↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/49

04 蛭尾

 黒塗りの車を駐車場に止めると黒のトレンチコートを脱ぎ、病院に入った。


 


 私の名前は蛭尾(ひるお)。某国立大学の教授兼、物理学研究所の所長をしている。




 グレーのスーツにグレーのコートを着込んだ私は、弘子君からあらかじめ聞いていた病室名を受付に告げると、エレベーターに乗った。




「蛭尾所長、お疲れさまです」




病室に入ると弘子君が迎えた。




「所長、お昼は?」




「ああ、済ませてきた」




 弘子君の横には不安そうな顔をした若い男性。どことなく弘子君に似ている。




「弘子君の弟の信太朗君だね。初めまして、蛭尾です。」




「ど、どうも信太朗です。姉がいつもお世話に……。」




「早速状況を把握したい。「彼女」は目を覚ましたかい?」




「……いえ。命に別状はないようですが?」




「ふむ。彼女に近づいても?」




 信太朗は弘子君の方をちらりと見る。彼女がうなずく。


 ベッドの上の少女の顔をじっと見る。


 美しい少女だ。この少女があの人とは、面白いものだ。




「なにかおかしいんですか?」




 思わず微笑んでいたらしい。意外に目ざとい少年だ。




「失礼。いや、美しい少女だと思ってね」




 病室を見渡し、彼女の来ていた服と持ち物を手に取る。




「弘子君。これが例の笛かね」




「はい、所長」




 病室内の椅子に腰かけると、口ひげをなでる。




 信太朗君は不安そうで、しきりに貧乏ゆすりをしている。


 彼の不安が限界する前に、私はは口をひらく。




「信太郎君、今の時点でわかっていることが3つある。」




 赤い絹袋の中から横笛を取り出す。




「まず一つ目。例の装置、タイムマシンは、私と弘子君で開発途中のものだ。試作品を弘子君の車に取り付けてある。起動させないように伝えておいたのだが……。」




「「すいません!」」




 姉弟が同時に謝罪する。




「まあいいよ。あの装置はいつの時代にでも行けるわけではなく、同じ時代にしか行けない。」




「行先は固定されているということですか?」




「そう。二つ目。この装置を動かすには、特別な燃料がいる、それはすぐに手に入るものじゃない。装置の調整にも日数がかかる。」




「すぐにはこの子を返してあげられないのですね。」




「三つ目は……」




 私は傍らの少女を見ながらこう言った。




「この子はおそらく、平家の武将、平敦盛(たいらのあつもり)だ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。