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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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第七章:岩土と夢幻の侵蝕1-1

茶色の忍装束をまとった一人の忍者が、ゆっくりと街へ足を踏み入れた。「わぁ……ここが今の街か。子どもの頃とは全然ちがうなぁ……。懐かしいけど、なんだかずいぶん華やかになったねぇ。今ならきっと、美味しいものもいっぱいあるよね?」そう言って目を輝かせる少年―― 彼の名は アーガン。土の元素を継ぐ忍者だ。「オレは土の元素忍者、アーガン。修行を終えて帰ってきたところなんだ。本当は先にみんなのところへ顔を出すつもりだったけど……」きゅるる、とお腹(はら)が鳴る。「せっかく街に来たんだし、まずは腹(はら)ごしらえでしょ!」そう決めると、アーガンは迷いなく一軒の食堂へ入っていった。「いらっしゃいませ。ご注文は?」「おすすめって何?」「当店の人気は、特製・火紅焼肉丼(かこうやきにくどん)とラーメンですね」「じゃあそれ、両方五つずつ!」「……五つ!? しかも両方!?」店員は目を丸くする。「お客様、本当に食べきれますか?」「うん、たぶん大丈夫! ……あ、でもちょっと用事思い出した。先に作っておいてくれる? すぐ戻るから!」「え、あ、はい……?」店を飛び出したアーガンは、数歩進んだところで固まった。「……あ」ポケットをまさぐる。「やばい……食べ物のことで頭いっぱいで、お金持ってくるの忘れた……!」しばし沈黙。「……よし。とりあえず師匠のところ行こう」真顔でそうつぶやき、アーガンは道場へ向かって走り出した。土の元素忍者の帰還は、どうやら“腹ペコ”から始まるらしい。アーガンは全力で道場へ駆け戻った。「師匠ぉぉぉ!!」勢いよく戸を叩くと、扉を開けたのはライトだった。「えっと……師匠にご用ですか?」「ライト!? 久しぶりだな! あれ、師匠いないの? ちょっと小遣いもらおうと思ったんだけど……まぁいいや、先に自分の部屋から取ってくる! あとでゆっくり話そうな!」そう言うや否や、アーガンは風のように廊下を駆けていった。

「……は?」ぽかんと立ち尽くすライト。「小遣い……?」そこへ赤い忍装束のチーディが顔を出す。「ライト、どうした?」「今の……誰?」すると再び、どたどたと足音が響き、アーガンが札束を抱えて飛び出してきた。「おっ、チーディ! お前か! 久しぶり!」「アーガン!? 久しぶり……って、その金の束は何だよ。お前また食べに行く気だろ」「えへへ、バレた? じゃ、行ってくる!」「おい待て! せめて師匠に挨拶くらい――」「腹いっぱいになったらする!」そう叫びながら、アーガンは再び道場を飛び出していった。ライトは目をぱちぱちさせる。「……で、彼は?」チーディは肩をすくめた。「土の元素忍者、アーガンだよ」「なるほど……元気すぎるね」一方その頃。意気揚々とレストランへ戻ったアーガンだったが―― 店の前に立った瞬間、彼の足はぴたりと止まった。「……え?」そこには、予想もしなかった光景が広がっていた。「金を出せ! 出さなきゃ全員ぶっ殺すぞ!」聞き覚えのある声。例の強盗だった。「お、お兄さん頼むよ……本当にもうお金なんてないんだ……!」「なら、この店をぶち壊してやる!」店内には客と店員合わせて十九人。空気が一瞬で凍りつく。「……おい」低く落ち着いた声が、背後から響いた。アーガンが強盗の肩にぽん、と手を置く。「母ちゃんに教わらなかったか? 強盗はよくないってな」「てめぇ……! お前ら、やっちまえ!」手下たちが一斉に襲いかかる。一人が拳を振り抜いた瞬間―― がしっ。その拳は、アーガンの手にぴたりと止められていた。「……は?」「ふん、その程度か?」軽く腕をひねり、そのまま放り投げる。どさっ、と手下は床に転がった。もう一人が割れたガラス瓶を振りかざし、頭めがけて叩きつける。バリンッ!瓶は粉々に砕け散ったが―― アーガンは、ぴくりとも動かない。「な……なんで無傷なんだ!? バケモノかよ!」「ちっ……! 調子に乗るなよ!」強盗はナイフを抜き、一直線に突き刺す。「俺が一発で終わらせてやる!」「ほう? やってみろ」刃が振り下ろされ、店内の誰もが目を伏せた、その瞬間―― キィンッ!金属が弾かれる音が響く。「な、なに……!?」ナイフの刃先は、アーガンの身体に当たったまま、まるで岩にでもぶつかったかのように止まっていた。「……刀も通らねぇだと!?」強盗は、目を見開いた。「俺が誰かって? ――俺がアーガンだよ」次の瞬間、アーガンは豪快に蹴りを叩き込んだ。どんっ!強盗は床を転がる。アーガンは腕を組み、低く言い放つ。「俺の飯の時間を邪魔するやつには、容赦しねぇからな」その一言で、強盗と手下たちは顔を真っ青にし、「に、逃げろー!」一目散に店を飛び出していった。静まり返っていた店内は、次の瞬間―― 「うおおおおお!!」大歓声に包まれた。「ありがとう! 本当に助かったよ!」店主が深々と頭を下げる。アーガンは少し照れくさそうに笑った。「いえいえ、気にしないでください」店主は続けて言う。「もしよければ……今日はお代はいりません。サービスです」「えっ、タダですか!?」目を輝かせるアーガン。「はい。命の恩人ですから」「でもそれはさすがに悪いですよ……半分払います!」「大丈夫ですよ。一食くらい、どうってことありません」「うわぁぁ……!」アーガンの目に、じわっと涙がにじむ。「なんて優しい店なんだ……!」両手を合わせて深々と頭を下げる。「これからも絶対この店を応援します! 本当にありがとうございます!!」アーガンは満腹で幸せそうに店を出ようとしたその時―― カウンターの端で、ひとりの男が荒れた様子で酒をあおっていた。「……あの人、どうしたんですか?」アーガンが店主に小声で尋ねる。「さあ……理由は分からないけど、さっきからずっとああなんだ。よかったら声をかけてみるかい?」「うん、ちょっと行ってみます」アーガンは男の前に歩み寄った。「大丈夫ですか?」男は赤い顔で顔を上げる。「……あぁ? 誰だお前」「ちょっと様子が心配で……」「放っとけよ!」声が荒くなる。「何かあったんですか?」「ははは……どうせ俺を笑いに来たんだろ?」「違いますよ」「はははは! 分かってるさ、滑稽(こっけい)だろ俺は!」「違います。本当に何があったのか知りたいだけです。助けられることがあるなら――」アーガンは真剣な目でそう言った。だが男は不機嫌そうに睨みつける。「お前に何ができる? 俺は助けなんていらねぇ。ほっとけ」そして店主に向かって叫ぶ。「おい! もう二本持ってこい!」「でも、おじさん……」男は酒を一気にあおりながら吐き捨てる。「ガキが大人に説教(せっきょう)すんな。分かったらあっち行け」結局、アーガンは追い払われてしまった。店の外に立ちながら、アーガンは小さくつぶやく。「……なんか、放っておけないんだけどなぁ」

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