第2197話 過ぎ行く日々2(1)
「・・・・・・どうして君がここに? 君は世界を回って武者修行の旅をしていたんじゃないのかい」
響斬は驚きと戸惑いの混じった声で堤防の上にいる冥にそう問いかけた。冥は軽くジャンプをするとトンッと軽い着地音を響せ河川敷にまで降りてきた。堤防から河川敷までは大体10メートルくらいの高さがあるが、その高さを感じさせない軽やかな着地だ。流石は武人というべきか。
「ああ。適当に回ってたぜ。そうだ。聞いてくれよ響斬。この前久しぶりに墓参りがてら俺の故郷にある秘境に行ったんだ。で、懐かしくってつい数日くらい修行してたんだが・・・・・・」
「懐かしくって数日修行ってなんだよ・・・・・・」
「なんとよ、そこでジジイに会ったんだ! ほら、昔話しただろ。俺の師匠だよ。いや、マジで会った時はぶったまげたぜ。でもよ、更に驚く事があるぜ。俺はてっきり幽霊だと思ったが・・・・・・あのジジイまだ生きてやがったのさ! びっくりだよな!」
冥は影人の突っ込みを無視して響斬にそんな話をした。響斬は未だに冥が現れた事に驚き戸惑っていたが、冥の話を聞いて更に驚いた。
「え!? マ、マジ!? だって冥くんのお師匠さんて冥くんの人間時代の人でしょ? 僕と同じで軽く1000年前くらいの・・・・・・」
「おう。俺も『何でまだ生きてるんだよジジイ』って聞いたら、軽くぶっ飛ばされてよ。逆に『何でお前がまだ生きてるバカ弟子』って聞かれたぜ。まあ、そりゃそうだよな。俺が闇人になったのは紅蘭が死んでジジイの元から離れた後だし、ジジイは俺が人間を辞めた事を知らなかった。で、流れで話しながら戦ったら・・・・・・」
「何で流れでそんな事になるんだよ・・・・・・」
「なんとジジイも人間じゃなかったんだよ! あのジジイ、実はシェルディアの姉御と同じ【あちら側の者】、つまり異世界から来た奴だったんだよ。いやマジで見た目人間と一緒だから分かんなかったぜ。まさか、あのジジイが異世界人だとはな。本当、生きるってのは面白いぜ!」
再び影人の突っ込みを無視しつつ、冥はそう言って笑った。
「はー・・・・・・そいつは本当に驚きだね」
「な。つーかあのジジイやっぱり強かったぜ。ありえないくらい強かった。何なら昔より強くなってたな。闇人としての力は封印された状態で戦ったが、ありゃ封印を解いても今はまだ勝てねえわ」
「冥くんがそこまで言うほどか。いいね、機会があったら是非手合わせしたいよ」
「おっ、そうか。じゃあまたあのジジイの所に連れてってやるよ。あのジジイ多分ほとんどあそこにいるしな」
冥と同じ戦闘狂の一面を覗かせた響斬の言葉に冥は笑顔でそう請け負った。それから響斬と冥は「そう言えばお師匠さんは冥くんが人間を辞めた事について何て言ったの?」、「『闇に堕ちた軟弱者が!』って本気で怒られたな」、「ははっ、手厳しいね」と他愛のない会話を交わしていた。
「・・・・・・おい冥。結局なんでここにいるんだよ」
途中で話が逸れたため、冥は響斬の問いかけに答えてはいない。影人は響斬の問いかけを引き継ぎ、冥に質問を飛ばした。




