32話
ミモザは勉強が苦手そうだったので私とマートル様で教えた。
「今日はこの辺で終わりにする?ミモザが辛そうだし」
「そうしてもらえると嬉しい。頭が沸騰しそう」
「そうか、分かった。続きは明日だな」
「その事ですが、私は今日家に戻ろうかと思います」
「ミモザ帰るの?」
「本来私は此処に居る理由も無いのよ……サクラと居るのは楽しいけど、戻るわ」
「そう、残念……楽しかったのに」
「戻るときは言ってくれ馬車を出す」
その数時間後にミモザは帰った。
私は悩んでいた。カルミア先生かミモザかマートル様が前世の妹の確率が高い。
しかし確かめる方法も無いし、ミモザは前世の記憶は無いと言っていた。それにマートル様は異性で、私との結婚を望んでいる……前世の妹なら私と結婚したいとは思わないだろう。
答えが出ずに悩んでいると、部屋にマートル様が来た。
「ミモザが帰ってから元気がないみたいでね……」
「そうですね。慣れない場所で緊張しているのかもしれません」
「卒業したら地元に戻る予定なのか?」
「はい。辺境伯家を継ぐことになると思いますので」
「私も今年で卒業……それまでに婚約者を決めたい」
「私ですか?」
「そうだ。両家の両親の許可はすでに貰っている」
「私の両親にも話したのですか?」
「とりあえず手紙だがな……今度挨拶に行っても良い」
「……そこまで思って頂けるのは嬉しいのですが、私にはこの世界で探している人が居ます」
「前に言っていた人か?」
「そうです。信じられないかと思いますが、私の前世は違う世界で、この世界に転生してきました」
「前世は日本か?」
「何故それを知っているのですか?まさかマートル様も転生を?」
「これは一般には知られていない事だが初代王であるツバキ様の前世は日本という国だったそうだ」
「同じです……凄く違う国なのです。魔法が無い世界なんです」
「そうか……正直言うとな私は初代様みたいな方が好きで……貴族らしくなく強い女性に魅かれるんだ」
「それで私が……」
「それも有るがそれだけでは無くて……」
「言わなくていいです!」
「そうか……」
「気持ちは本気なのはわかりました。でも私はこの世界に来た理由を探したいのです」
「では婚約しないか?」
「……一応聞きますが、何故ですか?」
「時間をつくるためだ」
「どういうことですか?」
「私と婚約だけする、そうするとサクラは他の人との結婚を考えなくてよくなる。そして私はサクラとの時間が増える。婚約したらすぐ結婚と言う訳ではない。どうしても無理なら破棄しても良い。それまでは何も強要はしないし、君も動ける時間が増える」
「前世ではこういう都合のいい話は疑うように言われていたので……少し考えさせてもらえますか?」
「分かったいい返事を待って居るぞ」
マートル様は戻って行った。
正直私は何がしたいのだろうか……この世界は自由に選べるのがメリットだが、ゲームと違いやり直しは出来ない。このままマートル様と結婚し貴族を続けるのも良いし、誰か知らない人と政略結婚という方法もある。貴族を辞めて冒険者にも成れるし、国外へ逃げる事も出来る……出来る事が多いと悩むけど……私を大切に育ててくれた両親を裏切りたくはない……一番良いのはマートル様との結婚か……。
でも王子との婚約と言えば、ゲームと同じように冤罪で悪役令嬢と呼ばれで婚約破棄にならないかが心配だけど、もうマートル様の卒業までの時間も少ないし大丈夫だよね?
決めた!マートル様との婚約を進めよう。その先がどうなるかなんて誰にも分からないのだし、今最善の選択をしよう。
私は実家にマートル様との婚約を受けようと思うと手紙を書いて翌日送った。
数日後返事が来て、両親がこちらに向かうと知らせて来た。
そして、両親が到着し、私達の婚約が正式に決まった。
両親と王族が集まり緊張したが反対する者も無く無事に決まり安心した。
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




