黄昏の冒険者
※本作は『カドコミ漫画原作コンテスト部門』の応募作品です。そのため、『脚本形式』で執筆しております。
主な登場人物
ヤウル(46歳): 「風神剣」の二つ名で一世を風靡したベテラン冒険者。20年前、赤頭巾レッドフードによって恋人や仲間を失った過去を持つ。
赤頭巾: 20年前、数多くの上級冒険者を葬り去った伝説の暗殺者。ヤウルのパーティーによって討伐され死亡したと思われていたが……。
《新米パーティー:暁のカラス団》
ギルドマスターの頼みでヤウルが引き受けることになった新人三人組。未熟さは残るものの、確かな才能と可能性を秘めている。
バッツ(16歳): 皮鎧と熊の毛皮を身にまとった黒髪の少年。斧と弓が得意な狩人。野心も気も強い。
テオドール(15歳) : 麦わら色の髪をした、背の高い少年。剣と盾を使う、騎士の三男坊。領主の娘、リタとは幼馴染。
リタ(15歳) : 赤毛とそばかすの魔術師の少女。武器は短剣と、槍にも転用できる魔術師の杖。 自称天才で、実際優れた才能の持ち主。
【主な表記】
・〇=場面の見出し(場所・時間)
・地の文=映像や状況の説明(ト書き)
・名前+「」=セリフ(※()は同時の動作)
・名前+『』=特殊な音声・ナレーション・脳内の声など
・N=ナレーション
・M=モノローグ(心の声)
・T=テロップ / タイトル表示
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〇ヤウルの夢・桜が咲く月夜の草原
ヤウル(N)『――あの頃の俺たちは、何でもできると思っていた』
満月が見下ろす夜。桜の花びらが舞う草原を、五つの影が疾風のように駆け巡る。
一つは、血色の頭巾に道化面をつけた異形。勇者殺しの魔人【赤頭巾レッドフード】。
残る四つは、その殺人鬼を狩るために集められた冒険者たち。
ヤウル(N)『走れば、地の果てまでたどり着き――』
腰まで伸びた草の上を、エルフの弓兵が跳ぶように走る。
手が霞むほどの速度で矢を放つ。
赤頭巾が鎌に似た魔杖を振るうも、白魚のごとく身をくねらせた矢は防御を潜り抜け、赤頭巾の左肩と腕を射抜く。
ヤウル(N)『剣を振るえば、竜を屠り――』
若き日のヤウルが剣を薙ぎ払う!
強烈な剣風が地を抉り、深淵のような傷痕を残す。
草の影に潜んで逃げ延びようとした赤頭巾は、致し方なく包囲網の中へと躍り出た。
ヤウル(N)『手を伸ばせば、天の星をも掴み取れると――』
気配を絶ち、戦いを冷静に観察する面頬の影。
忍者のサイゾウが、片手に短刀、もう片手に毒塗りのクナイを握り締め、必殺の瞬間を狙っている。
ヤウル(N)『――そう思っていた。……自分たちが、どれほど愚かだったかも知らずに』
追い詰められたはずの赤頭巾が、静かに手のひらを掲げる。
卵大の火の玉が現れたかと思うと弾け、無数の灼熱の蛇となって超音速で襲いかかる!
