第1011話 カケラ争奪戦 イタリア6(4)
「光世万誕」
ファレルナがそう言うと、
円形に広がった光から、尋常ではない純白の光の奔流が放たれた。それは全てを光に染め上げる究極の光であった。
「全てを喰らって全てを破壊しろ。――破壊の闇」
究極の光の奔流、光臨したファレルナの最大浄化技に対抗するように、ゼノも自身の闇の出力を全開にした。そして、その全てを自身の右腕に集約させ、その闇に染まった腕を光へと向けた。すると次の瞬間、ゼノの右手の先から濃密な闇の奔流が放たれた。闇の奔流は光の奔流と激突した。
途端、その衝撃から尋常ならざる衝撃波が発生した。
「っ! なんていう余波だよ・・・・!」
「っ・・・・・・・・」
影人とレイゼロールはそのあまりの余波の強さに顔を歪めた。大気が哭く。空間が歪む。究極の光とゼノの最大出力の闇。それらがコロッセオの上空でぶつかり合っているのだ。その衝撃の余波の凄まじさは、ファレルナとゼノがいかに規格外の存在なのかを示している一種の証明であった。
「っ、これは・・・・・・・・!」
ファレルナの視覚を通したソレイユからの情報で、ラルバはエリアをコロッセオ内に転移させた。だが転移のタイミングが悪かった。エリアは現れた瞬間に、影人たち同様衝撃の余波に晒される事になった。
(ヤバ過ぎんだろ・・・・!)
転移されたのは壮司も同じだった。壮司はコロッセオの崩れた観客席で衝撃の余波に耐えていた。
「っ、まだ抗いますか・・・・・・!」
「本当に嘘みたいに強い光だな・・・・!」
互いに自身の最大出力の技を繰り出しているファレルナとゼノは、力を振り絞りながらそんな言葉を漏らした。
「光の浄化を受け入れる時です!」
「お前こそいい加減に壊れろよ・・・・!」
ファレルナとゼノは互いに想いを燃やしながら、更に力を高めた。
光と闇の奔流は互いに更に激しさを増した。大気は軋むようにその哭き声を大きくし、空間の歪みも同様に大きくなる。衝撃の余波も更に強くなり、コロッセオも徐々に崩れ始めた。
互いが互いに極限の力をぶつけ合う。先に敗北の慟哭を上げるのはどちらか。だが、先にその慟哭を上げたのはファレルナでもゼノでもなかった。
――慟哭を上げたのは、世界だった。
突如として、光の奔流と闇の奔流がぶつかり合っている中間地点、その箇所に黒い大きな歪みが発生した。その歪みはまるで宇宙にあるというブラックホールのように、凄まじい引力を発生させた。
「「「「「「っ!?」」」」」」
その予想外の出来事に、ファレルナ、ゼノ、影人、レイゼロール、エリア、壮司のこの場にいる全員が驚いたような表情を浮かべた。
(おい、どういう状況だよこりゃ!? なんだよあの向こう側が見えない歪みは!?)
何かとてつもない危機感を感じながら影人は内心で叫んだ。影人の叫びに反応したのは、ソレイユとイヴだった。
『影人マズイです! あの歪みは時空の歪み。強すぎる光と闇の力のエネルギーに世界が悲鳴を上げたのです!』
『あの歪みの先がどこに繋がってるのかは誰にも分からねえ! 吸い込まれたら終わりだと思え! この世界に2度と帰っては来れないぞ!』
(マジかよ・・・・・!)
2人の説明を聞いた影人は冷や汗を流した。それではブラックホールとほとんど同義のものではないか。影人はその事実に戦慄した。




