表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/342

《障壁、消える》


 友好度レイドから五日後。




【聖都ルクスの信頼度:100%に到達しました】

【光の障壁が──完全に消滅します】




 大聖堂への道を塞いでいた光の障壁が──消えた。



 白い光が霧のように薄れていって、その向こうに、大聖堂への長い石畳の道が現れた。



 聖都の住人たちが──集まってきた。大通りに、NPCたちが。パン屋のエリー、武器屋の親父、宿屋の女将、花屋の少女。──記憶を取り戻し始めたNPCたちが。



「旅人さん。──道が、開いたのね」エリーが言った。

「ああ」

「あの先に──王がいるの?」

「いる。──会いに行く」

「……気をつけてね。カレン王は……怖い人じゃないの。でも、とても……悲しい人よ」



 悲しい人。



「昔のカレン王は……笑う人だったの。パン屋にも来てくれて……みんなと同じものを食べて、みんなと話して。旅人だった頃の話をしてくれて……でもある日から、笑わなくなった」



 エリーの記憶が、少しずつ戻っている。カレンの、王になる前の記憶。



「どうか……カレン王を──」


 エリーが言いかけて、言葉を飲み込んだ。代わりに、焼きたてのパンをトワに差し出した。


「これ、持っていって。ルーチェのパン――カレン王の……好物だったの。昔は」



 トワはパンを受け取った。温かい。焼きたてだ。



「ありがとう。──必ず、届ける」



 集まっていたプレイヤーたちが、トワを見送っていた。聖都のNPCたちが、並んで立っている。記憶を取り戻したNPCと、まだ戻りきっていないNPC。──でも全員が、大聖堂への道に立つトワを見ていた。




「頑張れトワさん!」

「カレン王に会ってきてくれ!」

「友好度レイド完走したぞ! あとは、トワさんに任せた!」



 トワは振り返らなかった。だが、一歩目を踏み出す前に、ぽつりと言った。



「みんなのおかげで、ここまで来れた。ありがとう」



 聞こえたかどうかはわからない。でもセレスが肩の上で、代わりに叫んだ。



「トワが、ありがとう、っていった! みんな、きいた!?」



 歓声が上がった。



「聞こえた!!」

「トワさんがお礼言った!!」

「レア度SSSSだぞ!!」

「まじ!? 夢じゃねえよな!?」

「だれか配信……配信してたやつはいねえか!?」

「アーカイブで聞いてみようぜ!」



 

 喧騒が広がる中、トワは少しだけ足を速めて、大聖堂への道を歩き始めた。



 メンバーは七人と一匹。トワ、タマキ、セレス、ハル、ルーナ、ゼクス、アストレア。そしてシロ。



 石畳の道の両側に、白い花が咲いている。ルーチェ草。エリーのパンの材料と同じ花。カレンが好きだったパンの材料。



 大聖堂の尖塔が──近づいてくる。白い塔。光の国の中心。聖王カレンがいる場所。



「トワ、きんちょーする?」

「しない」

「うそ。──てが、すこし、ふるえてる」

「……風だ」

「かぜはふいてない」

「……」

「だいじょーぶ。セレスがいる。ルーナもいる。みんないる。──トワは、ひとりじゃない」

「ああ……わかっている」




 大聖堂の扉の前に立った。巨大な白い扉。金色の紋章が刻まれている。──押せば、開く。

 手を扉にかけた。

 エリーのパンの温もりが──アイテムストレージの中から、伝わってくる気がした。



 「開けるぞ」




 扉を──押した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