エルフは肩から鳩尾までを袈裟懸けに切り裂かれ、忍者は刀を折られて吹き飛ばされる。
残るすべての蛇が、ヤウルへと殺到する。剣では到底防ぎきれない数。
絶体絶命の瞬間――光の壁が立ちふさがり、蛇群を消滅させた。
シエル「はっ! これが赤頭巾の【死神の鎌】? 噂ほどじゃないわね!」
白銀の鎧を纏った、栗毛の少女が不敵に笑う。
月の光を反射して輝くその笑顔は、ヤウルにはどんな星よりも眩しかった。
ヤウル「シエル、気を抜くな! こいつは天馬級ペガサスの冒険者を何人も葬ってるんだぞ!」
シエル「大丈夫よ! 知ってるでしょ? 私は一回見さえすれば、どんな呪文だって解呪――」
シエルの首に、スッと赤い線が走る。
口から吐き出される血の筋。
仮面の下で、赤頭巾が不気味に微笑む。
シエル「あれ……私……なんか、変……?」
戸惑い、自分の首へ手を伸ばそうとするシエル。
その首と胴体が、じわリとズレていく。
必死に駆け寄ろうとするヤウル。
だが、足は泥沼に捉われたように動かず、伸ばした手は数歩先の恋人に届かない。
ヤウル(N)『俺たちの、なんと愚かだったことか――』
世界から色が抜け落ち、モノクロームへと染まっていく。
影と化したシエルの首が、ゆっくりと肩から落ちた。
T『黄昏冒険者剣風帖 第一話:黄昏の冒険者』
〇ヤウルの部屋・早朝
ヤウル「――シィィエルゥゥゥ!!!」
絶叫と共に、飛び起きるヤウル。
全身は冷や汗で濡れ、目は血走っている。
伸ばした指の先にあったのは恋人の首ではなく、古びた天井の梁。
薄暗い室内に、カーテンの隙間から朝光と小鳥のさえずりが漏れている。
ヤウルは、自分の手を見る。
そこには、シミとシワが刻まれた中年男の手があった。
ヤウル「……あの頃の夢を見るのは、久しぶりだな」
ベッドから起き上がるヤウル。
長年の習慣に従い、身体が無意識のうちに早朝の鍛錬を開始する。
じっくりとストレッチ(柔軟運動)を行い、腕立て伏せ、腹筋、ダンベルを用いた筋力トレーニングへ。
鍛え上げられた上半身の筋肉が躍動し、溢れる熱い汗が冷や汗を押し流していく。
身体を動かすにつれ心は無我の境地へと入り、記憶は過去を辿りながら現在へと引き戻されていく。
ヤウル(M)『……痩せこけた餓鬼だった頃、俺は萎びていく故郷を飛び出した。せいぜい山賊程度で終わるはずだったチンピラが、運よく師匠に出会い、【風神剣】の奥義を受け継ぎ、冒険者になった――』
ヤウル、模擬刀を手にして【風神剣】の型稽古に入る。
ヤウル(M)『仲間と幸運に恵まれ、脱落していく同期たちを余目に俺たちは成り上がっていった。死線を潜り抜けながらギルド第二位【鷲獅子級】の称号を得て、第一位の【真竜級】も目前だった……あいつと出会うまでは――』
木刀を下ろし、一息つくヤウル。
視線を壁の棚へと向け、指を差し伸べる。
ヤウル「壱番から八番。飛んで俺を襲え」
言葉に応じ、棚に積まれていた布の束が宙に舞う!
自動的に折りたたまれ、紙飛行機のような形状となって、前後左右・上下斜めから怒涛の勢いでヤウルへ襲いかかる。
ヤウルは紙一重の動作で回避し、木刀で軌道を逸らしながら使い魔たちの猛攻を捌いていく。
ヤウル(M)『……赤頭巾。上位冒険者だけを狙い殺し続けた暗殺者。あいつの討伐依頼を引き受けたことで、俺たちは多くを失った――』
全8機の使い魔が間合いに入った一瞬を逃さず、ヤウルが木刀を一閃!
