最終話 エピローグ4・有塚しろ
マルクト王国の復興が続く中、俺は現在のマイホームである簡易的な小屋にいた。
「ふぅ、疲れた」
鎧兵の操作権を渡して休憩に入る。危険なことに使おうとすると分かるので安全だ。
魔法ワンオペ、ひいては聖騎士団アインは、ワンオペレーションという感じではなくなった。でもこれでいい。結局ひとりの力でやるには限界があった。これからはみんなで助け合っていきたいと思う。その方が、もし、この先で俺が死んでしまってもずっと平和でいられるはず。
「シロ、お疲れ様」
茶髪の踊り子トマティナが入ってきた。
「トマティナもお疲れ」
そこに銀髪の占い師オイチもやってきた。
「体を動かしているとムラムラしますわね」
しねぇよ。
「ちょうど良かった。二人にはそろそろ将来のことについて話しておこうと思う」
「ま、まさか結婚ですの!?」
「いや待て。それも考えてはいるけど今回はそうじゃなくて、実はさ、俺には異世界転移する前から夢があったんだ」
「夢?」
「劇団を作りたいんだ。お金や時間がなくて夢のまま終わってたけど、こっちに来て平和になって、もう一度追いかけようと思った」
演劇サークル時代から薄らと抱いていた夢。でも就活に失敗し、ワンオペでアルバイトしていて余裕がなくなったせいで半ば諦めていた。
でも異世界転移して鎧兵を演じていたら楽しくて気持ちが強くなっていった。
「いいじゃない。私は恋人役かしら?」
「美人だしな」
その場でクルリと回るトマティナ。踊り子なだけあって相変わらず体幹がいい。彼女はなんでもそつなく熟すし、演技も上手くやるだろう。人気女優間違いなしだな。
「痴女役なら任せてくださいまし」
「お、おう。すぐ死ぬ変態役があったら頼んだ」
オイチが自分の胸を触る。やめろ。でも、コイツも美人だし、コアな人気は出そうだ。
なんにせよ理解ある彼女達で助かる。
「オイチ、占ってくれ。これからの俺達の未来をさ」
「いいですわ」
両手で俺の手を握ってくる。見ただけで占えるはずだが、今日は気分がいいし許してやるか。
「うーん、残念ながらつまらない結果ですわ……“平和”とだけ出ましたの」
「あはは、確かにつまらないな。だけど大切なことだ」
「ね。ずっと続くといいね」
三人で笑い合う。
これからも三人一緒に仲良く暮らして行けたらいいな。
休憩の後、少し高い丘で、まだまだ未完成の街を眺める。誰もがそこかしこで忙しなく動き回っていて大変そうにしていた。でもみんななんだか楽しそうだ。
俺も頑張らないとな。いつ魔法ワンオペが無くなっても大丈夫なように。
さぁて、夢を叶えるためにも働きますか。
俺は気合いを入れてみんなの元へと走っていった。
【すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ】 —終—




