第1270話 変身ヒロインを影から助けた者(4)
「え、あ、え・・・・・・・・・・・・・・? し、死ぬ・・・・? あなたが、また・・・・? え、え・・・・・・・・・・・・・・?」
いきなりそんな事を聞かされたソレイユは、ただ呆然とした。
「はっ、まあそういう反応になるわな普通。本来なら、誰にも言わずにひっそりと逝く予定だったんだが・・・・お前、タイミング悪すぎだぜ」
「な、何・・・・いったい、いったいどういう事なの!? 影人!?」
自分が死ぬというのに普段と様子の変わらない影人。そんな影人に強烈な恐怖感を抱きながらも、ソレイユは影人にそう問いただした。
「落ち着けよ、口調が昔に戻ってるぜ。まあ、どっちにしても忘れるだろうし・・・・・・・・最後にお前くらいには教えてもいいか」
影人はそう呟くと、ソレイユに説明を始めた。
「俺が生き返るのには条件があったんだよ。それはレイゼロールの兄であるレゼルニウスから、『終焉』の力を継承する事。『死』に最も近い力を継承する事で、一時的に自分の死を克服、あるいは誤魔化した。俺が生き返ったのはそういう理由だ。だが、当然これは無茶苦茶な方法。負うべき代償が存在する。その代償は2つ。1つは魂の安寧、その永遠の放棄。俺の魂は、再度俺が死した時に、永遠に虚無を、無辺の闇を彷徨う事になる。そして、もう1つが・・・・・・・・生き返っても、2日か3日しか生きる事が出来ないっていう代償だ」
「っ・・・・・・・・・・!?」
影人から生き返る2つの代償を聞いたソレイユは、驚愕したようにその目を見開いた。
「そんな、そんなの・・・・・あまりに酷すぎる代償じゃない! あなたはその短期間生き返るためだけに、永遠に魂が虚無の闇を彷徨うのよ!? おかしいわ! 理不尽だわ! そんな代償!」
「分かってるよ。だからあいつも、レゼルニウスも俺が生き返る道を苦しくも辛い道だって言ったんだ」
いつの間にか、その両目から涙を流しながらソレイユが吠える。そんなソレイユに、影人はただ穏やかにそう言葉を返す。
「でも、俺はこの道を選んだ。俺が選んだ。この決断に悔いはねえよ。おかげで、俺はレイゼロールとの約束を果たせたからな。・・・・・まあ、普通は生き返る事なんて有り得ねえんだ。ちょっとの間生き返れただけでも奇跡で、儲けもんだろ」
サッパリとした表情を浮かべながら、影人はそう言葉を続けた。あの最後の戦い以来、影人はレイゼロールとは会っていない。それは、レイゼロールが色々と用事があったからだ。主に、神界の神々との話し合いなどの。今ごろレイゼロールがどうしているかは知らないが、まあ闇人たちと一緒にいることだろう。おそらく元気に。影人からすれば、その事実だけで充分だった。
「レイゼロールは救われた。最後の戦いで奇跡的に光導姫や守護者、それに闇人どもも誰1人死ななかった。そんな結果で、消えるのは俺だけだぜ? 充分にハッピーエンド。これ以上何も望めない最高の結果だろ」
「よくない! 何にもよくない! 何が充分にハッピーエンドよ!? 何が最高の結果よ!? あなたがまた死んだらレールも私も! 大勢の人々が悲しむのよ!? おかしいよ! 何で、何であなただけが死ななくちゃならないの!? 1番誰よりも頑張ってくれていたあなたが! 独りで頑張ってくれていたあなたが! こんな、こんな理不尽・・・・・絶対におかしいよ!」
泣きじゃくりながら、怒りと悲しみでぐちゃぐちゃになった感情のままに、ソレイユはただ叫んだ。そんなソレイユの言葉を聞いた影人は、全てを受け入れるように穏やかな顔を浮かべていた。




