エピローグ
千紗季は告白が効いて、朋樹と付き合っていた。しかも手を繋いで登校するというリア充状態であった。
「こうして学校に行けるのは夢みたいだわ。でも夢と現実は一体化してることも痛感するわ。」
千紗季はチラッと横を見た。そこには綾野がいた。つまり、三人並んでの登校である。千紗季と綾野はセーラー服姿であるが、頭に小さな帽子型枕をちょこんと乗せている。
「千紗季くん、そう邪険な視線を送らないでくれ。それにしても私がこの学校の生徒会長を兼務していることを知らないとは驚きだな。付き人2号としては、情報管理が不十分だな。」
「めったに学校に来てないくせに、そんなこと言うんじゃないわよ。それにどうして、さらにふたり追加になってるのよ?」
三人の後ろには付き人1号のつかさがいた。
「あたしは生徒会長の付き人なんだから、一緒にいるしかないだろう。なお、生徒会の臨時メンバーにも登録されているからな。要は助っ人だ。」
「それにもうひとり余計な者がいるわよ。」
つかさの隣で、涙ながらにハンカチを噛んでいる少女がいる。
「センター公方様~。タミフルという者がありながら、男女二刀流とはどういうことだよ~。」
タミフルは無事復活し、千紗季の側用人の職務に復帰していた。
一方、首領とメイドは新しい宮殿に入っていた。
「やっぱりこれがいちばん座りがいいぞ。強いだけじゃなく、邪念に満ちておる。心が洗われるようじゃ。」
「フツー、心を洗うと言えばキレイに洗浄するという意味ですが、邪念に邪念を重ねて、真っ黒けっけにするという、陛下らしい悪の上塗りで邪悪さ満点、悪の最高峰ですよ。気持ち悪いぐらい邪念に満ち満ちてますよ。この世界で最悪の生物ですよ。」
「なんか、妾は最低な生き物に思えてきて、落ち込むぞ。」
「そんな風にネガティブになるのも、新しい宮殿のせいです。マジドルセンター春日綾野は底知れぬ悪かもしれませんよ。」
「お局様、痛いわよ。あまり強く手を握らないでよ。」
「これはすまないな。ちょっと考え事をしてしまったようだ。」
綾野は頭に乗せている小さな枕を触っていた。




