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学生の本分は…


「アリア様、結果見に行きましょう」


ようやくお昼前最後の授業が終わって伸びをしていると、マーガレットが声をかけてきた。


「結果?」


「アリア様ったら余裕ね。今日期末試験の結果発表の日よ」


苦笑いを浮かべるのはシェーラ様。パーティの日の後話を聞いたんだけど、ソフィーと話をした事は覚えていないらしい。「珍しく酔ってしまったのかしら」なんて言っていた。でも、ソフィーには申し訳なく感じたようで後日謝っていた。


「ああ、今日でしたわね」


期末試験は特にイベントもない、っていうかゲームの中では総スルーだったので忘れていた。


「私は憂鬱です…」


リリィがため息をつく。リリィはあまり勉強が得意じゃないのだ。


「まあまあ、どうせ今から分かるのは上位50名だけなんだし。」


この学校は試験結果を発表するとき先に上位50人を張り出して、その後個人に結果を配る。たぶんHRとかの時間の関係なんだと思うけど中間試験の時は変わったシステムだなあと思った。


「だから嫌なんです。この4人で見に行くと名前載ってないの私だけなんだもの」


むう、と頰を膨らませるリリィ。


「今回は載ってるかもしれないですわ。リリィ様頑張ってましたもの」


マーガレットが微笑んでリリィの頭を撫でる。


なんて麗しい光景…!


「早く行きましょう」


シェーラが私の手を引く。


試験結果が張り出されている廊下へ行くと既に多くの生徒が集まっていた。


「アリア様、おめでとうございます」

「さすがですわ!」


数人の女子生徒言葉に笑顔で返す。

私の試験の結果が良いのはすごいとかそういう感じじゃないんだけどなあ…


「どうでした?」


結果を眺めていた3人に尋ねる。


「まあまあって所ですわね」


少し不満げに言うシェーラは11位。


「私は少し上がりました」


嬉しそうに微笑むマーガレットは36位。


「また入ってなかったです〜」


がっくりと肩を落とすリリィ。


「今回はアリア様に勉強見て頂いたのに…」


「順位が全てではありませんわ。後で細かい結果を見直して次に備えましょう」


私の言葉にリリィはコックリと頷いた。か…かわいい。


「アリア様」


後ろから呼ばれて振り返ると、そこにいるのは黒髪に眼鏡をかけた男子生徒。


「ルース様」


そう、頭脳系攻略対象者のルースである。

でもルースはもう警戒しなくて大丈夫。中間試験の段階で手を打ったからね。


ゲームではルースとソフィーの出会いは中間試験の結果発表の時。1位だったルースの横で10位のヒロインが嬉しそうにしているのを見て『その程度で喜ぶのか』と声をかけるのが2人の出会い。ならば、ルースを1位から失脚させてヒロインを馬鹿にする余裕を無くさせればいい。


そういうわけで中間試験では私が1位の座を頂いたのだ。その時ルースが私に話しかけて来たのをきっかけに私は更にルースをソフィーから引き離した。


「今回もアリア様に勝てませんでした。さすがですね」


ルースが苦笑いをして言う。


「頭の良さはテストだけでは測れませんわ。そもそも、私はこのようなテスト形式では体質的に有利になってしまいますし」


「その才能を『体質』のひと言で片付けてしまうところがアリア様らしいですね」


私の体質、というのは一度見たものを写真のように覚えておけるというものである。だからテストでは最悪記憶の中の教科書を見ながら問題が解けるのだ。勿論、自分で体系づけて覚えた方が理解しやすいのでなるべくそうしてるけど。


「才能があるのはルース様のほうですわ。レイおじ様が言ってましたわよ、『末恐ろしい青年だ』って」


私の言葉にルースは照れ臭そうに笑った。


「自分はそんな大層なものでは…教授は私の前では貴女のことを褒めてましたよ」


「どうせ『便利だ』とか言ってたんでしょう。あの人は私の事を記憶用の機会だと勘違いしてるんです」


図星だったようでルースは苦笑した。


私がルースに対してしたヒロイン対策がレイおじ様ーレイモンド・アルバート辺境伯を紹介する事である。レイおじ様はセリアのいる騎士団があるアルバート領の領主で、研究好きの変人。でも、学界では数百年に1人の鬼才と呼ばれる優秀な研究者なのだ。

ルースが自分の世界をつまらないと感じているのなら、もっと広い世界を見せれば良い。ルースの予想を超える変人なんて世の中には沢山いるんだから。

私の狙いは大当たり。今ルースはレイおじ様がしている研究にのめり込んでいる。


「それだけアリア様の記憶力が優れているという事ですよ。…ですから、今回の殿下の成績は素晴らしいですね」


ルースが結果の張り紙を見上げて言う。

そう、今回の一位はリオン様なのだ。しかも満点。


前回は一位が私、二位がルース、三位がリオン様だったのだが、私とルースに負けたのがよほど悔しかったらしい。教師を睨みつけるように授業を聞いていたのを覚えている。


「リオン様昔から負けず嫌いなんです」


「そうですね…物凄い執念を感じます」


ルースの笑顔は苦くなる一方だったけど、その理由は私には分からなかった。


ルースは頭が良い上に恋愛のゴタゴタには関わっていないので、内情がよく分かっています。

リオンとアリアのやりとりを見て「殿下かわいそう…」「アリア様鈍っ!」とか思ってる。

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