真実の声1-4
「おい、アーガン!」廊下では、チーランの猛攻を一方的に受け続けていたアーグアンもまた、力尽きて膝をついていた。しかし、チーランもまた我に返り、驚愕して彼に駆け寄る。「アーグアン! どうしたの、しっかりして!」ライトが皆と合流し、これまでの経緯を説明した。「そう……私たちが操られていたのね。でも、今は呪音の元素を倒すのが先決よ!」「ところで、メイジウは?」「ここにいるわ、みんな」メイジウが凛とした表情で歩み寄る。「今こそ、皆の心を一つにする時よ。私の光環で皆の攻撃力を増幅させる。その隙に、ライトが呪音の元素を本体から引き剥がして!」作戦は決まった。「最高の一撃を叩き込んでやろうぜ!」「楽声舞台! 人形たち、お願い……皆の攻撃をサポートして!」召喚された五体の人形が戦場を舞い、味方の攻撃に音波の衝撃を付与していく。その光景を遠くから見つめていた謎の忍者は、役目を終えたかのように静かに身を引いた。(……彼らは答えを見つけたようだな。ならば、俺はここで退散するとしよう)呪音の元素と音の忍者の最終決戦が始まった。「……バカな! 私の支配が解除されただと!? 認めん、お前たちは私の操り人形なのだ!」呪音の元素は必死に虚勢を張るが、メイジウは毅然と言い放った。「ふん、もう二度と好き勝手にはさせないわ!」「おのれ……死ねえ!」呪音の元素が禍々しいオーラを放とうとするが、味方を包む“楽光環”がそれを無効化する。「光環がある限り、支配は通じない! 皆、いけ!」「炎ノ爆破!」チーディの炎が呪音の元素を焼き焦がす。「くっ、これ以上は……退却だ!」「逃がさないわよ! 万物を凍らせなさい!」逃げ道をビンチェンの氷が塞ぐ。「何っ!?」「水剣刺斬!」チーランの剣撃が追い打ちをかける。追い詰められた呪音の元素は、四方八方から鳴り響く音波の衝撃に頭を抱えた。「ええい、うるさい! なんだこの騒音は! 脳が震える……っ!」「あら、これくらいで根を上げるの? 破軍歌姫!」メイジウが巨大スピーカーを召喚し、超高出力の音爆を叩きつける。「ああああああっ!!」「ライト、今よ!」「源力・真斬撃!」ライトは天高く跳躍し、一筋の閃光となって呪音の元素を一刀両断した。宿主の体から無理やり引き剥がされた元素が宙に浮き上がる。しかし、その瞬間――空間を切り裂くようにウーミエが姿を現した。「……私の出番だな」「ウーミエ!?」「やあ、ライト」ウーミエは冷徹な笑みを浮かべると、瞬く間に呪音の元素を自らの体内へと吸い込んだ。「では、私はこれで失礼するよ」「おい、待て! ウーミエ!」ライトが叫ぶが、その姿はすでに影の中に消えていた。空を見上げれば、いつの間にか夜が明け、朝焼けの光が街を照らしている。「……はあ、行ってしまったか」ライトは力なく溜息をつき、剣を収めた。「……でも、ようやく終わったんだな。この過酷な戦いも」戦いの後、一日中ゆっくりと体を休めた忍者たちは、翌朝から街の復興作業に駆り出されていた。「……はあ、毎日毎日、片付けばっかりで本当に疲れるよ」ライトが瓦礫を運びながらこぼした。「仕方ないわよ。戦いであれだけ派手に壊しちゃったのは、私たちなんだから」チーランが苦笑いしながら答える。「それもそうだけど……。ところで、メイジウはどこへ行ったんだ?」「何か大切な用事があるって言ってたわよ」ライトがそう答えていると、また壁にポスターが貼られているのが目に入った。興味津々で駆け寄ってきた民衆に、ライトが尋ねる。「すみません、今度は誰が歌うんですか?」「おお、忍者のライトじゃないか! またメイジウだよ。前回のコンサートが途中で中止になっちゃったのを、彼女、すごく申し訳なく思ってるみたいでね。お詫びと補償を兼ねて、もう一度ステージに立つって言ってるんだ」「そうなんですか」「市民の皆さん、これは本当ですよ! だから絶対に見に来てくださいね!」ライトは明るく宣伝する民衆の姿を見てから、チーラン、チーディ、ビンチェン、アーガン、そしてアーグアンの方を振り返った。「……なあ、俺たちもみんなで一緒に見に行かないか?」「いいわね、賛成!」チーランが笑顔で応じ、他の面々も楽しそうに頷いた。コンサート当日、会場は前回を遥かに凌ぐ熱気に包まれていた。「うわあ……すごい賑わいだね!」ライトが感嘆の声を上げる。「ええ。私たちはメイジウが用意してくれたVIPルームにいるけれど、ここから見下ろす客席の景色は本当に壮観だわ」チーランも窓の外を眺めて目を輝かせた。ついにステージにメイジウが姿を現した。彼女はマイクを握り、真摯な眼差しで観客を見渡す。「皆さん、こんにちは。……数日前、予期せぬトラブルでコンサートを中止にしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。私の歌を皆さんが気に入ってくれるか、正直まだ不安はあります……。でも、どうか最後まで聴いてください」イントロが流れ出すと、ライトがハッとしたように呟いた。「この曲……メイジウが自分で書いた曲だ!」彼女の歌声が会場に響き渡る。それは呪音の力などではない、彼女自身の魂がこもった、力強くも繊細な旋律だった。歌い終えた瞬間、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。「最高だーー!!」「なんていい曲なんだ!」「メイジウ、愛してるよー!!」「……どうやら、観客の皆さんは大満足みたいだね」ライトが嬉しそうに言うと、アーグアンも深く頷いた。「ああ、そうだな」「皆さん……本当に、ありがとうございます……」メイジウの目から、一筋の涙が溢れた。熱烈な拍手が鳴り止まぬ中、彼女は意を決したように再び口を開いた。「皆さん……聞いてください。前回のデビューから応援してくれている方もいると思いますが、私は皆さんに隠していたことがあります。……私は、忍者です。幼い頃から厳しい訓練を受けてきました。……嘘偽りのない、ありのままの私を、皆さんに見てほしかったんです」メイジウは深く、長く頭を下げた。会場が水を打ったように静まり返る。彼女の脳裏に不安がよぎる。(……やっぱり、忍者がアイドルなんて、受け入れてもらえないのかな?)しかし、沈黙を破ったのは罵声ではなく、温かい心配の声だった。「忍者とアイドルを両立させるなんて、すごく大変じゃない……?」「そんなに忙しくて、メイジウの体が心配だよ!」「頑張れメイジウ! 応援してるよ!」「メイジウちゃん、無理しないでね……!」観客たちの温かい言葉を受け、メイジウの目から再び涙が溢れ出した。しかし、今度の涙は悲しみでも絶望でもない――心からの「喜悦」の涙だった。




