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・タイムマシン


 車ごと、時間と空間を移動する。

 一度ワームホールがつながると、その時代の「特異点」との間でしか、行き来はできない。


 最初にボタンを押した人に、使用者は固定され、他の人が押しても反応しない。

 約90秒でもとに時代に強制的に戻る。


 特別な燃料を使うので、連続して使用できない。


 機能上使用限度がある。3〜4回が限度。それを越えると機能が完全に停止する。


・特異点


 タイムトラベルに使用するワームホールは、「使用者」と、「その時代に存在する「使用者」と縁のあるもの」との間につながれる。

 『その時代に存在する「使用者」と『縁(えん)』のあるもの』を特異点と呼ぶ。


・歴史の修正力


 タイムマシンの乗員とのつながりの深さにもよるが、乗員と特異点以外は、数秒から数日で、記憶が修正される。

 タイムマシンやその光を見たという記憶はほとんど残らない



「信太朗、敦ちゃん。以上が、タイムマシンについて現在分かっている事項だ。そうですね所長」


 そういうと私は蛭尾所長に顔を向けた。


 「うん。付け加えると、今のところ彼女の記憶喪失の原因は、あくまでも頭部の強打によるもので、タイムスリップとは、関連性はないと推察される。」


 信太朗が隣の敦盛の横顔をちらりと見る。


「蛭尾教授。その話だと僕がタイムマシンの「使用者」なんですね。」


「そうだね、君が「使用者」だ。たとえ運転者を変えても、その関係は変わらない。」


「今回の場合の「特異点」は何ですか。敦盛さんですか?僕と彼女に元々の『縁』があるとは思えないんですけど……」


「それは現段階では分からないが、2回目のタイムスリップが成功すれば、特定の範囲も狭まるだろう。」


「最後の歴史の修正力というのがよくわからないのですが」


「信太朗君。このことに関しては全くの仮説だ。タイムスリップには二つの説がある。」


「……」


「タイムスリップして、歴史が変わるパターン。変えた事柄に応じて、元の世界も変わる。変わった世界の人は変わったこと自体に気が付かない。記憶が都合よく修正されている。」


「バック・トゥ・ザ・フューチャーの世界観だね。」


「まあそうだ。もうひとつは、時空にはパラレルワールドが無数にあって変えた事柄に応じて、元の世界と並行した別の世界が生まれるというものだ。」


「ドラゴンボールのセル編みたいだね」


「どらごんぼーるって何ですか?」


 敦盛がなぜかそこだけ質問してきたが、誰も答えない。


「敦盛さん。あとで教えるから……」


「はい、信太朗様。」


蛭尾所長が皆を見渡すとこう締め括った。


「まだわからない事だらけだね。いずれにしろ、敦盛君には更なる検査が必要だし、この時代にいるのなら病気対策も必要だろう。当分入院だな。」


 私は、不安を隠せずにいる敦盛と信太朗を、ただ見守るしかなかった。

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