ゲームはゲームだから!
今回はまたまた説明回です。話がなかなか進まなくてすみません!
「でね、何故かソルガ様に笑われてしまったのよ。何かおかしな事したかしら?」
パーティの日、途中から医務室で病人の看護にあたっていた私にお姉さまは元気にパーティでの出来事を教えてくれた。
「おかしなってか、お姉さま悪役向いてないよね」
お姉さまが悪ぶってもアホさが隠せないため、ただ可愛くなってしまうのだ。
「セリに言われたくないわよ。お弁当の時もおにぎりにつられていじめるの忘れるし…」
「あれは結果オーライじゃん。最終的にソフィー泣かせたんだし」
「目的は泣かせることじゃなくて、殿下といい感じにさせることよ!」
それ、もう諦めた方が良いとおもうけどなあ…。殿下、ソフィーに興味ないじゃん。
「でも、シェーラ様はどうしてしまったのかしら?」
お姉さまが思い出したように呟く。
「たしかに変だよね。私シェーラとは少ししか話した事ないけど、姉御肌って感じのいい子だったよ」
「そうなのよ。文句があればハッキリ口に出すタイプだけど、あんな人前で相手に恥をかかせるようなことはしないわ」
うーん…機嫌が悪かったとか?
お姉さまの話じゃ体調が悪そうだったってことだけど、具合悪いんなら逆にそんなことしないと思う。
「そういえば、医務室に来たご令嬢も何で具合悪かったのか分からず終いだったな」
「飲み過ぎだって、聞いたけど?」
パーティの後私を探していたお姉さまは事のあらましを医務室にいた使用人から聞いたらしい。
「そう思ったんだけど…お酒を飲んだ記憶がないんだって」
「それは…あ、確かに変ね」
そう、お酒を飲んだ後の記憶がないのなら分かるんだけど、飲んだ事すら覚えていないという事はお酒を飲んで意識が無くなったんじゃなくて、意識が無くなってから酒を飲んだ、もしくは飲まされたとも考えられる。
「絶対ソルガが何かしたと思うんだけど、パーティ中は一言も話してないって言ってるしな…」
「ソルガ様がそんな事する訳ないでしょ。本当にセリはソルガ様が嫌いなのね」
お姉さまが困ったように笑う。
「お姉さまがソルガを妙に信頼しすぎなんだよ」
あの男の言動の何処が信用できるというのか。
「だってソルガ様はリオン様の腹心の部下よ?」
「それ、ゲームの設定の話でしょ。殿下がそう言ってたの?」
「う…それは…」
お姉さまが言葉を詰まらせる。それみろ!
「お姉さま、ゲームと現実は違うんだよ。そりゃ、偶然にしては似すぎてるかもしれないけど。人生にシナリオなんてないんだからね」
うわ、今くっさいこと言った…
「セリ…」
お姉さま、そんなキラキラした顔でこっち見ないで。
「とにかく、ソルガは要注意!ついでにソフィーも!あの子は馬鹿っぼいけど、お姉さまが言うような純粋無垢な天使じゃないかもしれないんだから」
お姉さまの話を聞く限り、ソフィーは色んな男に粉をかけてる節がある。無自覚なのか計画的なのか…どっちのが問題かっていったら前者の方だけど。
「ソフィーはきっといい子よ…じゃないと困るもの」
ポツリと、お姉さまは呟いた。