第139話 エピローグ2・王都
マルクト王国王都。神樹の無くなった現在は、残念ながら王都も崩壊してなくなっていた。今は神樹跡地で鎧兵をみんなでシェアして復興作業をしている。
俺本体も鎧を脱いで作業していると、金髪で三つ編みの少女ムギッコが走ってきた。
「あ! トンカツの中身!」
うんうん、豚肉お兄さんだよ。って誰がやねん。
「ようムギッコ。元気か?」
「うん! シロはいつも死んだような目をしてるね!」
「失礼な。これでも元気一杯だぞ」
「もっとパン食べた方がいいよ!」
と言って、俺の口に細長いパンを押し込み、そのままどこかへ走っていった。忙しないヤツだな。ま、これからもご近所さんとして仲良くして行けたらいいよな。
パンを齧りながら移動していると、中年豚鼻のキャロブゥがいた。
「おや、ポテトさん」
「誰がポテトだよ」
「あっしの中ではポテトさんなんでさぁ。たとえ演じられたものだとしても、それはアンタの一部を分け与えたものってことでさぁ」
「過激派にならないようにな」
「もう遅いでさぁ」
生き生きとしている。ポテトの中身を知って嬉しかったんだな。はぁー、これからもめんどくさくなりそうだ。
しつこく付いてくるキャロブゥをあしらった後。
宰相ルシフェルと北方騎士団団長グレイプニルが談笑しているのを見つけた。コイツらいつも一緒にいるな。
「ルシフェルさん、調子はどうですか?」
「見たことのない虫が採れて毎日充実している」
神樹の下はほぼ未知の世界だもんな。虫好きとしては至上の幸福だろう。ルシフェルさんは本当に満足しているようで、以前より表情が柔らかく見える。
「今夜、カブトムシとりにいくんだぜ」
爽やかなワインレッドの髪を持つグレイプニルが言った。
「おい、誘われてねぇぞ」
「お前は忙しいだろ。英雄さんよ」
最近、グレイには剣の稽古に付き合って貰っている。やっぱ鎧兵に頼り切りじゃなくて自分も強くなりたいからな。まぁ万年中二病だからカッコイイ剣士になりたいってのもあるけど。
二人と別れて歩いていると、日焼け肌の女クローザが鎧兵を操作して家を建てているのが見えた。
「クローザさん」
声を掛けると、嫌そうにため息をついた。
「まさかドロダンゴの中身がこんなヒョロヒョロなやつとはな。毛を刈り取った羊かよ」
それは言い過ぎだろ。
目の前のモニターを見るクローザ。
「こうやって間接的にあーしの胸を見てたということか」
ぎくっ!
「いやぁ、そんな事はない、かなー?」
ジト目でにらまれる。
「ふーん、ま、いいか。ともかくありがとな、国を救ってくれて」
「こちらこそ感謝してるよ。ミノタウロスを倒す時にクローザさんが励ましてくれてどれだけ勇気をもらったことか。それに色んな武器を作ってくれて本当に助かったよ」
「へへっ、でも巨獣が居なくなったから加工屋は廃業だな」
よければ第三夫人にどうですか、とはさすがにいえなかった。
「クローザさんは器用だし、どんな仕事もできると思いますよ」
「だといいけどな。ま、気長に探すさ。時間はたっぷりあるからな」
そう言って満面の笑みを浮かべた。




