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21本の聖剣の物語  作者: ジャスティン
第1期
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炎の名を騙る者1-4

戸を開けた瞬間。「あ、チ一ディ? さっき用事があるって言ってなかった?」そこには“チーディ”が立っていた。次の瞬間―― 「ライト!!」

別の方向から声が響く。振り向くと、もう一人のチ一ディが飛び込んできてライトを抱きしめた。「なっ……!?」ライトは完全に混乱する。道場の扉が再び勢いよく開く。「え……ちょっと待って」ライトの目の前に、赤い忍者が二人。「なんで……チーディが二人いるんだ!?」二人のチ一ディは同時に相手を指差した。「お前だな!」「お前が変貌元素だ!」ジェンシャンが一歩前へ出る。「……ちょっと待って。どっちが本物?」「俺だ!」「俺だ!」声のトーン、仕草、立ち姿―― 驚くほど一致している。ライトは混乱したまま。「ど、どうすれば……」その時、ジェンシャンが冷静に言った。「じゃあ、試そう」二人を見る。「本物のチ一ディしか答えられないことを聞けばいい」道場の空気が一気に張り詰める。変貌元素の目が、わずかに細くなった。ライトがごくりと息を飲む。「……誰が、本物なんだ」ライトがすぐに口を挟んだ。「そうだ! チ一ディは炎の聖剣を持ってるはずだ。どっちが出せるか見れば――」もう一人のチ一ディが即座に言い返す。「待て、それは違う! そいつが俺の聖剣を盗んだんだ!」「は? これは俺が修行中に手に入れた聖剣だぞ」二人とも一歩も引かない。ジェンシャンが静かに言った。「……聖剣だけじゃ、本物かどうかは断定できないかもしれない」ライトも頷く。「確かに……」ジェンシャンは前へ出て、二人を見比べた。「じゃあ、俺が出題する」「え?」「俺も元素についての文献を読んだことがある。多少は知識がある。偽物なら、どこかで必ずボロが出る」ライトが少し安心した顔をする。「頼む」「五つ質問する。よく考えてから答えろ」「いいぞ」「来い!」道場の空気がさらに重くなる。ジェンシャンはゆっくり口を開いた。「第一問。……お前たちに両親はいるか?」二人のチ一ディが同時に答える。一人は、ほんの少しだけ目を伏せ、寂しげに。「……いない」もう一人は、迷いなく即答した。「いない!」ジェンシャンの視線が鋭くなる。「……分かった」ライトが驚く。「え、もう分かったのか?」「焦るな」ジェンシャンは続ける。「第二問。……兄弟姉妹はいるか?」二人の赤い忍者の目が、一瞬だけ揺れた。「いる!!」「……いる」二人の答えは、わずかに間が違った。ジェンシャンは目を細める。「第三問。――炎を見せてみろ」先に動いたのは片方のチ一ディだった。「炎」激しい炎が剣にまとわりつき、周囲の空気を焦がす。続いてもう一人が聖剣を構える。「炎!」――しかし。その瞬間、炎一瞬だけ聖剣の反応が鈍った。炎が出るまでに、わずかな“遅れ”。ライトとジェンシャンはそれを見逃さなかった。ライトは黙ったまま。だが、ジェンシャンの中では答えがほぼ固まっていた。「第四問だ。修行で聖剣を手に入れた時の過程を説明しろ」二人はそれぞれ答える。一人目。「炎の山だった。灼熱で、まるで地獄のような場所だ。炎が噴き出し、足場も不安定で……まさに灼熱の煉獄(しゃくねつのれんごく)だった」もう一人。「確かに暑い場所だった。でも、炎の継承者しか入れない結界があった。中に入ると、肉体よりも“精神”が試される。恐怖や迷いと向き合わされる試練がいくつもあった」沈黙。ジェンシャンは静かに指を向けた。「……本物は、こっちだ」本物のチ一ディを指す。「なんでだよ! 不公平だろ!」もう一人が叫ぶ。ジェンシャンは冷静に言った。「炎の聖剣は“力”だけじゃなく“覚悟”を試す。文献にもそう書いてあった。煉獄の景色だけ語るのは表面的すぎる」そしてさらに低い声で。「それに……さっき炎を出す時、聖剣が一瞬迷った」ライトがゆっくり口を開く。「聖剣は継承者を拒まない。だよな?」偽物のチ一ディの表情が、わずかに歪んだ。その瞬間、口元がにやりと吊り上がる。「……ちぇっ。バレたか」姿がゆらりと歪み始める。「なかなか面白い推理だったよ」変貌元素――。その本性が、ついに現れた。