一挙に七つの布飛行機を同時に叩き落とす。
ヤウル「――痛ッ!?」
顔をしかめるヤウル。
首筋に刺さった八つ目の使い魔を指で引き抜く。
ヤウル「……やれやれ、若い頃は十枚くらい余裕だったのになぁ。壱番から七番、巣に戻れ」
ため息をつき手を振ると、布の使い魔たちは舞い上がり、解けて棚の上の束へと戻っていく。
手の中でジタバタと蠢く八番で汗を拭いながら、ヤウルは棚へ近づく。
ヤウル(M)『俺は多くを失った。仲間、恋人、誇り――シエルの仇を討つことだけを望んだ。だが赤頭巾は、俺が重体で伏せている間にサイゾウの手で討ち取られた』
ヤウルの脳裏に過る回想――
全身血と包帯に塗れてベッドに横たわるヤウル。
そして、ボロ布のようになった赤頭巾の死体を曳き、満身創痍で帰還するサイゾウ。
ヤウル(M)『……今は赤頭巾の正体が、血と火の神ゲイノスを崇めるゴブリンの邪神官だったことは判明している。あの殺戮が、巣を滅ぼした冒険者たちへの復讐だったことも。……だけど、謎は残った』
壁の棚の上には、小さな祭壇のように亡き仲間たちの遺品が祀られている。
エルフの弓、シエルの魔杖、傷だらけの忍者の面頬。
(※面頬があることで、サイゾウも既にこの世にいないことが察せられる)
ヤウル(M)『大勢の猛者を屠った、回避不能、防御不能の【死神の鎌】の正体。そして――』
再び過る回想――
自室の中、肌脱ぎのまま布団を被ったシエルの髪に、そっと手を伸ばすヤウル。
シエル(回想)「ちょっと、何してるのよ」
ヤウル(回想)「動くな。……よく似合ってるぜ」
シエル(回想)「バカ……」
頬を赤らめ微笑むシエル。
彼女の頭上で可憐に揺れる、ナデシコの髪飾り。
ヤウル(M)『……あれからあの草原を何度も探した。だが、あの髪飾りだけは見つからなかった。代わりに――』
ヤウル、棚から小さな『鈴』を取り上げる。
鈴の内部には、音が鳴らないよう綿が固く詰め込まれている。
ヤウル(M)『……赤頭巾を追い詰めるため、俺たちはあの場所を徹底的に調べ上げた。亡き仲間の魂に誓って……あの時、こんなものは落ちていなかった』
綿入りの鈴を手の中で転がし、低く呟くヤウル。
ヤウル「これはなんだ……お前は一体、何だったんだ……赤頭巾レッドフード」
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〇下宿先・食堂「戦斧と乙女亭」の一階(朝)
階段を下りてくるヤウル。 カウンターに立つドワーフの女主人・オルガが気づき、声をかける。
片目の眼帯や顔の古傷から、彼女もかつて凄腕の冒険者だったことが伺える。
オルガ「おはようさん! 今朝はずいぶんとお寝坊さんじゃないの」
ヤウル「おはよう、オルガ。昨日、つい深酒をしちまってな」
苦笑いで嘘をつくヤウル。
オルガは(悪夢にうなされていたのを)見抜いているが、あえて追及せず乗ってやる。
オルガ「なら、オルガ姐さん特製のバーガーを食っていきな! 美味さで二日酔いなんか吹き飛ぶからさ!」
ヤウル「助かる、恩に着るよ」
オルガ、鉄板からフライ返しでバーガーを勢いよく弾き飛ばす!
あふれんばかりの肉と野菜が挟まった巨大バーガー。 ヤウルは片手で器用に受け止め、そのまま店の外へと駆け出していく。
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〇イファーバーグ市・冒険者ギルドへ続く大通り(朝)
片手でバーガーを頬張りながら、朝の街を走るヤウル。
ヤウル(N)『こいつは俺の持論だが――冒険者にとって一番重要なのは、剣や魔法の腕じゃない。丈夫な胃袋と、速い足だ。腹が減っては戦えないし、よく動く足はいつでも役に立つ。依頼現場に向かう時、獲物を追う時……そして何より、命からがら逃げ延びる時だ』
ヤウル(N)『だから俺は毎朝の走り込みを絶やさない。昔はサイゾウや斥候のオロンすら抜き去って、一番にギルドへ着いたものだったが――』
ヤウルの並走位置に、ハーフエルフの軽戦士・アズノールが躍り出る。
アズノール「おはようございます、先輩!」
ヤウル「おはようアズノール。朝から精が出るな」
アズノール「仲間内で賭けをしてるんすよ! ギルドの一番乗りを逃した奴が昼飯奢りって――」
アズノールの脇を、ヤギの角と脚を持つ獣人の少女・ガゼルがものすごい速度で疾走していく!
