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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1285/2153

第1285話 空と空(4)

「次はあなたです。愚かなる気狂いの先代の『空』。・・・・・・残念です。私が敬愛していたあなたは、もういない。今日はあの時のあなたの片鱗を見たと思っていたのですが・・・・・・それは私の勘違いだった」

 静止している女を見つめながら、シトュウはほんの少しだけ、どこか悲しそうに言葉を漏らす。結局、女は自分たちが追放した時と何も変わってはいなかった。

「・・・・・・今の私でも、あなたを滅する事は出来ない。ゆえに、あなたを再び追放します。今度は地上世界ではなく、ただ無が広がる世界へと」

 シトュウが自身の右手に世界追放の力を宿す。この手が女に触れた瞬間、女は何もない世界へと追放される。永遠に、女は何もない世界を彷徨う事になる。

 シトュウが右手を伸ばし、女の胸部に触れんとする。そして、

 シトュウの右手が女の胸部に触れた。瞬間、シトュウの右手を基点に空間が歪み、女はその歪みに吸い込まれ、その姿を消した。

「・・・・・・これで終わりです」

 最後にそう呟き、シトュウは座に戻ろうとした。しかし、その瞬間、


「終わりじゃないんだな、これが。油断だぜ、シトュウ」


「っ!?」

 背後からそんな声が聞こえて来た。その聞こえるはずがない声を聞いたシトュウは反射的に後ろを振り返る。すると、そこにはなぜか今追放したはずの女がいた。女はシトュウが振り返った直後にその右手をシトュウの胸部に突っ込んだ。だが、血や傷は出ていない。それは女に実体がない事を示していた。

「さあ、力を頂くぜ」

「くっ・・・・・・!?」

 女の右手はシトュウにダメージこそ与えなかったが、シトュウから力を吸い取っていた。シトュウは凄まじい虚脱感に襲われた。力の行使もままならないまでの。

「・・・・・・ふむ。まあ、これだけあれば充分か」

 しばらくの間、女はシトュウから力を吸いとり続けると、唐突にそう呟き右手をシトュウの胸部から引き抜いた。シトュウは崩れ落ちるように地面に手を着いた。

「な、なぜ・・・・・・」

「疑問があるなら全知の力を使えよ、と言いたいところだが、吾が今力を半分ほど奪い取ったからな。力の行使は難しいか。いいぜ、なら答えてやるよ」

 女はシトュウにそう言うと、こう言葉を続けた。

「別に簡単な話だ。お前が追放したのは器だけで、吾は器と共に追放される前に、器から出ただけだ。足元からこっそり出てお前の背後に回った。種明かしはそれだけさ」

「わ、私は時を止めていました。なら、あなたの意識も凍結していたはずです・・・・・・」

「そこは予め力を設定しておいたんだよ。お前に仕掛ける前にな。吾は残り全ての力を使って、『お前が吾に触れた瞬間に吾に掛かっている力を無くす』っていう効果をな。まあ、これは吾の存在を賭けた大博打で、後10秒していれば吾の存在は消滅していたがな。その前に力を奪えたから良かったが」

 シトュウの疑問に女はそう答える。シトュウが女の器に触れた瞬間、時を止める力は無くなった。そして追放される前より早く、女は器から出ていった。一言で言うならば、そういう事だった。

「っ・・・・・・そんな、限定的な力を・・・・・・」

「まあ読みと言えば読みだぜ? だが、お前は確実に吾を排除したいはずだ。なら、自身の手で直接吾を排除する方法を取る。そう思ったのさ」

 シトュウを見下ろしながら、女は笑みを浮かべた。シトュウの左目の色が透明から薄い紫の色になっている。女が力を吸い取ったからだ。元々、シトュウの目の色は薄紫で、シトュウの目の色が変化したのは、『空』の力をシトュウが受け継いだからだった。透明の瞳は『空』の証なのだ。

 ちなみに、先代の『空』である女の目の色は元から透明だったので、力をほとんど奪われても、女の目の色は変わっていなかった。

「まあ、安心しろよシトュウ。吾がお前から奪った力は半分だけだ。それに、お前や他の真界の神々に復讐するつもりも、再び『空』に戻ろうとするつもりもない。吾はただ他の事に力が必要だったから、その分の力を返してもらっただけだ」

 シトュウから半分力を奪った事によって、既に肉体を得ていた女は、どこか穏やかな声でそう言った。女のその意外に過ぎる言葉を聞いたシトュウは、透明と薄紫になってしまった目を見開きながら、こう言葉を漏らした。

「っ、他の事・・・・・・? いったい何なのですか、その他の事とは・・・・・・あなたは、何をするつもりなのですか・・・・・・!?」

 シトュウが女を見上げながら問う。分からない。シトュウには女が何を考えているのか、まるで分からなかった。

「いいぜ、教えてやろうシトュウ。吾のやろうとしている事は、復讐でも、世界の破壊でもない。今の吾がやろうとしている事は、願う事はただ1つ――」

 女はしゃがんでシトュウとの目線を合わせると、笑みを浮かべてその願いを口にした。


「あの子の――()()()()()()()()()

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