第1295話 闇の女神と吸血鬼との再会(1)
「ふん・・・・・・なぜだと? 愚問だな」
「ええ、愚問ね。レイゼロールに同意するわ」
影人の呟きを聞いたレイゼロールとシェルディアは、影人の方を見ずにそう言葉を返した。
「お前がいるからだ」
「あなたがいるからよ」
そして、2人は同じ答えを影人に放った。
「影人、お前には色々と聞きたい事がある。なぜ、我が今の今までお前の存在を忘れていたのか、なぜお前はずっと消えていたのか・・・・・・本当に色々とな。だが、それらの話はまた後だ。まずは・・・・・・」
「この女をどうにかしないとね」
レイゼロールの言葉を引き継ぐように、シェルディアがそう言った。2人は影人を守るように立ち塞がり、零無を睨んでいた。
「ほう、お前らレゼルニウスの記憶で見たぜ。確か別世界の真祖の吸血鬼と、『終焉』の力を持つ闇の女神レイゼロールだろ? まあ前者はてんでどうでもいいが、後者はレゼルニウスと同じで多少は・・・・くくっ、何だかなあ。ちと不思議な気分だな」
零無は突然の乱入者に驚く事なく、ニヤニヤとした顔でそう言った。その笑みは、どこか意味深な笑みでもあった。
「っ? 貴様、どういう事だ。なぜ貴様から兄さんの名前が出てくる・・・・・・? 兄さんの記憶と言ったな。それはどういう意味だ?」
だが、レイゼロールはその笑みではなく、零無の言葉に反応した。レゼルニウス。その名前をレイゼロールが無視出来るはずがなかった。
「面倒だから答えんよ。さて、異世界の吸血鬼にレイゼロール。急に吾と影人の逢瀬を邪魔して何の用だ? 吾はこれから影人とデートと洒落込むんだ。お前らみたいな女はお呼びじゃないだが」
零無は傲然とした態度で、シェルディアとレイゼロールにそう言った。その声には少しの不愉快さと、そして、どこか勝ち誇ったような意味合いが含まれているように感じられた。
「くだらん妄言を吐く女だな。どうやら頭がやられているらしい。こいつが貴様のような女とデートなどするものか」
「悪いけど、ダメよ。どう見ても悪女のあなたに、私の大切な人間を任せられるものですか。覚えておきなさい、影人に手を出したら殺すわよ」
零無のその言葉。それを聞いたレイゼロールとシェルディアは「は?」といった感じの声で、そう言葉を返す。2人の零無を睨む目は、更に鋭く冷たくなった。そして、なぜだか影人は凄まじい居心地の悪さを覚えた。この場の圧が尋常ではない事は理由の1つだが、他の理由は影人には分からなかった。
「あ? 影人は吾のものだ。貴様らこそ何を勘違いしている。たかだが、血を吸わんと存在出来ん不完全な存在と、特異な力があるとはいえ下位の神如きが、調子に乗るな。不敬である。消すぞ?」
零無もシェルディアとレイゼロールに対して、不愉快さと、その透明の瞳の冷たさを隠さなくなった。場の空気は更に重く圧も高くなる。影人はこんな時だというのに、胃が痛くなってきた。
「ふん、驕り高ぶり偉そうに。お前のような奴が、我は1番気に食わん」
「明確な殺意を抱いたのは随分と久しぶりだわ。さあ、どう殺そうかしら」
レイゼロールとシェルディアがその身から闘気と殺気を放つ。ここで戦る気か。影人はハラハラとした気持ちになった。