ガゼル「おっさき〜! のろまのアズノールちゃん、昼飯ごっちになりまーす!」
アズノール「てっめえガゼル! 卑怯だぞ! ……ヤウルさん、お先です!」
ヤウル「おう、転んでケガするなよ」
街の壁や街灯を三角飛びで縦横無尽に跳ね回るガゼル。
頭を低くし、矢のような前傾姿勢で追いかけるアズノール。
二人のスピードにヤウルはついていけず、次第に置いていかれる。
さらに、他の若い冒険者たちが一人、また一人とヤウルに挨拶しながら通り過ぎていく。
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〇冒険者ギルド前
ギルドの入口。 先に到着した若者たちが、じゃれ合いながら笑い合っている。 ヤウルは少し遅れて到着し、額に汗を浮かべ、肩で息をついている。
ヤウル(N)『……歳を取るというのは、こういうことだ。後輩たちに追い抜かれる。そして……二度と追いつけなくなる』
ふと立ち止まり、向かいにある劇場の掲示板を振り返るヤウル。
かつてそこには、ヤウルたちをモデルにした大ヒット演劇【嵐の追跡者】のポスターが躍っていた。
しかし今や、その上から新進気鋭の売れっ子冒険者たちの演目が隙間なく重ね貼りされている。
ヤウルは少し寂しげに目を細めて笑う。 そして、気持ちを切り替えるように冒険者ギルドの重い扉を押した。
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〇冒険者ギルド内部・依頼掲示板前
ギルドホールの中央に鎮座する巨大な掲示板。
依頼書は難易度順に、最下位の第9位の小鬼級から最高位の真竜級まで分類されている。
その掲示板の前で、若手冒険者たちが集まり騒然と議論している。
ヤウル「騒がしいな。何かあったのか?」
アズノール「あ、ヤウルさん。今日は週に一度の新規依頼の張り出し日なんですけど……第3位の【天馬級】以上の依頼が余ってるんです」
ヤウル「【緑林の宝珠】や【カリス同胞団】、【白嶺騎士団】はどうした? 上位クエストはいつもあいつらが真っ先にかっ攫っていくだろ」
ヤウルは身を乗り出し、掲示板に目を凝らした。
アズノール「【緑林の宝珠】は近海の海底遺跡に入りっぱなしです。【カリス同胞団】は邪神教の掃討中……【白嶺騎士団】や他の上位冒険者は、連絡がつかないらしくて……」
ヤウル「……似ているな。あの時と」
アズノール「え? 何とですか?」
ヤウル「……いや、なんでもない」
ヤウルは掲示板から目を離した。
ヤウル「冒険者が音信不通になるなんて珍しくもないさ。死んだり、逃げ出したり……俺の同期だって全員いなくなった」
ヤウル(M)『それでも……上位勢が一斉に姿を消すなんて滅多にあることじゃない。昔の夢を見て、少し過敏になっているのか、俺は?』
ヤウル、アズノールを見る。
後輩の瞳に興奮と期待、そしてわずかな躊躇が入り混じっていることに気づく。
ヤウル「そう言えば、お前たちは第5位の妖婆級だったか?」
アズノール「あ、この前、第4位の巨人級に進級しました!」
誇らしげに胸を張るアズノール。ヤウルはその意図を察する。
ヤウル(M)『なるほど……他のパーティと組んで上位依頼に挑みたい。だが格上すぎると分け前で損をする。だからソロの俺に目をつけたが、遠慮しているわけか』
アズノール「あ、あの! ヤウルさん、もしよかったら――」
突如、鋼の籠手に覆われた手がアズノールを強引に押し退ける!
