エピローグ 隣人の付き合いは難しい
エピローグ 隣人の付き合いは難しい
肌寒い花弁舞い散る並木道を三つの影が、並んで歩いて居た。
「茶柱さん、どうして、引き払ったんですか?」と、茶柱の右隣のどらパンキーが、不満顔で、問い掛けた。
「そうですねぇ。隣の方に、疑惑を持たれた時点で、私達の素性を知られるのも、時間の問題かと思いましたので…」と、茶柱は、理由を述べた。こちらの素性を尋ねるような隣人は、何れにせよ、他人に情報を流す虞が有るからだ。
「どらパンキー殿、拙者らは、この時代では、目立ってはいけない存在でござる。あのような騒動を起こすのは、駄目でござる」と、茶柱の左隣の黄色い忍び装束の者が、窘めた。
「へん! 僕は、君みたいに、コソコソと動くのは、苦手なんだよ!」と、どらパンキーが、機嫌を損ねた。
「拙者を盗人みたいに言わないで欲しいでござる! 忍びは、盗人じゃないでござるよ!」と、黄色い忍者が、気分を害した。
「どちらが上か、ちょっと、はっきりさせないといけないみたいだね!」と、どらパンキーが、敵意を剥き出しにした。
「左様でござるな!」と、黄色い忍者も、応じた。
「ちょっと、落ち着いて下さい!」と、茶柱は、声を大にした。そして、「今回の件は、私の責任です。お二人お陰で、何とか揉み消す事が出来ましたので、争うのは、止めましょう」と、仲裁した。隣人に、推理をさせた事が、最大の過失だからだ。そして、「隣人とのお付き合いは、難しいですねぇ」と、ぼやいた。今回の件で、痛感させられたからだ。
「囮さん。どらパンキーさん。花見を楽しみましょう。こんな場所で、喧嘩なんて、無粋ですよ」と、茶柱は、宥めた。味方同士で、傷付け合っても意味が無いからだ。
「今回は、茶柱さんに免じて、止めてやるよ」と、どらパンキーが、告げた。
「拙者も、茶柱氏の顔を立てるでござる」と、囮も、淡々と言った。
「今夜は、満月ですよ~! モーフォッフォッ!」と、茶柱は、高らかに笑った。今夜は、花見日和だからだ。
三者は、舞い散る花吹雪を楽しみながら、月明かりの並木通りを進むのだった。




