偽りの記憶と新たな絆1-4
地下基地の張り詰めた空気が、少しだけ和らぎました。カイラは、仲間の成り立ちを静かに話し始めます。「ライヤとは途中で出会ったの。リンヤとヤオヤオも、私が各地で彼らの才能を見出した。……でも、実はもう一人、私たちの仲間がいるわ」「もう一人?」ライトが聞き返すと、カイラの声音がわずかに低くなりました。「ええ。現代の『闇のエレメント』の継承者……名前はアンガン。彼は今、私たちのそばにはいない」ライヤがすかさずフォローを入れるように言いました。「カイラ姉さん、私は信じてるわ。彼はわざと裏切ったんじゃない、ただ闇の力に呑まれて自分を見失っているだけだって。いつか絶対に、彼をこっち側に連れ戻してみせるから!」重い話が続いたその時、空気を変えるようにリンヤがヤオヤオをからかい始めました。「おい、ヤオヤオ、後ろを見てみろ! 誰かいるぞ!」「えっ!? ……ひゃああっ、二人もいる!?」ヤオヤオは恐怖のあまり、その場で白目をむいて倒れてしまいました。その光景を見たカイラは、額に青筋を浮かべながら、慈母のような……しかし逃げ場のない「笑顔」でリンヤに歩み寄ります。「リンヤ……ちょっと、『いい場所』へ来なさい。じっくりお話ししましょう?」「ま、待ってくださいカイラ姉さん! 悪かった、俺が間違ってましたってば!」引きずられていくリンヤを見送って、ライヤがクスクスと笑いました。「あーあ、あいつ終わったわね」リンヤは去り際にライヤを指差し、「ライヤ、覚えてろよーっ!」と悲鳴を上げながら消えていきました。その様子を眺めていたライトは、自然と口角が上がっていました。「……みんな、すごくカイラのことを信頼しているんだね。なんだか、このチームはとても温かくて、家族みたいだ」リンヤが泣きべそをかきながら引きずられて戻ってくると、地下基地に再び整列の号令がかかりました。「さあ、みんな改めてライトに正式な挨拶をしなさい。まずは『時間』の忍者、ヤオヤオ」「えっ、あ……えっと、こんにちは。よ、よろしくお願いします……」ヤオヤオはお辞儀をしながらも、やはりライトの視線から隠れるように縮こまりました。「次は『煙霧』の忍者、リンヤ」「ちっ、よろしく……あいたた、痛いってば!」カイラに肘を小突かれたリンヤは、毒づきながらも渋々頭を下げ、すぐにどこかへ逃げ去ってしまいました。そんな様子を見て、カイラは「……全く、手がかかる子たちね」とため息をつきました。ライトはふとした疑問をカイラにぶつけました。「カイラ、君自身の能力は何なんだ? 僕にはまだ君の『色』が見えない」「これのこと?」カイラがライトの肩にそっと手を置きました。その瞬間、カイラの手のひらからライト自身の力である「源力」のエレメントが溢れ出したのです。「なっ、どうして!? 君も源力の使い手なのか!?」ライトが驚愕して飛び退くと、カイラは静かに首を振りました。「いいえ。これは『怪盗』のエレメント。対象に接触することで、一時的にその力をコピーして自分のものにする能力よ」「……なるほど、そんな力が。じゃあ、僕を待っていたという本当の理由は?」カイラの表情から余裕が消え、切実な響きが混じりました。「私たちは、あなたに核雷の城へ潜入してほしいの。奪われた私たちの聖剣を取り戻すために。核雷は目的のためなら手段を選ばない男よ。私たちの仲間の一人——アンガンを闇に堕とし、仲間割れをさせたのも奴の仕業。……私たちは一度敗北し、ライヤに救われてから、この地下室で息を潜めて情報を集めるしかなかった」カイラの声が震え始めました。「奴の目的は、あなたの仲間の記憶を書き換え、あなたを絶望させること。あなたが『師匠と仲間を殺した』という偽りの罪悪感に押し潰されるのを待っているのよ。……お願い、ライト。私たちはもう、この閉ざされた地下室で耐え続けるのは限界なの。食料も物資も切り詰め、明日をも知れぬ恐怖の中で過ごしてきた……。お願い、力を貸して!」カイラはその場に膝をつき、ライトに向かって深く頭を下げました。「カイラ姉さん……」ライヤが悲しそうに彼女を見つめる中、ライトは決然とした表情でカイラの肩を支え、立ち上がらせました。「……分かった。僕にやらせてくれ。僕ももう、行く場所なんてどこにもないんだ。僕を受け入れてくれた君たちのために、一緒に戦うよ」「……ありがとう、ライト……!」
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