、亡霊の背後から核を一突き。



【弱点クリティカルダメージ:14,200】



 亡霊が光の粒子になって消えた。



「効率がいいな。──だが、この先はもっと敵がいるぞ」



 回廊を降りていく。亡霊を一体ずつ処理しながら。カレンは後方で見聞録を使い、先の構造をスキャンしている。二つの見聞録が同時に稼働する。情報量が倍になる。



「トワ。この先、三十メートルで広間がある。亡霊が八体。そして──奥に封印された扉がもう一つ」

「二つ目の封印……カレン、お前の血脈で開けるか?」

「開く。──師匠の研究室の扉だ」



 広間の八体を処理した。トワとゼクスの二人で四分。ルーナの夜が亡霊の光を弱め、セレスの月光が核の位置を照らし出す。アストレアが聖剣で浄化し、タマキが全員の回復を維持する。

 そして到達した二つ目の扉、カレンが手を当てた。



【アルヴァの秘密の研究室──解放されました】



「師匠の──」


 扉が開いた。




    ◇




 研究室は──散らかっていた。

 机の上に本が山積み。壁に地図。地図に赤い糸が何本も張られている。床に書き損じの紙。インクの染み。


「師匠は──几帳面な人ではなかったのか」

「普段は几帳面だった。──この部屋が散らかっているということは、最後の方は焦っていたのだろう」


 トワが見聞録で部屋全体をスキャンした。危険物なし。トラップなし。ただの秘密の部屋だ。



「安全だ。──入れ」

 全員が研究室に入った。ハルが本棚を見て目を輝かせた。

「すごい量の本──全部、【深淵】に関する研究ですか」

「触るな。千年前の紙だ、崩れるかもしれない」

「見聞録でスキャンすれば、触らずに読めます」

「それなら──頼む」


 ハルが本棚の本を片っ端からスキャンし始めた。記録と分析は、導師の仕事だ。

 トワは机の上を調べた。本の山の下に──手帳があった。革の表紙。使い込まれている。開いた。

 アルヴァの手記。

 見聞録で読む。古い文字だが、カレンの時代の言語だ。翻訳は問題ない。

 最初のページ。



【「深淵は世界の底ではない。世界の裏だ。表と裏は鏡のように対応している。始まりの町の直下に深淵の入口がある。だが入口から降りても、底には辿り着けない。底に行くには──三つの光を灯す必要がある」】



「三つの光。……太陽、月、星の祝福のことだろう」


 ページを捲る。



【「一度目の降下。深度100まで到達。深淵は暗いが、何もない場所ではなかった。構造物がある。文明の跡。誰かが──深淵に住んでいた。あるいは、今も住んでいる」】


「深淵に文明がある──」


 さらに捲る。



【「深度200で異変。見聞録が歪む。スキャンの結果が信用できなくなる。自分の目と足だけが頼り。旅人の基本に戻る」】


「見聞録が歪むと……俺の深読みでも、深度200は精度が落ちる。……説明通りの現象だな」


 最後の数ページ。筆跡が乱れている。焦りが文字に表れていた。



【「二度目の降下を決行する。今度は底まで行く。四つ目の光の手がかりを掴んだ。光は深淵の最奥にある。だが──底には何かがいる。見聞録が読めない何かが。行くしかない。カレンには──すまないと思っている」】


 最後のページ。一行だけ。



【「止めてくれ。まだ間に合うなら」】



 手記が終わっている。この一行が──アルヴァの最後の言葉だ。

 カレンが手記を見て──黙っていた。目を閉じていた。



「師匠──」


 トワは手記を閉じた。


「カレン。師匠は一度戻ってきた。だが、二度目に行って、帰ってこなかった。──手記の内容から推測すると、深度200以深に【何か】がいる。師匠は、それに会いに行った」

「会いに行ったのか。──戦いに行ったのではなく」

「手記には戦闘の記述がない。『見聞録が読めない何かが底にいる』とだけ書いてある。戦ったのではなく──飲み込まれたのかもしれない」

「飲み込まれた。──【闇】に」

「わからない。だが──『止めてくれ』という最後の言葉は、まだ意識があったことを意味するはずだ。完全に、消えたわけじゃない」


 カレンが目を開けた。


「助けに、行って……くれるのか」

「行く。お前の師匠を──俺たちが連れ戻す」



【聖光の地下墓所──踏破完了】

【連続クエスト「深淵への手がかり」──第二段階クリア】

【太陽の祝福取得条件:記憶封印完全解除(残り)+地下墓所踏破(達成)】



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