↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第2期
PR
82/89

第十六章: 自我の音色1-1

核雷の支配する都市「淵雷(えんらい)」。その中枢にある漆黒の執務室で、冷徹な霞忍者の怒号が響き渡りました。「貴様ら……揃いも揃って失態をさらすとは! たかが人間一人捕らえられず、あまつさえ逃走を許すなど……。あの男を野放しにしておくつもりか!」霞忍者の威圧感に、六人の忍者は一瞬言葉を失います。しかし、アーランが拳を握りしめて答えました。「……次は必ず、奴をこの手で捕らえてみせる」霞忍者は冷たい一瞥をくれると、影の中に溶けるようにその場から消え去りました。残された者たちの間には、重苦しい空気が漂います。「次こそは……絶対にライトを連れ戻すわよ」「ああ、奴を自由にさせておくわけにはいかない」チーランとビンチェンが決意を口にする中、アーガンがふと隣の様子に気づきました。「……メイジウ? どうした、顔色が悪いぞ」「……分からない。急に頭が割れるように痛むの。……少し一人で休ませて」メイジウは仲間の制止を振り切り、一人で執務室を後にしました。彼女が辿り着いたのは、無機質な高層ビルに囲まれた、静かな公園のベンチでした。目を閉じると、記憶の断片がノイズのように点滅します。ライトの悲しげな瞳、ライヤの叫び、そして……自分が忘れてはいけないはずの「何か」。「うっ……あ、ああっ……!」激しい頭痛に襲われ、梅玖が頭を抱え込んだその時。どこからか、透き通るような美しい「歌声」が風に乗って聞こえてきました。「……? この歌声は……?」歌声に導かれるように歩を進めたメイジウは、公園の片隅で不思議な光景を目にしました。そこには、一人の小さな少女が静かに独唱していました。彼女の周りには、どこから集まったのか小動物たちが寄り添い、まるでお伽話の一幕のような穏やかな時間が流れています。しかし、その平穏を切り裂くように、メイジウの脳内に「もう一つの声」が響き渡りました。『……忘れたのか? お前の目的を。裏切り者・ライトを追いつめることだろう?』(……これが、私の本当の声なの?)メイジウは自問自答します。すると、脳内の声はさらに冷酷に囁きかけます。『当然だ。私はお前の心の声。お前が追うべきは、同胞を傷つけた源力の忍者だ。それは、お前がその目で見た「真実」だろう?』「……お姉ちゃん?」不意に声をかけられ、メイジウは我に返りました。歌い終えた少女が、心配そうにメイジウを見つめています。「あ……どうしたの?」「お姉ちゃんこそ、どうしたの? ずっと自分とお話ししてたから、具合が悪いのかなって」「あはは、大丈夫よ。……変ね、あの声が消えたわ」メイジウは無理に笑顔を作り、少女に語りかけました。「素敵な歌声ね。どうしてこんな静かな場所で歌っているの?」少女は少し照れくさそうに、でも真っ直ぐな瞳で答えました。「ストレスが溜まると、ここに来て歌うんです。そうすると、嫌なことが消えて、新しい自分に出会えるような気がして。……私は、歌には『希望』と『喜び』を届ける力があるって信じてるから」「希望と、喜び……?」その言葉が、メイジウの凍りついた記憶の深層に波紋を広げます。(……知っている。この言葉を、私はずっと昔に誰かから聞いたことがある……)メイジウの脳裏に、霧の向こう側から「自分自身の子供時代」の情景が浮かび上がろうとしていました。メイジウの脳裏に、封印されていた「真実の断片」が鮮烈な輝きと共に溢れ出しました。それは、まだ平和だった頃の、アーランとの何気ない語らい。「メイジウ、師匠の修行はあんなに厳しいのに、どうして君は平気な顔をしてるんだ?」「平気なわけじゃないわ。ただ、歌を歌ってリラックスすることで、自分をもっと高めたいと思っているだけ」「……君は、もう十分に歌が上手いよ」「本当?(照れ笑い)」「ああ。将来、きっと素晴らしい歌手になれる」「……アーラン、あなたはどうなりたいの?」「俺は、世界最強の忍者になる。そうすれば、家族も……それに、メイジウ、君のことも守れるから」後半の言葉に顔を赤らめ、俯いた自分。「……約束よ、私を守ってね」「ああ。君も歌い続けてくれ。希望と喜びを届けるために」書き換えられた偽りの憎しみは、その温かな約束の温度に溶けて消えていきました。(……思い出した。私は、歌手になっていたんだ。アーガンも、アーグアンも、ライトも……ジェンシャンだって。みんな、呪音元素から私を救うために必死に戦ってくれた仲間じゃない!)「お姉ちゃん……?」メイジウは震える手で、目の前の少女を強く抱きしめました。「……ありがとう。あなたのおかげで、私、やっと見つけられたわ。私の中にある、本当の声を」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。