倉庫の中―― 縛られたままのチ一ランは、師父と共に必死に状況を打開しようとしていた。「ライトに知らせる方法を考えないと……」「だが、どうやってだ? 今は縛られていて動くことすらできん」ロープは固く結ばれ、身動き一つ取れない。「まさか……ライトが来てくれるのを待つしかないの?」チ一ランは周囲を見回す。「何か、ほどけそうな物を探してみよう……!」――その頃、道場では。ライトは鋭い目で変貌元素を睨みつけていた。「これだけ人がいる。全員が証人だ。お前は元素力が幻化した存在(げんそりょくがげんかしたそんざい)だろ」変貌は舌打ちをする。「ちっ……ゲームの終わりが早すぎるな」次の瞬間。姿が掻き消えた(すがたがかききえた)。

「――え?」一瞬でジェンシャンの背後に回り込み、その首元を掴む。「ジェンシャン!!」「はははっ、お前の大事な友達は、先にもらっていく」「放せ!!」ジェンシャンは苦笑しながら振り返った。「……ごめん、ライト」変貌はそのまま跳躍し、闇の中へと消えていく。拳を強く握りしめるライト。「必ず助け出す……」薄暗い路地裏―― 変貌はジェンシャンを乱暴に地面へ放り投げると、再びロープで縛り上げた。壁に背を預けたまま、縛られたジェンシャンは小さく息を吐く。「……お前、結局“縛る”ことしかできないのか?」その一言に、変貌の動きが止まった。「……何だと?」さっきまでの余裕が、わずかに崩れる。「どうしてそれを知ってる?」変貌は確かに確認していた。周囲に人影はなかった。誰にも見られていないはずだった。ジェンシャンはにこりと笑う。「冗談だよ。そんなに緊張するなって」一瞬の沈黙。「……ふざけるな」変貌の目が鋭く細まる。「殺されたいのか?」ジェンシャンは怯えた様子もなく、軽く肩をすくめた。「はは。ライトが必ず来るさ」その言葉に、変貌の口元がゆっくりと歪む。「来るなら来い。今度はまとめて潰してやるその頃――ライトたち。「で、どうやって居場所を突き止める?」ライトは焦りを隠せずに言う。「……正直わからない。師父なら何か知ってるかもしれない。先に合流しよう」「うん」道場へ戻ると―― 「師父!? どうして縛られてるんだ!?」縛られていたチ一ランと師父を見て、ライトは駆け寄る。チ一ランは目の前に立つ“兄”をじっと見つめた。本物か、偽物か――まだ判断がつかない。

ライトがロープをほどいた瞬間、チ一ランは即座に元素を発動する。「水――!」「待て、チ一ラン! 本物のチ一ディだ!」「妹よ、俺だって。完全に巻き込まれただけだぞ? 今度は誰に怒ってるんだ?」その口調、その間の取り方―― あまりにも“らしい”。チ一ランは眉をひそめながらも問いかける。「……兄さん、本当にあなた?」「他に誰がいるんだよ。俺の聖剣は一瞬盗まれたし、ライトの友達も攫われた(さられた)。場所もわからないから師父に相談に来たんだ」ライトがうなずく。ジェンシャンも捕まってる」チ一ランは剣を下ろしたが、まだ完全には安心していない。「……どうやって探すの?」師父がゆっくりと口を開く。「探す必要はない」「え?」「奴は必ず現れる」ライトが食い気味に問う。「もし現れなかったら?」師父は静かに目を閉じた。「……現れる。ああいう輩(やから)は“見せ場”を作りたがるものだ」その言葉には、不思議な確信があった。

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