35話
マートル様に会いに行かないかとツバキ様に言われてすぐには返事が出来なかった。
彼は戦場で怪我をして帰った来たと聞いたので、彼が今どうなっているのか分からないからだ。
「あの、マートル様は意識も戻られたのですか?」
「今は元気よ。サクラに会いたがってる」
「私にですか?」
「そうよ。……私は仕方ない事だと思うのだけどね、怪我して帰って来たのを気にしてるのよ。それにまた前線に出るみたいだから」
「また前線に向かわれるのですか?」
「少し有利になって来た今が大切みたい。……彼ばかりが働かなくても良いと思うのだけどね」
「そうですね……分かりました会いに行きたいです」
「そう。それなら今から行きましょうか」
そう言った瞬間、私は見た事のない建物の中に居た。
「ここは?」
「病院よ。この部屋に彼は居るわ。……少しの間2人にしてあげる」
「そんな気を使わなくても良いですよ。聞かれて困る事なんか話しませんし」
「そう……残念ね」
何が?とは思ったがそれは言わずにドアをノックして、返事が有ったので確認し入室した。
「マートル様ご無沙汰しております」
「サクラ……すまない。約束を守れなかった。無傷で帰ってくるはずだったのにな」
「それは良いのですが、また戦場に出られるとお聞きしましたが」
「そうだな。ツバキ様やサクラの活躍で今こちらが有利になっている」
「有利ならもう戦場に向かわれなくても……」
「王家の人間だけ安全な場所に居る訳には」
「でも大怪我されて戻られたのですよね?もう十分働かれたのでは?」
「今は傷も失った部位も治してもらえた……前線では薬品も不足しているというのに」
「今度は無事に帰って来ると約束できますか?」
「一度約束を違えてしまったが、今度こそ守るよ」
「信じて待ってますね」
「ありがとう」
その後部屋を出てツバキ様と一緒に転移で帰った。
それからまた魔獣と戦う日々が過ぎて行ったが、約1か月後無事にマートル様も戻り魔獣との戦いに勝利した。
そこからは復興の日々でまた忙しくなり、マートル様には会えない日々が過ぎて行きマートル様の卒業の時期を迎えたが、まだ学校は完全に修復されていない為、別の建物で卒業パーティーが行われる事になった。
近くにミモザを見かけたので近付き話しかけた
「ミモザ。色々有ったけど今日でマートル様も卒業……私達も最終学年ね」
「サクラは卒業後結婚?」
「まだ決まって無いよ。それより最近マートル様忙しくて会えてないのよね」
「そうなの?そんなに忙しいんだ?」
「忙しいみたい。手紙書いても返事も来ないのよ……」
「それって……大丈夫よね?」
「何が?」
「いや、あのマートル様にしては対応が悪くない?」
「そんな事は……無いと思いたい。私何かしたのかな?魔獣と戦ったから?」
「いやそれはないでしょ……でも夫婦喧嘩した時の事でも気にしてるとか?」
「まあ今は待つよ。元々私に結婚の意思が無くてとりあえずの婚約だったし」
「そうね。でも今日は久々に会えるのでしょ?」
「そう、久々すぎて何を話したらいいか……」
そんな事を言っている間にパーティーは始まったがマートル様の姿が見えない。
何か有ったのかと考えていたが、結局終わる時間まで姿を現さなかった……。
「サクラ……今日はマートル様……」
ミモザがそう言ったところでマートル様が現れて私に言った。
「サクラ、婚約を破棄したい」
「……理由を、理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
「今の君の立場を国も困っているのだ。辺境伯の令嬢が魔獣相手に連戦連勝……その強さが国の脅威になると。それに一部の生徒から君に対する苦情が来てる。……前に何と言ったか?そうだ、君は悪役令嬢だったのか?」
「覚えが有りません」
「悪い奴は皆そう言う……自分の非を認めない、そんな奴は国外追放だ!」
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
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