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アリア・レイフィールド

私、アリア・レイフィールドはレイフィールド公爵令嬢として生まれた。


月のように輝く銀髪に、空色の瞳、かつて国一の美少女と呼ばれたお母様と夜会でご令嬢の目を釘付けにしたお父様の間に生まれた私は必然的に美しかった。


そうでなくても、長男が生まれてからかなり経った後に産まれた待望の女の子。私が皆に可愛がられないわけがない。両親にも、兄にも、使用人にもデロデロに甘やかされた私はかなりワガママな少女に育った。


あの、出会いがあるまでは。


7歳の時、私は生まれて初めてパーティに招待された。それは、この国の第一王子であるリオン様の誕生パーティで、その時初めて私は未来の婚約者であり、『この世に生まれる前から』大好きだったあの人に出会った。


初めてリオン様を見た時は体に電流が走ったかと思った。青みがかったサラサラの黒髪、いずれ相手を射抜くような鋭さをたたえる黒い瞳はまだ幼くあどけなかった。でも、この人はリオン様だ!『らぶラビ』のリオン様だ!


そう思った瞬間に頭にフラッシュバックした記憶に気持ち悪くなってしまい、私はその日の誕生パーティを早退したのだけれど、本当にもったいないことをした。


私に蘇ったのは所謂前世の記憶だった。と言ってもそれは断片的なもので、私が前世で『恋愛ラビリンス』という乙女ゲームにハマっていたこと、そのシナリオ、メインヒーローがリオン様だった事、そして私アリア・レイフィールドはヒロインを虐める悪役令嬢だと言う事だけだ。


よりによって悪役令嬢!と落ち込んだのは本当に一瞬だった。


だって、悪役令嬢という事はヒーローとヒロインの恋路を誰よりも側で見られるという事、当て馬としてリオン様の幸せに助力できるという事、さらにシナリオ通りならリオン様の婚約者としてヒロインが現れるまではお側にいられるということだ。


何それ!最高!その為なら私、没落しても国外追放されても、処刑されても構いませんわ!


そんな訳で私はシナリオ通りの悪役令嬢として振る舞う事を決めたのだ。


「どういうつもりですの?!」


例によって例のごとく、私はヒロインーソフィーに詰め寄る。


ソフィーはウエーブのかかった金髪が可愛らしい、小動物を思わせる女の子だ。さすが、ヒロインね。


「わたくしは…その…」


可哀想に、まつ毛まで震えてますわ。


「リオン様には私という婚約者がいるのを分かっていらっしゃらないようね。だいたい、男爵令嬢の身分でリオン様に近寄ろうなんて「アリア、何をしている」


そこに颯爽と現れるのは我らがヒーローリオン様!素敵です!


思わず「リオン様!」と嬉しそうな声で呼んでしまったけど、失敗失敗。ここは「あ、バレた」って顔をしなくちゃ。


「何でもないですわ。女の子同士の話に首を突っ込まないで下さる?」


思いっきりツンとして言うとリオン様は黒い笑みを浮かべて私の頰を思いっきり抓った。


「ほお、婚約者に隠し事とは感心しないなあ」


「いひゃい!いひゃいれふー!」


ほっぺがとれるー!


「リ、リオン様!」


ソフィーがリオン様を呼んだお陰でリオン様の手が緩んだ。良かったあ、ソフィー様ありがとうございます。


「アリア様は私とリオン様が保健室で二人でいたという噂を耳にされて、私に詰め寄ってきたんです!」


涙目フルフルな割に元気な声でソフィーは言う。


「なんだ、その事か。昨日彼女とたまたま森で会った時に盗賊に襲われたんだ。彼女が怪我をしたから手当をしただけだ」


「えええー!ソフィー様お怪我を?!そんな事」


聞いてない、と言いかけて慌てて言葉をつぐむ。


「オイ、婚約者が襲われた事に対してはスルーか」


「だって、リオン様は怪我なさってないもの」


そこだけは、再三確認しましたもの!

だからソフィーのことはすっかり忘れていたのだ。


「ソフィー様、怪我の具合は?」


ソフィーの顔を覗き込むとギョッとしたように後ずさりされてしまった。

は!私はさっきまでこの子をいじめてたんだった!


「ご、ごめんなさい」


慌ててソフィーから距離を取ると、リオン様がクツクツと笑う。


「何がしたいんだ、お前は」


だ、だって〜


一日置きくらいのペースで更新していきたいと思ってます!

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