よろめくアズノールを、ヤウルが咄嗟に受け止める。
ガウル「邪魔だチビども! どけ!」
現れたのは、重厚な鎧を身に纏った赤毛の巨漢・ガウル。
彼は腕を一振して、掲示板にあった上位の依頼書をすべて鷲掴みにして奪い取った。
周囲の冒険者「……【灼熱剣】のガウルだ!」「鷲獅子級の……」「ちくしょう、依頼を全部持っていきやがった!」「欲張りにもほどがあるぞ!」
抗議の声をあげる冒険者たち。しかしガウルが一瞬で射殺すような鋭い視線を投げかけると、場は一転して静まり返る。
ガウルの背後には、彼が率いるパーティー【焼尽王】の面々。高価な魔法武具を身に纏い、圧倒的な威圧感を放っている。
ガウル「雑魚共がグダグダ喧しいんだよ! 依頼が欲しいなら力で奪ってみろ!」
威嚇するガウルと、怯える若手たちの間に、ヤウルがスッと割り込む。
ヤウル「……お前が強いことは誰もが知ってる。わざわざ身内に牙を剥いて見せる必要はないだろ」
ガウル「あんたもだよ、おっさん!!」
ガウルが顔をギリギリまで近づけ、ヤウルを睨みつける。
ガウル「とっくに盛りを過ぎたくせに、マスターのお情けで天馬級にしがみついてるロートルが! 見苦しくて虫酸が走るぜ。冒険する気がないなら、とっくに引退しちまいな!」
至近距離で見つめ合う二人。荒い息を吐くガウルに対し、ヤウルは静かに見つめ返す。
ガウル「……言い返さねえのかよ」
ヤウル「……ああ。お前の言う通りだからな」
ガウルが悔しさと苛立ちの混じった表情で顔を歪める。
ヤウルを力任せに押し退ける。
ガウル「ハッ、ムカつくぜ! 二度と俺にそのしみたれたツラ見せるんじゃねえ!」
肩を怒らせて去っていくガウル。
【焼尽王】のメンバーたちは申し訳なさそうにヤウルへ軽く会釈し、リーダーの後を追う。
ガゼル「なによガウルのやつ! 感じ悪い、さいてー!」
アズノール「あの恩知らず! 駆け出しの頃、さんざんヤウルさんに世話になったくせに、よくあんな口が叩けるな!」
ヤウル「……最高位に立つ奴には、それ相応のプレッシャーがかかるのさ。俺も若い頃は、あいつと大差なかったよ」
アズノール「ええ!?」
ガゼル「うっそだー!」
ヤウルは二人に背を向け、掲示板に向き直る。
ヤウル(M)『……そう、ガウルは何も間違っていない。ここ数年、俺は新しい依頼を受けていない。こなすの同じような安全な仕事ばかり。パーティーを組むのもやめ、単独ソロで燻っている』
見慣れた中級の依頼書を数枚、手慣れた手つきで抜き取るヤウル。
ヤウル(M)『……歳を取るということは、頂点トップへ手を伸ばすのを諦めることだ。そして……届かなくても、悔しいとすら思わなくなることだ』
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〇冒険者ギルド・受付窓口
依頼書を持ったヤウルが受付に向かう。
窓口の奥に座っていたのは、銀髪に片眼鏡をかけたギルドマスター・セルヴァンだった。
ヤウル「……セルヴァン、珍しいな。受付のシルフィはどうした?」
セルヴァン「あの子は今、別の任務で出払っていてね。ギルドは深刻な人手不足なんだ。猫妖精の足も借りたいくらいだよ」
ヤウル「それにしちゃ、ギルマス自ら受付に立つとはな」
セルヴァン「たまには現場に出るのもいいものさ。執務室の椅子で尻を温めているだけでは見えないものが、たくさん見えてくる。……それに、お前と直接話がしたかった」
ヤウル「俺と……?」
怪訝そうに眉をひそめるヤウル。
セルヴァンは片眼鏡のフチを指で押し上げ、静かに頷く。
セルヴァン「ヤウル。いつもの仕事のついでで構わない……新人の育成を引き受けてみる気はないか?」




