言い出せ3話
ー3話
電柱さん。近藤春菜の服が一変した。
アパレル関係の店長をしている常連さんの三ノ宮さんが、詳しく解説してくれた。小林には、ほぼ呪文だったが…。
「オンワードカシヤマのCROSSETね。洗えるベーシックニットツインセットライトグレー003のトップス9612円にぃ、洗えるウールタッチフレアスカートローズ系001の7452円でぇ、2018秋のWEB限定カラーラウンドユースフルミィディボストンバックブラック系005の7020円それで?機能性抜群コンフォートポインテッドパンプスブラック系005の5389円と…実家のお父さん、しばらく松屋の並盛ね」
松屋でバイトしている、木曽川がすかさず言う。
「ただいま、大盛り特盛り無料になっておりますが?」
小林は苦笑した。
「オンワードカシヤマと松屋が仕組んだ罠だな」
「でも電柱から出て来ない?」
小林は真顔になった。
「ここまでさせて。応えないのは……なしだな。土岐さん。ミニアンプ持ってくれます?移動します」
土岐は近藤春菜をチラッと見て
「了解」
と答えた。
小林は、譜面台に焼けてない新しい5線譜を乗せた。
「今日も集まってくれて、ありがとう!一曲目は久しぶりの新曲です。行けないならそっちに行く」
ハシビロコウの
シャッターの前
僕は歌うよ今日は
君の気持ちに
応える為に
君の声は
天上の風
僕の心の
オレンジドア
そっと叩く
素敵だよ
言っておくれ
いつもの小さい
拍手の後に
飛び交う
鳥達よ 鳥達よ
君の肩を押して
意気地無しの君の
想い届けて
ハシビロコウの
シャッターの前
僕は呼び掛ける
「近くにきませんか?」
想いを込めて
その声は
願いの声
君の心の
頬に向かって
そよいで行く
じゃあって
言っておくれ
小さくうなずいて
逃げて行かないで
飛び交う
鳥達よ 鳥達よ
君の肩を押して
意気地無しの君の
想い届けて
飛び交う
鳥達よ 鳥達よ
君の背中を押して
僕の所へ君を
届けて欲しい
もし叶わないなら
僕の近くに行けないなら
僕が君のもとに
行けないならそっちに行くよ
逃げないで
抱きしめてしまうから
最後の部分で、近藤春菜の居る電柱に歩いて行った。
彼女は必死な顔で逃げなかった。
必死過ぎて変顔になってしまった。笑いをこらえる土岐も変顔になる。
それを見た彼女が、プッと吹き出した。
後は常連さん達と彼女が爆笑した。
「こいつら……」
小林だけが轟沈した。




