表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/338

《友好度レイド》


 蓮の投稿は、瞬く間にフォーラムのトップに上がった。




【トワからの依頼】聖都ルクスの住人と仲良くなってください【友好度レイド】




 ──「友好度レイドとかいう謎ワード」

 ──「NPCに話しかけるのがレイドとは」

 ──「でもこれ、大聖堂への道を開く条件なんだろ? トワ一人じゃ時間がかかりすぎるから、全プレイヤーに協力を求めてるのか」

 ──「つまり──街のNPCに話しかけまくるイベント?」

 ──「ゲーム歴史上初だろ、これ」

 ──「でも面白そう。なあ、みんなもやろうぜ」

 ──「パン屋のエリーさんに果物渡したら友好度上がったぞ。ちゃんと見ると、笑顔が可愛い」

 ──「武器屋のNPCに剣の素材渡したら、自分の名前思い出して泣いてた。こっちまで泣きそうになったわ」

 ──「これ……普通に良いイベントだな」




 聖都ルクスに、プレイヤーが殺到した。

 ボスを倒すためではない。NPCに話しかけるために。



 大通りでは、プレイヤーたちが各々のNPCを「担当」して、毎日通い始めた。パン屋担当、武器屋担当、宿屋担当、花屋担当。──まるで町内会のようだ。




「エリーさん! 今日はリンゴ持ってきましたよ!」

「まあ、嬉しい……──あなた、毎日来てくれるのね」

「はい! エリーさんのパン、大好きなので!」

「おっちゃん! この剣、打ち直してくれない?」

「剣か……ああ、これは……懐かしい鍛造法だな。昔やったことがある……気がする」

「思い出しかけてるじゃん! 頑張れ、おっちゃん!」




 NPCの友好度が、聖都全体で上がっていく。一人のプレイヤーが一人のNPCを担当し、毎日話しかける。トワ一人では何ヶ月もかかるところを……数百人のプレイヤーが同時にやれば、数日で済む。




 NPCたちの反応が日に日に変わっていった。定型文が減り、自分の言葉が増えていく。名前を思い出すNPCが増えていく。




【聖都ルクスの信頼度:62%──】




「上がってきてますね!」ハルが信頼度メーターを見つめている。



 60%を超えた辺りで、NPCたちの間に、新しい変化が起きた。

 NPC同士が──会話し始めた。



「エリーさん、今日のパン美味しかったわ」

「ありがとう──あなたの名前……思い出せないけど、顔は知ってる気がする」

「わたしも。ご近所さんだった……かもしれない」




 記憶が完全には戻っていない。でも、人と人の繋がりが、少しずつ復元されている。

 それを見ていたプレイヤーたちが、フォーラムにこう書いた。




 ──「友好度レイド、クリア報酬がNPCの笑顔って何なんだよ。泣くわ」

 ──「流石に神ゲー」

 ──「しかし、トワがいなかったら攻略にはしばらくかかっただろうな……」

 ──「トワさんだろ、でこすけ野郎」

 ──「まじで、こういうイベント好きだわ」

 ──「協力あり、NPCイベントありって、いいよな」

 ──「トワさん、次は!? 次はまだっすか?」

 ──「自分で歩いて考えろって言われるぞ」

 ──「目を閉じると、まじで聞こえてくるな、それ」





    ◇





 信頼度が78%に達した夜。



 トワは宿屋の屋上にいた。セレスが肩の上、ルーナが影の中、シロが足元で丸くなっている。

 聖都の夜景が、変わっていた。以前は白い光で均一に照らされていた街が、今は窓に暖色の明かりが灯っている。NPCたちが「夜」の概念を取り戻し始めたのだ。



「トワ。まちが──あったかくなった」

「ああ」

「むかしのルミナリアも、こうだったのかな」

「今度、ヴィアに聞いてみるか」

「うん。でもね、いまのルミナリアも、すき。トワと、みんなが、あるいてるから」



 ルーナが影の中からそっと言った。



「……わたしも。この街の夜が──少しずつ、本当の夜になっていくのが……嬉しい」

「ルーナは、よるのせーれーだから、よるがもどると、うれしいんだね」

「うん……夜がないと、わたしの居場所がないから。この街に夜が戻れば……わたしも、影の中じゃなくて……外に出られるかも」

「でたらいいよ。セレスのとなりに、おいで」

「……いいの?」

「いいよ。ルーナは、なかまだもん。──さんばんめだけど」

「三番目は忘れないんだ……」




 トワはルーナの声を聞きながら、空を見上げた。──ルミナリアの空に、まだ月は出ていない。時間的にはもう夜だが、空はまだ昼のままだ。セレスの月光で擬似的に夜を作れるが、それは本当の夜ではない。



 だが──信頼度が100%になれば。聖都の住人たちが完全に記憶を取り戻せば。この国にも──本当の夜が来るかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