表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/116

第85話、救世ちゅに支えられ助けられて、めざめの瞬間を待つ




SIDE:??




永い長い……いつ終わるかも分からない夢は。

救世主となり、人柱として世界の深く深くに封ぜられてからというもの。

あの手この手で、そんな彼女を退屈と停滞で参らせないようにと、様々な人生を映し出し展開していった。



例えば、おとぎ話と古い音楽が溢れる世界で、仲違いしてしまった大切な人たちとの、あの頃を取り戻すために。


例えば、人が想像できるものならば何でも叶えられる力が蔓延る世界で、紋切り型甚だしい偽悪的なヒロイン役を。


例えば、運命の人に命の危機を助けられて、何故かその時に魂ごと入れ替わってしまって、そんな彼の人生を引き継ぐ事となったり。



例えば、他人の不幸と不運を片っ端から集めてしまう女の子を救うために世界中を奔走して。


例えば、深い深い地獄にも似たダンジョンを、数多く踏破し続ける冒険譚であったり。


例えば、英雄候補を育てる素敵で刺激的な魔法学園による、甘酸っぱい青春物語の、その一篇。





自身が、世界の礎となって動けないでいることを忘れさせるくらいに。

十人十色で、わくわくして、ドキドキできる……そんな夢。


強いて共通している部分を上げるとするのならば。

どの夢も、どんな夢も悲しみ、悲劇が降りかかることがあったとしても、それは始まりにすぎず。


終わりを告げる時は。

次の夢を迎える時は、必ず本当の意味をもって、めでたしめでたしで締めていたことであろう。




……そんな、多種多様な夢を、物語を、人生を見続けているうちに。


彼女は、次第のその中心にいる人物、主人公と呼ぶべき舞台で一番目立つ所にいる者が、自分自身である事に気づかされる。


いや、それは正確に言うのならば。

終わりのない夢を見続けているというよりも。

そんな、七色の悠久凍土の中で動けず雁字搦めな彼女を慰め救い上げるためにと。


無数の物語、世界へと散らばり旅立ち、冒険の果てに根を張る、彼女の『おぷしょん』……もうひとりの自分、分身とも言うべき彼彼女らの活躍、その映像記憶めいたものを、彼女の視点……瞼の裏側へ写し映し出したものだと、言えるのかもしれない。




(……そっかぁ。いつだって救われていたのは、『私』の方、だったのかもな)


流されるままに、数々の世界を旅して。

その世界に危機が訪れた時には、少しでも力になれればど動いてきたと思っていたけれど。

実際に救われていたのは、自分自身の方だったと言うオチ。


しみじみと、その事に納得しつつも。

それでも敢えて、一言言わせてもらえるのならば。



(いや、だからどうだってわけじゃないんだけどさぁ。そんな主人公のみんながみんな、ちっちゃいんだよな)



まるで『私』が、ちんちくりんみたいじゃぁないかと。

そろいもそろって、庇護すべき子供扱いされるのが、物語の始まりの定番で。

まさしく、『救世主』じゃなくて、『救世ちゅ』だな。

自分でそう言っちゃあ世話ないよと。

流石に文句の一つも言いたくなってきたところで。




(……って、今までずっと夢見てきたけど、今の状況ってどういうことだ?)


こんな風に、夢を夢と自覚し、考察するような機会なんて今までなかったはずだと。

一体今自分は、どのような状態なのかと、首をひねった所で。




(あ、身体……動く? これって、つまり……)


目覚めの時が近いのだろうか。

長い長い時が過ぎ去って、自身の代わりとなる新たなる贄が、礎となる人物が現れたのだろうか。



思えば、人柱となる事を渋っていたことで、現在進行形での彼女の役目を、変わってもらっていたのは記憶に新しく。

彼女自身でさえそうだったのだから、次代となるものは早々生まれ、現れないだろうと半ば諦めていたというのに。



(……一体どこの誰だろう? まさかまた『あいつ』じゃないだろうな)



何せ、自分ではこの役目を負う資格がないとわかれば、その魂ごと変わってしまうようなやつなのだ。

また、お節介な部分を発揮して、ドヤ顔準備万端で待ち構えている可能性もある。



彼女はそんな風にぼやきつつも。

楽しい楽しい夢の物語が終わってしまうかもしれない一抹の寂しさと。

なんだかんだ言って、またこうして会えるのかもしれないと思ってしまう、昂ぶる気持ちが綯交ぜになっていたのは確かで。



そんな、どっちつかずの彼女を急かすように。

未だ閉じていた瞼のその向こうが、だんだん、だんだんと明るくなっていくのが分かって。




―――なんにせよ、ほんの束の間の羽休みも終わりってことかぁ。



その明るさの向こうに、どんな答えがあろうとも。

彼女の、止まっていた時間が動き出すだろうことは間違いなくて。



そうであるのならば。

めざめを迎えるその瞬間を最高のものにしたいと。


満面の、仮面のない笑顔をと。


強い強い、決心をする彼女がそこにいて……。




     (つづく?)









どうもです~。大野はやとです。

『救世ちゅっ! ~Break a Spell~』、これにて一旦のところ、完結です。


とはいえ、今の今まで完結したためしがないということで、続きは当然あったりします。

また、いつの時か次話更新の機会をいただければと思います~。

それより先に、また新しい話の方を、近い内に公開する予定です。


そんなわけで。

その時までまた、ご指導ご鞭撻、感想評価のほど、よろしくお願いいたします~。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