私の過去1-4
その時だった。空を裂くような凄まじい衝撃波が降り注ぎ、その場の全員が地面へと叩きつけられた。爆煙の中から、一人の人物が悠然と歩み寄ってくる。その圧倒的なプレッシャーに、観戦していたウーミエさえも椅子から立ち上がった。「おいおい……冗談だろ。この元素はまさか……」「『虚算の元素』……!」倒れ込んだ仲間たちが声を掛け合う。「……チーラン、無事か?」「メイジウ、今の衝撃は一体何なの……?」誰もが息を呑む中、新たな脅威がその姿を現した。「『虚算元素』、降臨――」「我が名は虚算将軍。机枢都市•渊雷市を代表し、貴様らを殲滅してこの都市を奪い取るために参った」突如として現れた圧倒的な存在。滅火めっかが「よう、久しぶりだな」と馴れ馴れしく近づくが、虚算は問答無用で彼を遥か彼方へと投げ飛ばした。その人知を超えた力に、誰もが戦慄する。「無駄口は不要だ。まとめてかかってこい。一度に片付けた方が早いからな」ここでウーミエが姿を現した。「……私が相手をしよう」ウーミエは剣を抜き、持てる力のすべてを込めた対抗策を講じる。「無効斬』!」しかし、虚算はその一撃を事も無げに受け流した。「ならば、これならどうだ……『涅隠深淵』!」虚算の体が深淵の闇へと引きずり込まれる。だがそれも束の間、空間そのものが音を立てて崩壊した。「小癪な(こしゃくな)小細工だ。見ろ、これが『理子』だ」「『無能』!」虚算が放った力により、ウーミエの元素が無理やり実体化させられる。そこへ、吹き飛ばされた滅火が再び突進し、顔面目掛けて炎を叩き込んだ。しかし、その猛火は瞬時に砂粒のような灰へと変えられた。「何だと……!? こんなことがあり得るのか!」再び弾き飛ばされる滅火。そこへ(アーグアン)が攻撃を仕掛ける。「まとめて来い!」虚算の挑発に、アーグアンは最大奥義を繰り出した。「『神君』!」背後に巨大な雷の巨人が出現し、その大太刀を虚算へと振り下ろす。しかし、刃が彼に触れた瞬間、巨像は霧のように霧散した。「な……何っ!?」驚愕するアーグアンに対し、虚算は冷たく言い放つ。「……ほう、なかなか便利なものを持っているじゃないか」次の瞬間、虚算は素手で全く同じ『神君』を造り出してみせた。ライトが叫ぶ。「馬鹿な、コピーしたのか!?」「僕の力は、あらゆる事象を実体化し、模倣して造り出すことにある。……行け、『神君』。攻撃だ!」「行け、神君!」(アーグアン)も持てる力を出し切る。二体の神君が激突し、発生した凄まじいエネルギーの余波が全員を再び叩き伏せた。神秘の忍者は「鏡像の盾」で辛うじてその衝撃を凌ぐ。虚算はその忍者の姿をじっと見つめ、何かを思い出したように口を開いた。「……なるほど。お前が、核雷様が探していた『記憶の元素』の継承者か」「……何だと?」虚算は残酷な真実を語り始めた。「当時、核雷様は『記憶の元素』の力を必要としていた。お前の父親に協力を求めたが、あの男は死んでも首を縦に振らなかった。だから殺されたのだ。結局、『記憶の剣』は見つからず、元素の血筋は絶えたと思われていたが……お前の手にあったとはな」その言葉は、忍者の魂を打ち砕くには十分すぎた。「……そんな。すべては、そういうことだったのか……!」忍者の目から涙が溢れ出し、狂ったように虚算へ襲いかかる。「鏡の剣……殺してやる! お前だけは……!」「無駄だ。すべての剣は灰となる」「あああああ! 豹双幻斬!」「小僧、どれほどの技を繰り出そうが無意味だと言っている」虚算は決着をつけるべく、模倣した神君を動かした。「神君、やれ」「鏡像の盾!」しかし、神君の圧倒的な一撃に盾は耐えきれず、再び凄まじい衝撃が発生した。その後、虚算は興味を失ったように都市の方角へと歩み去り、ウーミエもまた、その場を後にした。静まり返った戦場に、忍者たちだけが取り残される。やがて、その「憶者」は忍者服を解いた。ライトは自分の目を疑った。そこに立っていたのは、あまりにも見慣れた親友の姿だったからだ。「(ジェンシャン)……嘘だろ、どうして! なんで君が……!」「……チッ」ジェンシャンは一言も発することなく、深い傷を負った体を引きずりながら、独り去っていった。




