逃げることも大切ですが、つい言いたくなるセリフってありますよね
繋がるという感覚がようやく理解できた。
ベニテンズの視界が『自分の視界』に追加で見える状態だ。
「繋がったようだな。
ベニテンズはもう一つの目。
もう一つの腕と脚。
もう一つの胞子袋。
として使うとよい。
これはもう一つの貴殿だ。
大切に扱うが良い。
あと気をつけよ、繋がるということは『全て』繋がるということだ。
それこそ『苦痛』も『飢餓』も全て共有されるからな。」
今なら言っている意味がなんとなく分かる、キノコと感覚を共有しているため、全てそのまま俺にもフィールドバックされる。
しかもベニテンズは、障害物を避けるオート操作などの知恵は持ち合わせていないため、危険と隣合わせての四足歩行生物ラジコン完成である。
しかし利点もある。
とにかくベニテンズは恐ろしく強い。
そこらの樹木程度なら叩き折るし、移動スピードも本気ならば視界に入れることすらできない速度だ。
最後に胞子袋の機能があるが、コイツは禁止だ。
試しにそこらの木に振りかけたら、なんとミニベニテンズがポコポコと生え、そのまま消滅した。
その瞬間、生えたベニテンズの『飢餓』感が流れ込んでくる、栄養が欲しい、栄養が...、えいよう...と生えたてベニテンズと繋がなってしまうようだ。
数秒経つとベニテンズの意識が消え、目の前から消えた。
すると『飢餓』感が消え、解放されたらしい。
どうやら生物など繁殖土壌がないとそのまま死んでしまうらしい。
条件が合わないと絶対つかってはダメだ、飢餓感が脳内を充満し殺虫剤をかけられたハエのようにピクピクとなって動けなくなるなるとか大事故になりかねない。
とりあえず操作出来るようになって損はないだろう、ただ感覚共有する四足歩行のキノコを脳内操作する感覚はなんとも...
「こいつ動くぞっ...」と言いたくなるのが、おっさん世代の悲しき性であった。
井口君ももちろんこのベニテンズ型陸戦兵器に心をしっかりと奪われる、森を縦横無尽にかけ木々をなぎ倒す様は、自身が強者になったと誤解する程であった。
「目標をセンターに入れて..スイッチ」
ドゴォッ!
「目標をセンターに入れて..スイッチ」
ドゴォッ!
「目標をセンターに入れて..スイッチ」
ドゴォッ!ベキベキベキ!
「行け!ベニテン号!駆けろ!ベニテン号!
胞子攻撃だ!ベニテン号!」
ブシャーーーーーーー!!
やばい楽しすぎる。
ただやはり難点は、痛覚共有だ。
ベニテンズは怪我や恐怖という感情は持ち合わせない。
そのため、ダメージ無視の特攻状態が可能だが、その分激痛に耐えうるだけの精神力がいるため、肉壁というより索敵や隠密向けと考えるべきだろう。
「よしよし、気に入ってくれて何よりだ。
とりあえずそやつを使いこなせるようになっておけ。
これから、貴殿と紫を叩く。」
「え?」
現実逃避をしていた井口君に出されたのは、それはそれは素敵なエルヴェティティス(上司)からの課題であった。




